1949年にブライスの『俳句Haiku』第1巻が日本で出版され、戦後西洋世界に俳句が紹介された。ブライスは禅、俳句、川柳その他の日本文学、東洋文学に関する書物を執筆したが、中でも重要なものに『禅と英文学Zen in English Literature and Oriental Classics』(1942年)、『俳句』(全4巻、1949-52年、近世の俳句中心だが子規も含む)、『俳句の歴史History of Haiku』(全2巻、1963-64年)がある。今日におけるプライスの最もよく知られた業績は英語圏に俳句を紹介したことである。
今日のブライスに対する見解は分かれる。日本文化普及の功績を評価される一方で、ときにその俳句と禅の説明は一面的であると批判されている。現代の多くの俳句作家はブライスの著作によって俳句の世界に入っており、その中にはジャック・ケルアック、ゲーリー・スナイダー、アレン・ギンズバーグ、J・D・サリンジャーといったサンフランシスコ・ルネッサンス詩人、ビート・ジェネレーション作家らがいる[3]。ジェイムズ・W・ハケットJames W. Hackett、エリック・アマンEric Amann、ウィリアム・J・ヒギンソンWilliam J. Higginson、アニタ・ヴァージルAnita Virgil、ジェイン・ライクホールドJane Reichhold、リー・ガーガLee Gurgaといった国際的俳句詩人の多くもブライスの本によって初めて俳句に接している。それら国際俳人らは、ブライスは近代的主題を持つ俳句を好まず、また日本の俳人が基本的には意識することのない俳句と禅の直接的な結びつき(芭蕉はむしろ俳句に専念することは悟りの妨げになると考えていた[4]。また千代女、蕪村、一茶ら江戸期の俳人の多くは、禅宗ではなく浄土宗・浄土真宗の門徒である)に重きを置きすぎているとしばしば述べている。ブライスはまた女流俳句を好意的に見ておらず、特に芭蕉の同時代と20世紀における女性俳人の役割を過小評価している。800頁を優に超える『俳句の歴史』全2巻中、女流俳句について述べたのは16頁に過ぎず、それら各頁も女性俳人に対する否定的な論評で貫かれている。「女は直感に優れると言われるが、女の思考力が劣るからこそそう言いたくなるのかもしれない。しかし愛国心などと同様、直感では不足である」[5]。明らかに千代女のものと思われる句についても、「この句が千代女の作かは疑問であるが、そもそも女に俳句が詠めるかどうかも疑問である」[6]。
Senryu: Japanese Satirical Verses(『世界の諷刺詩 川柳』), The Hokuseido Press, 1949 ISBN 0-8371-2958-3
Japanese Humour, Japan Travel Bureau, 1957
Japanese Life and Character in Senryu, 1959.
Oriental Humor, 1959.
Zen and Zen Classics(『禅クラシックス』), 全5巻, Volume 1: General Introduction,from the Upanishads to Huineng.1960.ISBN 0-89346-204-7. Volume 2: History of Zen,1964. ISBN 0-89346-205-5. Volume 3: History of Zen. 1970. Volume 4: Mumonkan.1966. Volume 5: Twenty-Five Zen Essays.1962. ISBN 0-89346-052-4. The Hokuseido Press.
Edo Satirical Verse Anthologies, 1961. The Hokuseido Press.
A History of Haiku(『俳句の歴史』) 全2巻, Volume 1: From the Beginnings up to Issa.ISBN 0-9647040-2-1.1963. Volume 2: From Issa up to the Present.ISBN 0-9647040-3-X.1964.The Hokuseido Press.
Games Zen Masters Play : writings of R. H. Blyth, 1976.
A Survey of English Literature.
Humour in English Literature: A Chronological Anthology.