デミングの教えを受けた各企業の現場において品質管理手法は発展していき昭和30年代中頃〜後半にかけて統計的なアプローチでないものが多く見られるようになっていった。企業の全段階の人々の協業が重視され、組織の壁をなくした協業体制によって品質管理を推進する手法が確立する。統計的なアプローチにとどまらないものとしてQCサークル活動[8]、カイゼンなどがある。また製造部門にとどまらずサービス部門や管理部門など全社的にQC活動を広げた活動は TQC(Total Quality Control)と呼ばれるようになった。このTQCが発展したものがTQM(Total Quality Management)である。デミングの業績は当初彼の本国アメリカではあまり評価されていなかったが、1980年にNBCが If Japan can... Why can't we?(日本にできて、なぜ我々にできないのか?)というドキュメンタリーを放送したことにより注目され、1990年代にかけてアメリカでTQCが再定義され普及しすることとなり、アメリカの製造業の復活に大きく貢献したとされる[9]。
QC手法
QC(TQM)の手法には、QC七つ道具、新QC七つ道具、商品企画七つ道具、戦略立案七つ道具、統計的方法、品質機能展開、FMEA、FTA、QCストーリー(QC的問題解決法)などの手法がある[10]。このうちQC七つ道具など七つ道具という組み合わせを用いる手法は日本で考えられた手法(ただし個々の手法には日本国外で考え出されたものもある)であるのに対し、統計的方法、FMEA、FTAなどは日本国外で考えられた手法である[10]。なお、現在QC七つ道具は世界的に広がっており(英語版Wikipedia:Seven basic tools of quality)、ISO9001において明示されていない品質ツールに関してアメリカ品質協会(American Society for Quality)においてもQC七つ道具が品質ツールとして認知されている[11]。一方、ビッグデータの時代になり、QC七つ道具はうまく使えなくなってきている。それを解決するためにDX(デジタルトランスフォーメーション)に対応するQC七つ道具としてDN7が提案されている。
FMEAはFailure Mode and Effects Analysisの頭文字で、故障モード影響解析ともいい、システムに起こり得る故障モードを列挙した上で、そこから周囲への影響度の高い故障モードを抽出し、故障原因、システムへの影響評価、影響の深刻度などを視覚化して事前に対策を講じる手法である[10][12][13]。産業分野では製品設計や工程設計の過程での潜在的故障、不良モードの早期発見と未然防止のために導入されている[12]。また、米国では医療用のHFMEA(Health care FMEA)が利用されている[12]。
^(後藤) CCS: Civil Communication Section、民間通信局が行なった製造業企業経営者を対象とした講座
^JIS Z 8101 : 1956 において定義された。なおZ 8101-1「統計-用語及び記号-第1部」の「まえがき」に記載ある通り、この品質管理定義を引き継いでいた JIS Z 8101 : 1981 は廃止されJIS Z 8101-1 : 1999に置き換えられており現在この品質管理定義の文言は残っていない