地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律
地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律(ちほうこうきょうだんたいのぎかいのぎいんおよびちょうのせんきょきじつとうのりんじとくれいにかんするほうりつ)は、地方選挙の選挙期日の規定に関する臨時特例法である。4年に一度実施される統一地方選挙の根拠法であり、公職選挙法の特別法として位置づけられる。通称「統一地方選特例法」。 本項目では同名の法律を含む統一地方選挙の根拠法令、並びに地方選挙の選挙期日の規定に関する臨時特例法の全般について述べる。 概要統一地方選挙の選挙期日を年月日で定めた臨時特例法であり、統一地方選挙の度に直前の国会で審議・成立される内閣提出法案である。そのため、これまで同名の法律が何度も成立している。 法律では概ね以下の内容が定められている。
なお、「該当年」の部分は、成立した法律ごとに具体的な和暦(第20回統一地方選挙の根拠法である令和4年11月18日法律第84号では『令和5年」)が明記されており、期日についても具体的な期日が明記されている。 統一地方選挙の期日を規定する法律は、1947年の第1回統一地方選挙の根拠法として制定された「都道府県及び市区町村の議会の議員及び長の選挙の期日等に関する法律(昭和22年3月15日法律第15号)」や、1951年の第2回統一地方選挙の根拠法として制定された「地方公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律(昭和26年2月1日法律2号)」がある。 「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律」という題名の法律が初めて制定されたのは、1955年の第3回統一地方選挙の根拠法である「昭和30年1月24日法律第2号」であり、それ以降、統一地方選挙の度に同名の法律が制定された。なお、昭和41年12月26日法律第146号までは旧法(前回の同名法律)の廃止規定が盛り込まれていたが、以降については新法の成立時点で旧法の実効性が失われているものと解釈され、旧法の廃止規定は明文化されていない。 なお、2018年(平成30年)には、第19回統一地方選挙について「地方公共団体の議会の議員及び長の任期満了による選挙等の期日等の臨時特例に関する法律(平成30年12月14日法律第101号)」という題名で制定された(経緯については後述)。 これまでに施行された「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律」は以下のとおり。
被災地における地方選挙の延期本法律以外にも、公職選挙法所定の選挙期日を変更するための特別措置法が制定されることがある。 この場合、地方自治法第93条・第140条の例外として選挙が行われるまで4年の任期が満了せずに延長する規定になっている。 これまでに制定された、災害によって被災地自治体において選挙事務が行えないために選挙期日を延期することを規定した法律は、いずれも統一地方選挙の直前に大規模災害が発生したこともあり、公職選挙法の特別措置法である本法律のさらなる特別措置法として位置づけられる。 阪神・淡路大震災1995年1月に阪神・淡路大震災が発生した際、同年4月の第13回統一地方選挙について規定した「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙等の期日等の臨時特例に関する法律(平成6年11月18日法律第103号)」の更なる特則として「阪神・淡路大震災に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律(平成7年3月13日法律第25号)」が定められ[2]、被災地である兵庫県内の一部の自治体の選挙期日が2ヶ月延期された。 東日本大震災
2011年3月に東北地方太平洋沖地震が発生した際、同年4月の第17回統一地方選挙について規定した「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙等の期日等の臨時特例に関する法律(平成22年12月8日法律第68号)」の更なる特則として「平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律(平成23年3月22日法律第2号)」が制定され、被災地(岩手県・宮城県・福島県・茨城県)内の自治体の選挙期日を最大9月22日まで延期することを可能とした[3]。 この法律は平成23年5月27日法律第55号で「東日本大震災に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律」に改められ、統一地方選挙に該当しない2011年6月11日以降に任期満了を迎える東日本大震災の被災地(岩手県・宮城県・福島県)自治体で行われる地方選挙についても対象に加え、投票日を最大9月22日まで延期することを可能とした[4]。その後、選挙期日を最大で2011年12月31日まで再延期可能とする法改正を実施している(平成23年8月10日法律第92号)[5]。 2か月任期ずれの解消1995年の阪神・淡路大震災に伴う特例措置により、兵庫県内の地方議会・首長選挙等で、統一地方選挙実施から任期満了まで2か月の空白が生じている問題を巡り、空白期間を解消することを念頭とした特例法「平成三十一年六月一日から同月十日までの間に任期が満了することとなる地方公共団体の議会の議員及び長の任期満了による選挙により選出される議会の議員及び長の任期の特例に関する法律(平成29年法律第34号)」が2017年5月12日に国会で成立した[6]。これは、2018年10月までに各自治体の議会で関連議案について4分の3以上の者が出席し、その5分の4以上の者の賛成で可決されれば、2019年に行う次回選挙の当選者の任期をあらかじめ2か月短縮した3年10か月とし、2023年の当選者からは選挙日と任期が一致する計算することができるというものである。 対象となるのは「2019年6月1日から10日までに任期が満了する地方公共団体の議会の議員又は長」とされ、阪神・淡路大震災に伴う特例措置になっていた兵庫県議選、芦屋市長選、神戸市議選、西宮市議選、芦屋市議選、および市町村合併などの影響でずれが出ている埼玉県鳩山町議選、石川県野々市市長選、三重県朝日町長選、埼玉県蕨市長選が考えられていた[7]が、このうち兵庫県議選、神戸市議選についてはこの特例法を適用し、任期を2019年6月11日~2023年4月29日、芦屋市長選、西宮市議選、芦屋市議選についてはこの特例法を適用し、任期を2019年6月11日~2023年4月30日、埼玉県鳩山町議選についてはこの特例法を適用し、任期を2019年6月5日~2023年4月30日とした。三重県朝日町長選、埼玉県蕨市長選についてはこの特例法は適用せず、従来通り6月4日、石川県野々市市長選についてはこの特例法は適用せず、従来通り6月9日が任期満了日となった。 第19回統一地方選挙の実施期日について→「第19回統一地方選挙」および「2019年日本の補欠選挙」も参照
平成31年/令和元年(2019年)[注釈 1]に執行された第19回統一地方選挙は実施期日が通常よりも一週間前倒しされている。これは、直後の4月30日に当時の天皇であった上皇明仁が皇室典範特例法の規定により退位する予定であった事を考慮したものである[8](ただし、平成3年(1991年)の第12回統一地方選挙も同様の一週間前倒しの日程で実施されている。)。 平成30年(2018年)に制定された「地方公共団体の議会の議員及び長の任期満了による選挙等の期日等の臨時特例に関する法律」(平成30年12月14日法律第101号)の規定に基づき、前半戦(知事・道府県議会・政令指定都市市長・政令指定都市市議会)の実施期日は2019年4月7日[注釈 2]に、後半戦(東京都の特別区区長・区議会、一般市町村の市長・町長・村長、一般市町村議会)の実施期日は4月21日[注釈 3]とされた。 この他、公職選挙法第33条の2第2項の規定により、本来は4月の第4日曜日[注釈 3]に行われることになっている国政補欠選挙についても特例として4月21日に行われることが同法の第1条第5項に定められた。このため、法律名が従前のものと相違している[注釈 4]。 脚注注釈出典
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