垂直/短距離離着陸機垂直/短距離離着陸機(V/STOL機, 英語: vertical/short take-off and landing aircraft、ヴイエストール)とは、短距離離着陸(STOL)能力をもち,必要に応じて垂直離着陸(VTOL)も可能な飛行機。垂直離着陸機の主流となっている[1]。 概要垂直離着陸機の多くはVTOLとSTOLの両方に対応しており、このような機体は垂直/短距離離着陸機と称される[2]。この場合、実際の運用では垂直離陸 (VTO) はめったに行われず、短距離離陸 (STO) と垂直着陸 (VL) を組み合わせたSTOVL方式(short takeoff/vertical landing、ストーブル)での運用がほとんどとなる[3]。 離陸の際には、たとえ垂直離陸できるだけの推力があったとしても、少しでも滑走して翼に風を当て、揚力を発生させれば、それだけ離陸重量が大きくなり、搭載量を増やすことができる。例えば地上静止推力10,659 kgfのF402-RR-408(ペガサス11-61)エンジンを搭載したAV-8Bの場合、VTO時の最大離陸重量は9,414 kgなのに対し、STO時には14,061 kgまで増大する。この際にスキージャンプ勾配を使用すれば、搭載量をさらに増やすことができる[3]。 これに対し、着艦の際には、燃料などを消費した分だけ機体の重量が軽くなっているため、安全確実な垂直着艦を選択することになる[3]。垂直着艦では上下する飛行甲板にも安全に降りることができ、艦の動揺や風向風速による制約が小さいとされる[2][注 1]。 イギリス海軍のクイーン・エリザベス級では、大きな艦型のおかげで滑走レーンが長いことを活用して、着艦の際に、垂直にではなく斜めに下降するSRVL (Shipborne rolling vertical landing) を行うこともある。これは60ノット程度の低速で前進しながら、艦尾方向からストレート・インで進入・接地するもので、若干ながら前進速度をつけることで主翼が揚力を発揮できるようになり、より重い状態でも着艦できるようにすることで、兵装を投棄せずに済むと期待されている[注 2]。空母の飛行甲板と戦闘機のリフトエンジン双方の損耗を少なくする効果もある[5]。一方で、接地後の制動は車輪ブレーキに依存するため、この方法を用いるのは天候条件が良好なときに限られるという制約もある[6]。
V/STOL機の一覧V/STOL機には多数の形式が存在する。以下に示すのは、その一部である。 推力偏向スラスト機
ティルトジェット機
推力/揚力分離型機
超音速機数多くの超音速V/STOL機が提案・製造されてきたが、飛行試験までに至らなかった機体がほとんどである。2016年に装備化されたF-35Bは、初の、そして唯一の実用超音速V/STOL機である。[7]
脚注注釈
出典
参考文献
外部リンク |