|
「夜来香」はこの項目へ転送されています。
- この曲に登場する同名の植物については「イェライシャン」をご覧ください。
|
「夜来香」(イェライシャン)は、李香蘭(山口淑子)が歌ったヒット曲である。
概要
もとは中国の歌謡曲で、1944年(中華民国33年)に、満洲映画協会のスターであった李香蘭(山口淑子)の歌唱により上海の百代唱片公司から発売された。作詞(原詞)・作曲:黎錦光(中国語版)。「夜来香」とは、甘い香りを持つ花をつけるキョウチクトウ科(旧分類ではガガイモ科)の植物の名である[1]。
李香蘭の名とともに歌は広がり、中国各地で人気を博した。1945年(中華民国34年)6月23日・24日・25日の3日間、李香蘭は上海の大光明大戯院(Grand Theatre)で昼夜2回の演唱会を開き、「夜来香の香りもやがて消える。今の内に楽しみましょう、その香りを」と観客に語りかけた[2]。
やがて新中国(中華人民共和国)建国の後は、中国政府により、聴くことも歌うことも禁止され、また国情とも合わず廃れてしまったものの、何十年もの長い時間を経て解禁され、『何日君再来』などとともに、全世界の中国人に好んで歌われるチャイナ・メロディーの代表曲となっている[3]。特に、鄧麗君(テレサ・テン)は、本曲を中国語と後述の日本語の両方でカバーし、広く親しまれている。
また、作曲家の服部良一はこの曲をもとに『夜来香幻想曲』を作った。
日本語版
日本に帰国後、李香蘭から名を改めた山口淑子は、佐伯孝夫[1]による日本語の訳詞(直訳ではなく、内容が少し異なっている)による日本語版セルフカバーを1950年(昭和25年)[1]1月に発表した(ビクターレコード)。当時ビクターに所属していた本田悦久(川上博)が当時の担当プロデューサーに聞いたところによると、この山口淑子の歌唱による日本語版「夜来香」のレコードは約7万枚を販売した[4]。このバージョンは渡辺はま子もカバーしており、1957年(昭和32年)の第8回NHK紅白歌合戦で歌唱している。
また、藤浦洸が日本語訳詞を手掛けたバージョンも存在し、日本コロムビアから胡美芳が歌った作品が発売されている。
カバー
上記概要で触れたもののほかにも、以下のように複数のアーティスト・歌手によってカバーされている。
- 青江三奈 - アルバム「影を慕いて」(1972年発売、2008年再発)収録[5]
- 石川さゆり - アルバム「石川さゆり 35周年記念企画アルバム 二十世紀の名曲たち」(2007年発売)収録[6]
- おおたか静流 - アルバム「REPEAT PERFORMANCE」(1992年発売)収録[7]
- 大月みやこ - アルバム「うたごころ」(2001年発売、2021年再発)収録[8]
- 高嶺ふぶき - 宝塚歌劇団OGのカバーアルバム「麗人 REIJIN -Showa Era-」(2015年発売)収録[9]
- 天童よしみ - アルバム「天童節昭和演歌名曲選 第二十集」(1999年発売)収録[10]
- 新沼謙治 - アルバム「名曲カバー傑作撰」(2009年発売)収録[11]
- 夏川りみ - アルバム「歌さがし ~アジアの風~」(2010年発売)収録[12]
- 遊佐未森 - アルバム「檸檬」(1992年発売)収録
- yuma - 「夜来香〜映画「ほとけ」の世界〜」(2001年発売)収録[13]
また、ドラマなどの作中で李香蘭(山口淑子)を演じ、『夜来香』を劇中歌唱してカバーされた例もある。
映画
1951年、同曲を主題歌にした同名映画が公開された。
あらすじ
スタッフ
キャスト
出典
参考文献
関連項目