六代目 片岡 愛之助[1](かたおか あいのすけ、1972年〈昭和47年〉3月4日 - )は、日本の歌舞伎役者、俳優、舞踊家。本名:片岡 寛之(出生名:山元 寛之)。
上方舞の名取名は三代目 楳茂都 扇性(うめもと せんしょう)[1][2][3]。屋号は松嶋屋。定紋は追いかけ五枚銀杏。歌舞伎名跡「片岡愛之助」の当代。血液型はB型。妻は女優の藤原紀香。松竹エンタテインメント所属。身長172cm。
略歴
1972年、大阪府堺市堺区神南辺町出身[4]。本名は片岡 寛之(かたおか ひろゆき)。旧姓は山元(やまもと)。愛称は「愛之助」からの連想による「ラブリン」。歌舞伎とは無縁の、スクリュー製造工場を営む家庭(両親は愛之助が20代のころ相次いで死去)に育った。妹が一人。1977年に習い事の一環として受験した松竹芸能の子役オーディションに合格。実家から同社のタレント養成所へ通いつつ、現代劇の舞台公演などで子役としての経験を積んだ。子役から芸能界に入ったきっかけについては、実家の工場にダンプカーが出入りしていたことから「危ないし、だからといって家に置いたままにするのも可哀想なので」という家族の意向だったという[5]。
1979年、藤山直美の初主演作品である『欲しがりません勝つまでは』(NHK総合テレビ「銀河テレビ小説」)で、子役としてテレビドラマに初出演。本名で歌舞伎の舞台にも子役で出演する。1981年、子役としての演技と歌舞伎への関心の高さを十三代目片岡仁左衛門に見出され、二代目片岡秀太郎の誘いで片岡一門の部屋子へ転身。十三代目片岡仁左衛門の本名の片岡千代之助から千代を字を取って「片岡千代丸」を襲名し、京都南座で上演の『勧進帳』で初めて歌舞伎役者としての舞台を踏んだ。1993年、二代目片岡秀太郎の養子となったことを機に、大阪中座で上演の『勧進帳』で駿河次郎役を演じ、六代目片岡愛之助を襲名。
1994年に名題昇進。1997年の咲くやこの花賞を機に、国立劇場優秀賞(2002年)、大阪舞台芸術新人賞(2003年)、大阪舞台芸術奨励賞(2005年)、松尾芸能賞新人賞(2006年)などを受賞した。また秀太郎が提唱する「平成若衆歌舞伎」の中心メンバーとして、歌舞伎の伝統と現代演劇の新味を融合させた舞台活動にも取り組んでいる。また、入門後は20年以上に渡り本業へ専念したが、2003年の『夜桜お染』よりテレビ時代劇にも出演し、2011年にテレビ朝日系列で放送された連続ドラマ『ハガネの女』シーズン2で30年ぶりに現代劇へ登場。2013年のテレビドラマ『半沢直樹』ではおネエ口調のエリート官僚黒崎駿一役で話題を集め、第78回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の助演男優賞で香川照之に次いで2位に入賞[6]。
オリコンによる「ブレイク俳優ランキング」で2013年に3位[7]、2014年に第10位にランクインした[8]。
2016年には、大河ドラマ『真田丸』(三谷幸喜 脚本)にて、主人公 真田幸村(演:堺雅人)の舅 大谷吉継 役として出演し、大河ドラマ初出演となる。堺雅人とは『半沢直樹』以来の再共演となった。この年、女優の藤原紀香と結婚した。
2018年には、歌舞伎版『NARUTO -ナルト-』(岸本斉史 原作)にて、うちはマダラ 役として出演し、アニメ関係作品初出演となる。
2020年には、ドラマ『半沢直樹』続編に引き続き黒崎駿一役で出演。
2024年11月29日、「吉例顔見世興行」(12月1日に京都南座で開幕)の稽古中に舞台装置と接触し負傷。稽古終了後、病院で診察を受けた結果、「上顎および鼻骨骨折」と診断され、「吉例顔見世興行」は当面休演し代役を立てて上演することとなる[9]。接触の際の状況については、ブログで「えび反り体勢のところに、かなり速いスピードで顔面に降りてきたセットに驚き咄嗟に数センチよけることが精一杯でした。」と述べている[10][11]。
人物
1981年の片岡一門入門を機に十三代目片岡仁左衛門の部屋子→二代目片岡秀太郎の養子として上方歌舞伎を中心に活動。今では数少ない大阪出身・在住の歌舞伎役者である。本人は中卒で歌舞伎役者になっても良いと思ったが、実父母から「高校だけは出なさい」と言われ、大阪府立信太高等学校を卒業した。その後は大学進学・歌舞伎役者・それ以外の道を自由に選択できたが、本人の希望で歌舞伎役者を本業にした。養子話が持ち上がると、長男であるのに両親は快く賛成した[12]。1999年に実母が末期がんで他界し、2000年に実父がくも膜下出血で急逝したが、養子縁組後も、さらに結婚後も本籍を実家に置いたままという[13]。
端整な顔立ちから女性ファンが多い。かつては女形を務めることも多かったが、現在は立役を主に、『勧進帳』の富樫をはじめとして『源平布引滝・義賢最期』の木曽先生義賢などの丸本物、『女殺油地獄』の与兵衛、『伊勢音頭恋寝刃』の福岡貢などの上方和事のほか、『鳴神』の鳴神上人、『お染の七役』の鬼門の喜兵衛、『青砥稿花紅彩画』の日本黙右衛門など江戸歌舞伎の荒事、生世話物に、『鯉つかみ』などのケレン物、そして新作、舞踊、ミュージカルなど幅広い役柄をこなす。2008年12月10日、上方舞楳茂都流の四世家元を継承、三代目楳茂都扇性も襲名した。
2011年、女性週刊誌『女性セブン』(小学館)3月3日号で元ホステスとの間に小学校5年生の男児(当時)の隠し子がいると報じられ、愛之助は会見を開き同誌の記事について「おおむね事実でございます」と認め、養育費など生活の援助は続けているが認知していないことを明かし、現在は別居している子どもについて今後認知するかどうかについては、「子どもがもう少し大きくなって本人の意見を聞きたい」とした[14]。
2014年には『劇場版 仮面ライダー鎧武 サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!』にて、仮面ライダーマルス役に抜擢される。歌舞伎界初の仮面ライダーとして話題を呼んだ。愛之助自身も子供のころから『仮面ライダー』を見て育った世代であるため、オファーが来た時には二つ返事で快諾したと語っている。
B'zと親交があり、B'zの2人も愛之助の出演する歌舞伎の公演を見に来ているという[15]。
実家の山元家が鹿児島県徳之島をルーツとしていることにより、愛之助自身も2021年10月から徳之島観光大使を務めている。徳之島側は愛之助が早期に徳之島を訪問することを希望していたが、台風による渡航断念など諸事情で延び延びとなっており、2023年5月に妻の藤原紀香を同道して愛之助が徳之島を訪問、その際には先祖の墓参り及び徳之島観光大使委嘱式なども執り行った[16]。
ドラゴンクエストシリーズ
「ドラゴンクエストシリーズ」の大ファンで1作目からプレイしており『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』が発売された後ではすれちがい通信をするために、秋葉原に足を踏み入れるほどだったと語っている[17]。他に『ドラゴンクエストモンスターズ』を数百時間遊びこみ、ほぼモンスターコンプリートしている[18]。生みの親である堀井雄二が、愛之助の公演を見に行った日に共通の友人の紹介で食事に誘われる[17]。堀井の指名による直接オファーから2つ返事で2015年に発売された『ドラゴンクエストヒーローズ』で悪役・ヘルムード役として出演した[18]。好きなDQナンバリングタイトルは衝撃度では第1作目、やり込んだのは『IX』である[17]。
半沢直樹
2013年、TBSの日曜劇場『半沢直樹』に国税局査察部統括官・黒崎駿一役で出演。オネエ口調で激怒すると男性部下の股間を鷲掴みにするキャラクターを演じ話題となった。高視聴率も相俟って人気キャラクターとなり、原作者の池井戸潤はドラマ放映時に執筆中だった半沢直樹シリーズ第4作『銀翼のイカロス』に、当初は予定になかった黒崎を登場させると述べた[19]。片岡は、黒崎のキャラクターは「いろんな人物を参考にして作っているので、特定の誰かというわけではありません」という[20]。ドラマ版『半沢直樹』のキャラクターの中で、原作者・池井戸潤は片岡が演じた黒崎駿一が1番好きだと述べていた[21]。
出演作
歌舞伎
- 松竹大歌舞伎
- 平成若衆歌舞伎
- 浅草歌舞伎
- 花形歌舞伎
- 三越歌舞伎
- 永楽館歌舞伎(2008年-)
- 利根運河薪歌舞伎(2010年)
- システィーナ歌舞伎(2010年-)
- 新作歌舞伎
ほか
舞台
テレビドラマ
テレビ番組
- ひるおび!(2009年4月13日、TBS) - 密着ドキュメントを放送
- 読売テレビ開局55年記念報道特別番組 あのときの鼓動(2013年3月18日 - 3月20日、読売テレビ) - ナビゲーター
- 視聴者参加型インタラクティブレース番組「BLOODY TUBE」(2013年6月15日、BSジャパン) - 大会オーガナイザー 役
- 情熱大陸(2013年10月6日、毎日放送)
- 第64回NHK紅白歌合戦(2013年12月31日、NHK総合・ラジオ第1) - ゲスト審査員
- MISSION 001〜みんなでスペースインベーダー〜 (2014年1月3日、テレビ東京) - アイーブル総督、ワルーブル総督、コイーブル総督、オニーブル総督 役
- 片岡愛之助の解明!歴史捜査(2015年4月 - 2018年3月29日、BS日テレ)
- BS松竹東急 開局1周年記念特別企画 愛之助が走る!彌十郎が撮る!北条家ゆかりの伊豆めぐり〜バイクとカメラ 絶景&グルメ旅〜(2023年3月26日、BS松竹東急)
- KABUKI KOOL(NHKワールドTV) - 講師・解説
映画
テレビアニメ
劇場アニメ
ゲーム
吹き替え
CM・広告
- CMのシリーズは下記の通り2014年~
- 2014年~
- 『Mr.提案マン 会議室篇』
- 『Mr.提案マン 営業篇』
- 2016年~
- 『なぜなのか信和 秘密の土地活用篇』
- 『なぜなのか信和 ルネス工法篇』
- 『なぜなのか信和 ビフォーアフター篇』
- 『なぜなのか信和 100年活用篇』
- 2018年~
- 『TEAM SHINWA ブランド篇』
- 『TEAM SHINWA 土地活用篇』
- 2021年~
- 『TEAM SHINWA 新コーポレート・ロゴ発表
- 2022年3月~『想像の先へ ウェルビーイング編』『想像の先へ 屋内菜園編』
- サントリーフーズ「ボス グリーン」『毎日の習慣・昼』篇、『毎日の習慣・夜』篇(2014年1月21日 - )[55][56]
- 桃屋
- さあさあ生七味とうがらし山椒はピリリ結構なお味『さあさあ』篇(2014年3月21日 )[57]
- ごはんですよ!『GOEMON ごはんですよ!』篇(2015年1日2日 - )[58]
- 梅ごのみ『GOEMON ごはん』篇、梅ごのみ『GOEMON きゅうり』篇(2015年1日2日 - )[58]
- 穂先メンマやわらぎ『穂先だけ』篇(2015年)[59]
- 辛そうで辛くない少し辛いラー油『チカラー油』篇(2015年)
- きざみしょうが
- 『おいしいしょうが』篇(2016年)
- 『そうめん』篇(2021年)
- 辛そうで辛くない少し辛いラー油『餃子は好きですか』篇(2016年)[60]
- 味付榨菜『食べた事ありますか』篇(2019年1月5日 - )[61][62]
- きざみにんにく『スタミナ丼』篇、『エビのアヒージョ」篇(2019年)
- 辛そうで辛くない少し辛いラー油&しびれと辛さががっつり効いた麻辣香油『対決』篇(2019年11月22日 - )[63]
- キムチの素『豚キムチ』篇、『たこキムチ』篇(2020年10月 - )[64]
- 辛さ増し増し香ばしラー油『辛玉うどん』篇(2021年11月19日 - )[65]
- 資生堂「フルメーク ウォッシャブル ベース」『FWB vs 歌舞伎メーク』篇(2014年5月30 - )[66][67]
- ACジャパン 日本脳卒中協会・支援キャンペーン「写楽」(2015年) - ナレーション[68]
- キリンビール「淡麗プラチナダブル」『オレの流儀 好きなんだから』篇、『オレの流儀 今日のほうび篇』(2015年6月26日 - )[69]
- UHA味覚糖
- 焦がしミルクと塩チョコ「塩の花」『塩の花ってなんの花・アメを見る篇』、『塩の花ってなんの花・踊る篇』(2014年10月18日 - )[70]
- 「特濃ミルク8.2 カボチャミルク」『特濃ミルク 麻呂でまろやか篇 カボチャミルク』(2016年9月29日 - )[71]
- 「特濃ミルク」『楽屋1. もひとつどうぞ』篇、『楽屋2. やっぱり濃いですね」篇、『楽屋3. 前に前に』篇(2018年10月20日 - )[72]
- 「レインボーラムネミニ」『レインボー将軍〜ミニ登場〜』篇、『レインボー将軍〜あっぱレインボー〜』篇〈 関西地区、東海(愛知・三重・岐阜)地区〉(2021年5月15日 - )[73]
- 「特濃ミルク8.2塩ミルク」、「特濃ミルク8.2」『目でアピール』編、『さすが』編(2021年4月17日 - )[74]
- Y!mobile「イヤミ登場」篇(2021年2月13日 - ) - イヤミ 役[75]
- ジェーシービー「JCBオリジナルシリーズ」『JCBカード氏』編 (2021年12月8日 - )[76]
玩具
- COMPLETE SELECTION MODIFICATION 戦極ドライバー(2021年3月、バンダイ) - コウガネ / 仮面ライダーマルス 役(ライブラリ出演)
書籍
- 『歌舞伎修業―片岡愛之助の青春』(松島まり乃・著、2002年7月、生活人新書)[77]
- 写真集『愛之助』(2009年2月、ぴあ)
- 『愛之助が案内永楽館ものがたり -出石-兵庫県豊岡市』 清水まり共著 集英社 2015
雑誌
その他
- 大阪市中央区にある大阪歴史博物館の9F:中世近世フロアにて、モニター画面より案内役を務めている文楽人形・浪花屋寅之助の声を充てている。
- ブルーベル・ジャパン 2013年フレグランス・アンバサダー
- ザ・グランドティアラ 「愛舞台」 - 和装プロデュース
- 大江裕『登竜門』 - CDジャケット題字
受賞歴
参考文献
- 佐藤朝泰『門閥-旧華族階層の復権-』(1987年、立風書房) - 278~294ページ。
- 佐藤朝泰『日本のロイヤルファミリー』(1990年、立風書房) - 115~121、172~178ページ。
- 佐藤朝泰『豪閥-地方豪族のネットワーク-』(2001年、立風書房) - 104~115、292~303ページ。
- 大森映『日本の財界と閨閥』(1988年、学藝書房) - 26~29、114~117、206~209、253~255ページ。
脚注
関連項目
外部リンク
|
---|
1990年代 | |
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
※2017年度は授賞式中止
|
|
---|
2000年代 | |
---|
2010年代 | |
---|
2020年代 | |
---|
※2017年度は授賞式中止
|