『銀魂』(ぎんたま)は、空知英秋の漫画『銀魂』を原作とするサンライズ・バンダイナムコピクチャーズ制作のテレビアニメ。
本項目では公式情報に基づき、2006年 - 2010年に放送された「銀魂」を第1期、2011年 - 2012年に放送された「銀魂’」を第2期、2012年 - 2013年に放送された「銀魂’延長戦」を第2期延長戦、2015年 - 2016年に放送された「銀魂゜」を第3期、2017年 - 2018年に放送された「銀魂.」を第4期と表記する。
テレビアニメは放送休止期間を挟みつつ、2006年から2018年までテレビ東京系列(TXN)などで4期に渡り全367話が放送された。付随して3本の劇場版やイベント用ムービー、OVAも制作され、足掛け15年にわたって原作のほぼ全てのエピソードがアニメ化された[2]。より詳細な流れは沿革の節を参照。
初代シリーズ構成の大和屋暁と初代監督の高松信司の手腕により原作のテンションと毒を巧みに再現し、過激な部分を含めてほぼ忠実なアニメ化がなされた。高松は、毎週茶の間で笑って楽しんでもらえるものにしたいという気持ちから、本作品を「作品」ではなく「バラエティ番組」のつもりで作っていると発言しており、この想いは2代目以降の監督にも引き継がれている[3]。
アニメオリジナル要素として、世代ギャグやパロディ、メタフィクションネタなども積極的にアニメ化され、放送枠移動や打ち切り、原作への追いつき、製作費や画面アスペクト比といったアニメ製作の裏側までもが表現されている。
放送中に原作単行本を追い抜いてしまう事態が度々起こっており、第136話、第188話、第195話後半から第201話、第249話から第251話、第364話中盤から第367話は単行本化される前にアニメで放送された。
基本的に1話につき1つのエピソードが放送されるが、2本立ての回や、本編が通常の放送時間より早く終了し、残りの時間で次回の冒頭部分を放送している回[注 1]、前話の終わりに流れた次回予告が次話のプロローグの体裁を取っている回[注 2]、オープニングが短縮されている回など、一般的なアニメ作品と異なる構成となることも多い。
2016年、第12回東京アニメアワードアニメファン賞を受賞[4]。
2005年のジャンプフェスタアニメツアーのオリジナルアニメ(以下参照)を経て、2006年4月4日よりテレビ東京『火曜いージャン!!』前半枠(火曜19:00 - 19:30、一部系列局では異なる)でテレビシリーズが放送開始。同年10月からは木曜18:00 - 18:30の枠に移動した。
第56話が放送された2007年5月17日には、愛知県で立てこもり事件が発生したためNHK総合および民放4局は事件現場を生中継していたが、本作品は予定通り放送された。更に、話の内容が立てこもり事件を題材としたものだったため[5]、後日、東不可止プロデューサーは携帯コラムにて「この展開は予想外だった」とコメントしている。
2007年9月27日放送の第75話のサブタイトルの長さは182文字で、日本のアニメとしては同じ高松監督の『スクールランブル』第26話(最終回)に続き第2位となる[5][注 3]。
第80話は2007年11月1日に放送予定だったが、『日本シリーズ2007』第5戦(中日ドラゴンズが勝利し日本一が決定)の中継のため1週順延となり、BSジャパンでも11月7日の放送は別の番組に差し替えられた。これにともない、当初1つの話のAパート・Bパートとして放送される予定だった第92話と第94話が2つに分けて放送され、バレンタインの話の放送日が決まっていたため、マダオ裁判の前後編を繰り下げた[6]。
3年目に突入した2008年4月3日の第100話から監督として新たに藤田陽一が就任。約1ヶ月強の間高松と共同で監督を務めた後、5月15日の第106話から高松が監修に退く形で監督が交代された。なお、3年目に突入する直前で地方局での打ち切りが相次いだ(後述)。
2009年3月26日の第150話は嘘の最終回として放映されたが、一部の放送局ではその回に前後する形で本当に打ち切りとなった(後述)。また、翌週の4月2日から放映が開始したシーズン其ノ四は、デジタル放送に限り画面の両サイドパネルに「銀魂」のロゴマークが表示されるようになった。
2010年3月25日をもって本編放送(第1期)を終了。全201話[7]。原作第1巻から第34巻冒頭までの内容がアニメ化された。
2010年4月5日より月曜18:00 - 18:30の枠に移動し、特選放送『よりぬき銀魂さん』の第1期を放送。「よりぬき銀魂さん」よりOPとEDのみハイビジョン制作に対応。同時にアナログ放送が4:3からレターボックス付き16:9へ移行し、本編はデジタル放送と同様に画面の両サイドパネルにロゴマークが表示されるようになった(額縁放送)。
同月24日より『劇場版 銀魂 新訳紅桜篇』が公開[8]。
2010年12月6日発売の週刊少年ジャンプ2011年1号にて、2011年4月から第2期の放送が開始されることが発表され[9]、その後2011年4月4日から『よりぬき銀魂さん』(第1期)と同じ時間帯(月曜18:00 - 18:30)での放送が決定した。第2期より本編もハイビジョン制作に完全移行した。タイトルはロゴ上やAT-X[10]では「銀魂'」となっているが、製作委員会の組成が変わったという事情(著作権表記に新たにアニプレックスが追加されている)から便宜上、第1期と区別する必要を要し「'」をつけているだけであり、地上波での放送やその他の表記や読み方は今までと変わらず「ぎんたま」である[注 4]。第1期で見られたアニメオリジナルストーリーや2本立ての回がほとんどなくなり、前者は第209話と第252話、後者は第204話と第205話のみとなった。また、地上波での系列外局での放送が大幅に減少し、びわ湖放送のみとなった。
第203話放送の40分ほど前に福島県を震源とする震度5弱、震度6弱の地震が発生したが、本編は予定通り放送された。放送中は津波警報の地図が表示されており、また放送中に緊急地震速報が発表された。
第232話はテレビ東京側の都合によりAT-X[11]およびびわ湖放送での放送が見送りとなった。テレビ東京側は理由について「特定の個人を想起させる描写があったため」とコメントしている。同話では「レンホウ」というキャラクターが選挙カーに乗って登場するなどのシーンが存在するが、モデルとなったと思われる蓮舫大臣の国会事務所は「抗議した事実はございません」とコメントしている[12]。該当話は放送時点では事実上欠番扱いとなっていたが、DVDなどでは蓮舫大臣が登場するAパートのみに修正を施した上で収録され、以後CSで放送される際はソフト版が放送されている[13]。また、2011年11月29日には監修の高松がTwitterにおいて「ご好評頂きました「蓮蓬篇」は無事完結いたしましたが、これを完全な形でソフト化してお届け出来ないのが残念です」とコメントしている[14]。
2012年3月26日をもって第2期の放送が終了し、原作第34巻から第46巻[注 5]までの内容がアニメ化された。全51話[15]。これにより、『よりぬき銀魂さん』を含めて通算6年間の放送で一旦完全に放送が終了した。第2期の放送終了に関しては、第1期の作中で次年度の放送継続と終了を発表したのとは異なり、最終回当日までほとんど伏せられた形であった。
2012年10月4日より第2期延長戦の放送が決定し[16]、第1期の終了以来2年半ぶりに木曜18:00 - 18:30の枠で放送された。「特選再放送“よりぬき銀魂さん”に加えて新作エピソードも放送予定である」とアニメホームページで告知された[17](製作委員会の組成は第2期のままであるため、ロゴは変わらず「銀魂'」、地上波での放送やその他の表記や読み方も“ぎんたま”のまま変わらない[18][19])。
第2期延長戦開始時には「金魂篇」が放送され、期間中は公式サイトのトップ絵や登場人物一覧、新聞のテレビ欄やEPGの表記、オープニングやエンディングのアニメーション、サブタイトルの文字(筆文字→金色のワードアート)、さらには監督コメントまでが完全な『金魂'』仕様になった[20]。
2013年3月28日をもって第2期延長戦の放送が終了。全13話[21]。公式によると「テレビの放送はもともと3月終了でその後の春に映画ロードショーという皮算用だった」という[22]。2013年4月よりBSジャパンで『よりぬき銀魂さん』が開始され、内容はテレビ東京が放送した特選放送ではなく、BSジャパンが未放送となっていた第2期を特選放送。9月末、227話の『SKET DANCE』とのコラボ回にて終了(次回予告はしていた)。そして2013年7月6日に公開された『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』[23]をもってアニメ銀魂は一度完結とされた。
2014年12月21日のジャンプフェスタ2015で2年ぶりの新シリーズの存在が明らかとなり[24]、2015年4月8日より水曜18:00 - 18:30の枠で「銀魂゜」のタイトルで放送開始。
2015年4月をもって当作品の制作・権利が、サンライズから新たに分社化された子会社のバンダイナムコピクチャーズに移管[25]。制作スタッフも監督が宮脇千鶴に交代し、第2期延長戦までシリーズ構成を担当していた大和屋暁が降板、藤田が監修に退き高松が音響監督に移動するなど多くのスタッフが入れ替わっている。
第3期では部分的なアニメオリジナルのパロディネタを除き、完全なアニメオリジナルストーリーが一切放送されなかった。
性転換篇が放送された第275話・第276話のEDでは性別が変わったキャラは性転換後の容姿になった。第275話では万事屋・真選組・九兵衛が変更され、第276話ではあやめ・月詠・お登勢・キャサリンも変更された。性転換篇に登場しない桂・坂本・エリザベスは頭にリボンが付け足された。同篇放送中は公式サイトのキャラクター紹介でもお登勢・キャサリンを除き性別や名前が変わったキャラは性転換後の容姿および名前になっていた[26]。
2015年11月3日に、12月2日から『将軍暗殺篇』を放送することが大々的に発表される。同時に将軍暗殺篇のキービジュアルが公開された他、レギュラーの万事屋3人の声優のコメントも発表され[27]、11月11日の放送後には特別予告編が流れた。2016年2月3日からは第3期の完結編として『さらば真選組篇』が引き続きアニメ化された。演出面においても、番組ロゴ、OP・ED映像、本編サブタイトルの挿入部分、アイキャッチが変更されたりと、本編のシリアスな展開に合わせた構成となっている。
1年間の放送を経て2016年3月30日をもって放送終了。全51話[28]。原作第44巻の第三百八十四訓・第三百八十五訓と第47巻から第61巻までの内容がアニメ化された。
2017年1月9日より、CS放送やテレビ東京系列以外の一部の放送局を除けば初の深夜枠で「銀魂.」のタイトルで第4期が放送された。プラニングマネージャーの役職が廃止された代わりに企画が加わり、製作クレジットの表記が「銀魂製作委員会」に変更された。また、深夜枠への移動に伴い字幕放送は未実施となっている。
同年3月27日までは第61巻から第66巻の第五百九十五訓までの『烙陽決戦篇』がアニメ化され、終了後は実写版の宣伝を兼ねる形でセレクション再放送『よりぬけ!銀魂さん 過去回想篇』が放送された[29]。烙陽決戦篇や銀ノ魂篇ではアニメの1話分に原作の4話以上を使用することがあり、過去の長編と比較して進行速度が早くなっている。また、演出面も概ね将軍暗殺篇以降に準じている。
2017年10月2日から同年12月25日は『ポロリ篇』と題し、第48巻から第56巻のうち将軍暗殺篇以降の放送に伴ってアニメ化されなかった原作が順次アニメ化された[注 6]。
2018年1月8日から同年3月26日は『銀ノ魂篇』の「前半戦」と称し、第66巻の第五百九十六訓から第70巻の六百三十一訓までがアニメ化された。なお、『銀ノ魂篇』の放送に伴い、番組ロゴが再度変更されている。2018年7月9日からは「後半戦」と称し、第70巻の六百三十二訓から第76巻の第六百八十七訓の前半部分までがアニメ化された。
幾度の休止期間や『よりぬき銀魂さん』を挟みながら、2018年10月8日をもって放送終了。全51話。
2021年1月8日より『銀魂 THE FINAL』が公開。また、映画公開後の同年1月15日と1月20日には、『銀ノ魂篇』のその後にあたる第76巻の第六百八十七訓の後半から第77巻の第六百九十六訓中盤までのストーリーを再構成したものがアニメ化され、映画『銀魂 THE FINAL』の前日譚『銀魂 THE SEMI-FINAL』としてdTVで独占配信された[30][31]。OPは『銀ノ魂篇』から継続しているが、一部スタッフとEDは『銀ノ魂篇』から変更されている。
2023年3月19日に開催された「銀魂後祭り2023(仮)」にてスピンオフ小説『3年Z組銀八先生』のアニメ化特報が公開された[32]。同年12月17日に開催された「ジャンプフェスタ2024」では同作が2025年にテレビ東京系列ほかにて放送されることが発表された[33]。
原則としてソニー・ミュージックエンタテインメント系列出身のアーティストが担当。
長編の際は、最終話のEDがそのクールのOPもしくはEDを長くした特殊エンディングとして流れることが多い。また、第2期までは4クール(1年)区切りでも特殊エンディングが流れた。
「桃源郷エイリアン」までは2クールごと、「ジレンマ」以降は1クールごとに変更されるようになっている。
TXNでは第1話・第2話および第11話・第12話は1時間スペシャルとして放送された。
TXN系列6局では同時ネット[注 61]かつ、第3期『銀魂゜』まで字幕放送を実施[注 62]。
全てアニプレックスより発売。巻数横のキャラクター名はその巻のジャケットを飾るキャラクターを表す。各巻に各シーズンの全巻購入者特典応募券(第1巻は申込書付き)が付属されている。
『銀魂゜』からはBlu-ray版(完全生産限定版のみ)も同時発売。
全巻初回購入者特典はジャケットサイズコレクションカード収納バインダーとシークレットカード。完全生産限定版、もしくは初回限定版にはジャケットサイズコレクションカード、特製千社札シール封入。
全巻初回購入者特典は特製トランプ。完全生産限定版、もしくは初回限定版には「3年Z組銀八先生」仕様アナザージャケット封入。ジャケットのキャラクターはキャラクター名コンビファン投票の上位13組である(ただし、登場した順番が順位と連動しているわけではない)。結果発表は第13巻で行われた。
全巻初回購入者特典はDVD版権BOOK(仮)。全巻全てに完全生産限定版、もしくは初回限定版にはカレンダーカード(毎月集めて楽しいカレンダー)、描き下ろしのアナザージャケット封入。
テレビ放送開始前に、ジャンプフェスタアニメツアー'05で上映されたオリジナルアニメ作品。上映時間約30分。原作の第17訓をベースにオリジナルエピソードを加えた本編に、ショートアニメや嘘CMなどを付けた物で、テレビシリーズのパイロットフィルム・プロトタイプとなる。その後、一部のシーンをカットして、音声を録り直したものがテレビシリーズ第125話で放送され、冒頭の世界観の説明のシーンなどの一部シーン、オープニングタイトル(本編ではCM前後のアイキャッチとして使用)は本編でも流用された。
ジャンプスーパーアニメツアー2008で上映された特別編。上映時間約10分。攘夷志士時代のエピソードを予告編風に映像化したもので、白夜叉降誕の来春公開および同時上映が『真選組上京編』とウソ告知もされていた。キャッチコピーは「そして修羅は生まれた。」。その後、一部のシーンをカットし音声を録り直したものがテレビシリーズ第209話で放送された。
第3期放送開始前に、ジャンプスペシャルアニメフェスタ2014で上映された特別編。冒頭の銀時、新八、神楽による挨拶と初のアニメ化となる第三百十二訓「超必殺技はコマンド難すぎて出せない」とショートアニメで構成されている。ショートアニメでは第三百十二訓では未登場の真選組、お登勢、キャサリン、猿飛あやめ、坂本辰馬が登場している。制作スタッフは第3期と同じだが、アニメ制作はバンダイナムコピクチャーズではなく第1期〜第2期延長戦を担当したサンライズになっている。
『ジャンプスペシャルアニメフェスタ2015』で上映。『銀魂゜』第10巻映像特典として収録。後半は将軍暗殺篇の告知映像。
いずれも配給はワーナー・ブラザース映画。
韓国ではトゥーニバースが2008年7月から2009年1月にかけて、アニメ1年目にあたる第1話から第49話まで放送されていた。イタリアのMTVでも、2007年12月から2008年5月にかけて第1話から第24話までが放送されていたが、第25話以降の放送は不明である。また、台湾・香港・タイでも放送されている。韓国では19歳以上視聴可の指定を受けており、台湾でも一部のシーンが修正・カットしている。タイでは2年目以後と劇場版は別の声優をアフレコして、タバコ・武器(木刀も含む刃物や拳銃のみ)・踏み足・裸体(モザイクをつけた部分のみ)をぼかした。
200以上の国と地域でサービスを展開しているCrunchyrollがテレビ東京と公式に契約して英語字幕付きのエピソードを全話配信している。
英語吹替え版は現在、第1話から第49話までと、第266話から第316話までが製作されている。