もう頬づえはつかない
『もう頰づえはつかない』[2](もうほおづえはつかない)は、日本の小説家・見延典子の小説。早稲田大学第一文学部文芸科の卒業制作として書かれ、『早稲田文学』に発表された。1978年11月、講談社より刊行。 小説1978年、早稲田大学文学部文芸科の学生だった見延典子が卒業小説として講談社より発表。一人の女子大生が体験する愛や性を二人の男子学生の存在により描く。女性読者から 「まるで自分のことが書かれているようだ」 と言わしめるリアルな性体験を渇いた筆致と醒めた視点(観点)から淡々と綴った本作は同世代の学生やOLを中心に脚光を浴び、熱烈な支持を受ける。程なく世代を超えて話題となり、総計50万部を売り上げるベストセラーとなる。 映画1979年に東陽一監督によってATGで映画化、配給された。出演者は桃井かおり、奥田瑛二、森本レオ、伊丹十三、加茂さくら、日夏たより、伊佐美津江、織本順吉など。桃井の演技は、高い評価を得た。 村上弘明が終盤の短い出演でデビューしているが、当初主演の男女二人は新人でいくつもりでオーディションで村上に決まっていたが、桃井かおりが相手役と決まり釣り合いを考えて監督が奥田英二(現:奥田瑛二)に主演を変えた[3]。 あらすじ(映画)1970年代の東京。まり子は女子寮で暮らす平凡な大学生である。娘に帰って欲しい母親からは仕送りを止められ、アルバイトで生活するまり子。一年ほどルポライターで男臭い恒雄と付き合っていたが、恒雄が不意に姿を消した後は、軽薄な大学生の橋本と好きでもないのに成り行きで男女の関係になっていた。 まり子のバイト先の美容室で、オーナーのトキ子が痴情のもつれから夫の足を刃物で刺した。刑事事件にはならず夫婦は撚りを戻したが、まり子はバイトを失う。そんな時、半年ぶりに恒雄が姿を現した。嫉妬して恒雄に突っかかる橋本。だが、一溜まりもなく恒雄にふっ飛ばされた。 やがてまり子は妊娠に気付く。中絶するには相手の男性のサインが必要で、恒雄と連絡を取ろうとしたが、やっと電話をかけて来た恒雄は話も聞かず、一方的に30万の金を作れと要求した。別居中で東京に住む父親と会ってはみたが、まり子は金のことが言い出せない。 帰省先で就職を決めて東京に戻った橋本はまり子との結婚を考えていた。だが、恒雄のサインを偽造したまり子は中絶手術を受け、橋本には別れの“書き置き”を一枚残して終わりにした。 会って妊娠について話しても「堕ろせ」としか言わない恒雄。彼は、ヤクザ関連の記事が原因で30万を払えと脅され逃げ回っていたのだ。自分のことしか考えない恒雄に幻滅してまり子は席を立つ。その後、女子寮を退去するために1人で元気に荷造りするまり子の明るい姿があった。 キャスト
受賞
主題歌
概要作詞:寺山修司、作曲:田中未知、編曲:J. A.シーザーの「天井桟敷」ゴールデン・トリオにより制作された。歌唱は荒井沙知。発売元はビクター。7インチシングル盤規格品番:SV-6621。1979年8月発売。 B面曲の「しゃぼん玉消えた」も同一作家陣による作品である。「もう頰づえはつかない」「しゃぼん玉消えた」共にCD化済[4]。 2003年6月4日、『寺山修司 作詞+作詩集』の『作詞集』の締め括りとして本作が収録、再CD化されソニー・ミュージックエンタテインメントより発売(ISRC:JPVI07907630)[5]。 2007年2月25日、荒井沙知のアルバム『赤い鳥ひとり』がCD化され発売された折、「もう頰づえはつかない」「しゃぼん玉消えた」共にボーナストラックとして収録された(販売:SHOWBOAT、規格品番:SWAX-79)。 備考
サウンド・トラック「もう頰づえはつかない 桃井かおり」 Side A
Side B
1979年 ビクター:規格品番 / LP:KVX-1059 / CT:VCK-1427 出典
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