「アイ・ニード・ユー」(I Need You)は、ビートルズの楽曲である。1965年に発売された5作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ヘルプ!』に収録された。作詞作曲はジョージ・ハリスンで、ハリスンにとって2作目の公式発表曲となった。ビートルズ主演の映画『ヘルプ!4人はアイドル』では、ソールズベリー平原(英語版)で撮影された屋外でのレコーディングのシーンで使用された。
2006年に出版された『Recording the Beatles』では、EMIの4トラック・レコーダーが捉えることが出来た「暖かく、充実したサウンド」の一例として本作が挙げられている[33]。ジャーナリストのキット・オトゥールは、本作のリードギターのエフェクトやその他のフォークロックの素質がバーズに影響を与え、そのサウンドがビートルズに影響を与えることになったという認識を示している[16]。
映画『ヘルプ!4人はアイドル』での使用
「アイ・ニード・ユー」のシーンは、5月3日から5日にかけて撮影され[34]、ウィルトシャーのソールズベリー平原(英語版)でバンドが曲に合わせてマイム演奏する様子で構成されている。映画の撮影が開始されて以来、ビートルズとりわけハリスンとレノンが長編映画で期待されていたパブリック・イメージから遠ざかるような出来事が起こり、バンドの考え方に大きな影響を与えていた[35][36]。これらの出来事の中でハリスンは、バハマで地元のヒンドゥー教の学者から『Complete Illustrated Book of Yoga』をプレゼントされたことから、インド哲学に興味を持ちだし[37]、3月下旬にはレノンとボイド、レノンの妻であるシンシアと共に[38]LSDを初めて体験し[39]、4月にロンドンで行なわれたレストランのシーンの撮影時に初めてシタールを知ることとなった[40]。ティラリーは、「1965年はハリスンの人生における最も『重要な』1年であり、LSDは彼の永続的な精神的な悟りの探求への扉を開いた」と述べている[41]。
2004年版の『ローリングストーン・レコードガイド(英語版)』に寄稿したロブ・シェフィールド(英語版)は、「アイ・ニード・ユー」と「ユー・ライク・ミー・トゥ・マッチ」を「人々に知られている最も素晴らしいジョージの曲」と評している[56]。一方で、『ポップマターズ(英語版)』の編集者であるジョン・バーグストロームは、2009年に発表した「The worst of the Beatles」と題したリストで本作を取り上げ、ハリスンのボーカルについて「愛に満ちた歌詞が誠実であるにもかかわらず、平坦で自信なさげ」、ギターのボリュームペダルの使い方について「初歩的」と断じた[57]。
ジョージ・マーティンは、1965年にビートルズの楽曲をオーケストラで演奏したアルバム『Help!』に、本作のインストゥルメンタル・バージョンを収録している[61]。サンシャイン・カンパニー(英語版)は、1967年に発売したアルバム『Happy Is the Sunshine Company』にジョージ・ティプトン(英語版)がアレンジを手がけたカバー・バージョンを収録した[62]。
Inglis, Ian (2010). The Words and Music of George Harrison. Santa Barbara, CA: Praeger. ISBN978-0-313-37532-3
Jackson, Andrew Grant (2015). 1965: The Most Revolutionary Year in Music. New York, NY: Thomas Dunne Books. ISBN978-1-250-05962-8
Leng, Simon (2006). While My Guitar Gently Weeps: The Music of George Harrison. Milwaukee, WI: Hal Leonard. ISBN978-1-4234-0609-9
Lewisohn, Mark (2005). The Complete Beatles Recording Sessions: The Official Story of the Abbey Road Years 1962-1970. London: Bounty Books. ISBN978-0-7537-2545-0
Pedler, Dominic (2003). The Songwriting Secrets of the Beatles. London: Omnibus Press. ISBN978-0-7119-8167-6
Robertson, John (2002). “Help!: The End of the Beginning”. Mojo Special Limited Edition: 1000 Days That Shook the World (The Psychedelic Beatles - April 1, 1965 to December 26, 1967). London: Emap. pp. 10-17
Ryan, Kevin; Kehew, Brian (2006). Recording the Beatles: The Studio Equipment and Techniques Used to Create Their Classic Albums. Houston, TX: Curvebender Publishing. ISBN0-9785200-0-9
Winn, John C. (2008). Way Beyond Compare: The Beatles' Recorded Legacy, Volume One, 1962-1965. New York, NY: Three Rivers Press. ISBN978-0-307-45239-9
Womack, Kenneth (2017). Maximum Volume: The Life of Beatles Producer George Martin - The Early Years, 1926-1966. Chicago, IL: Chicago Review Press. ISBN978-1-61373-189-5