アジェナは直径が1.5メートル(5.0 feet)あり、三軸安定していた(偵察システムカメラの役に立つようにである)。搭載していた Bell 8096エンジンは、燃料に非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)/酸化剤に抑制赤煙硝酸(IRFNA)の組み合わせを用いて71 キロニュートン(16,000 lbs.)の推力を有していた。この組み合わせはハイパーゴリック推進剤であり、故に点火システムを必要としなかった。このロケットエンジンは頻繁に行われる無線操作で、軌道上で何回にもわたって再着火することができた。エンジンはアルミニウム製であったことは特筆に値する。スロートとノズルを冷却するための再生冷却水管はまっすぐなガンドリル(英語版)であけられていた。エンジンは、コンベアB-58ハスラー爆撃機のキャンセルされたロケット推進核弾頭ポッドのために開発されたXLR81推進システムから派生したものだった。1959年まで、アジェナはDiscoverer Vehicle もしくは Bell Hustlerとしても知られていた[3]。アポロ計画の有人月着陸船上昇段に使用されたエンジンはアジェナを忠実に模倣した。水平飛行するアジェナの姿勢制御は3つのジャイロスコープ、2つの水平線センサー、窒素-フロン混合物を噴き出すマイクロジェット、これら三種類の機器を制御する慣性誘導パッケージからもたらされた。ピッチング-ローリング制御は、2つの密封された積算ジャイロユニットで測られた。レート・ジャイロユニットは軌道上を進む速さを測ることでヨーエラーを測定した。ジャイロで測ったピッチングとローリングの誤差は水平線センサーで、後期版で追加された太陽トラッカーとスター・トラッカーでの測定も追加して修正された。これらのことは、アジェナに、改良されたコロナのカメラによって、より良い地上解像度の画像を得る為に必要な、高い照準安定性を与えることを可能にさせた[1]。アジェナは、宇宙空間で地球を周回している間は一定の方向を向くよう設計されたので、静的な熱制御システムが搭載された[1]。アジェナの電力の主供給源は酸化銀電池である。1960年代初頭からは、不足する電力は太陽電池で補われた。S-バンド・ビーコンが、アジェナに(画像のぶれを補償したり、姿勢を変更したり、等々の)地上命令シーケンスを受信させることを可能にした。一定の時間を経た後で実行するように、内蔵の記憶装置にストアすることすらも可能だった[1]。
アジェナD型はロッキード社工学担当執行役員ローレンス・エドワーズ(英語版)のした提案の結果であった。エドワーズは基本的なアジェナの構成を標準化することを提案し、ペイロードの要件次第で付加的な要目を追加するように持ちかけた。また、彼は、アメリカ国防総省からの「タイタンロケットと運用上で互換性が有るようにせよ」との要望があることも暗に漏らしたのである。デイヴィッド・スパイアズ(David N. Spires)は標準化をこのように要約する。
The Agena D's common configuration included four usable modules containing the major guidance, beacon, power, and telemetry equipment, a standard payload console, and a rear rack above the engine for plug-in installation of optional gear-like solar panels, "piggyback" subsatellites, and an optional Bell Aerosystems engine that could be restarted in space as many as sixteen times.
1970年代初頭、ロッキード社はスペースシャトルのペイロード・ベイ内にてアジェナを使えるかどうかに関して研究を行った。カーゴベイの内径に合わせて太くしたアジェナC型が提案されたが、ついに造られることは無かった。アジェナ2000型が近代化されたアジェナとして設計され、発展型使い捨てロケットアトラス V Light・コンフィギュエーションの上段として使われることが予想された[10]。アトラスVライトはミディアムコンフィギュエーションの標準化をするために、白紙撤回された。結果、アジェナ2000は二度と作られることは無かった。
^Genesis of Agena D: America's Most-Used Space Vehicle, lead article in Cold War Space History: Programmes, Space Chronicle, May 2006. Edited by Dwayne A. Day(英語版).
^Krebs, Gunter. “Atlas-5”. Gunter's Space Page. 20 July 2010閲覧。