アセメタシン
アセメタシン[1](Acemetacin)は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)で、変形性関節症、関節リウマチ、腰痛、術後の疼痛緩和などの治療に用いられる。 効能・効果
リウマチ性炎症のほか、手術後や外傷後の痛み、痛風の発作などにも効果があるとされている[2][3]。なお、術後の疼痛に対する単回投与については、十分な裏付けが得られていない[4]。 禁忌下記の患者に禁忌である[5]。
禁忌は基本的に他のNSAIDsと同様で、過去のNSAIDに対する過敏反応(典型的には喘息や皮膚反応)、胃腸や脳の出血、消化性潰瘍、造血器系疾患(貧血、白血球減少)、妊娠第3期などが挙げられる[2][6]。 副作用重大な副作用は[5]、
さらに活性代謝物(インドメタシン)の重大な副作用は、
である。 一般的な副作用(患者の約1-10%)としては、吐き気、下痢、胃痛、消化性潰瘍などのNSAIDに典型的な胃腸障害、頭痛や眩暈などの中枢神経障害、皮膚反応などがある。消化管の忍容性は、関連薬であるインドメタシンよりも優れている。また、重篤なアレルギー反応や造血器障害の発現率は0.01%未満である[2][3]。 相互作用NSAIDの典型的な相互作用として以下のようなものが報告されている[2][3]。
作用機序→詳細は「非ステロイド性抗炎症薬 § 作用機序」を参照
シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害薬として作用し、抗炎症作用と鎮痛作用を発揮する。体内では一部がインドメタシンに代謝され、同じくCOX阻害薬として作用する。同じ機構によって解熱作用や抗血小板作用も発揮されるが、これらは臨床的には使用されておらず、また典型的なNSAIDの副作用でもある[2][3]。 インドメタシンと比較して胃障害が軽減されることが利点である。これはロイコトリエンB4の合成や腫瘍壊死因子(TNF)の発現を増加させる作用が弱く、その結果、白血球-内皮の接着の誘導が少ないためと考えられる[7][8]。 薬物動態腸から迅速かつほぼ完全に吸収される。最高血中濃度には2時間後に到達する。血漿タンパク質との結合率は80-90%である。滑液、滑膜、筋肉、骨における濃度は血中より高くなる[2]。 投与後には活性代謝物であるインドメタシンとは別に、インドメタシンとアセメタシンのO-デスメチル誘導体、デス-4-クロロ安息香酸誘導体、O-デスメチル-デス-4-クロロ安息香酸誘導体、およびこれらの物質のグルクロニド(酵素UGT2B7が少なくとも部分的に関与している[9])など、多くの不活性代謝物が検出される。定常状態での排泄半減期は4.5±2.8時間(一部のヒトでは16時間)。40%が尿中に、50%が糞中に排出される[2][3]。 化学的特徴インドメタシンのグリコール酸エステルである。僅かに黄色がかった微細な結晶性の粉末であり、150-153℃で融解する。多形であり、4種類の無水結晶形と2種類の一水和物結晶形が知られている[3]。 参考資料
|