オグロシギ(尾黒鷸、学名:Limosa limosa)は、チドリ目シギ科オグロシギ属に分類される鳥類の一種である。和名は尾羽が黒いことによる[3]。
分布
ユーラシア大陸の中部から北部で繁殖し、アフリカ、インド、オーストラリアで越冬する[4]。
日本では、北海道から沖縄までの各地で旅鳥として春と秋に渡来するが、数はあまり多くない[5]。春より秋の方が飛来数が多い[4]。
形態
全長約38 cm[4]、翼開長は約67 cm[5]。雌の方が雄よりも体がやや大きい[5]。
雄の成鳥夏羽は、頭部から胸が赤褐色で、頭頂から後頸にかけて黒い縦斑がある。顔には白い眉斑がある。体の下面は白く、赤褐色と黒褐色の横斑がある。上尾筒は白色で尾羽は黒く、飛翔時にはよく目立つ。成鳥雌の夏羽は雄に比べて淡色である。成鳥冬羽は、頭部から胸にかけてと体の上面が灰褐色になる。
生態
渡りの時期は、水田、湿地、干潟、河口に生息する[5]。小群で行動していることが多い
[4][5]。繁殖期には湿地や湖沼の岸辺の草地などに生息し、小さなコロニーを形成することもある。
食性は動物食で、昆虫類、貝類、ミミズ、ゴカイなどを捕食する[3][4][5]。
繁殖形態は卵生。繁殖時期は4-7月で、地上の窪みに営巣して普通4卵を産む。抱卵日数は21-23日である。小さなこもった声で、「ケッ」や「キッ」と一回か数回続けて鳴く[4]。
2007年の調査で、アラスカからニュージーランドまでの1万1500キロを平均時速56キロで9日間かけて飛ぶことがわかっている。[6]
分類
オグロシギ属
オグロシギ属には、以下の種がある。
- Limosa fedoa
- Limosa haemastica アメリカオグロシギ
- Limosa lapponica オオソリハシシギ
- Limosa limosa オグロシギ
亜種
本種は以下の3亜種に分類されている[1][2]。
- L. limosa islandica
- デンマークのフェロー諸島、スコットランドのシェトランド諸島、ノルウェーのロフォーテン諸島、アイスランドで繁殖し、フランスなどで越冬する[1]。
- L. limosa limosa
- 西ヨーロッパ、中央ヨーロッパ、中央アジア、ロシアまでの広範囲で繁殖し、フランスとイベリア半島を経由して西アフリカで越冬する[1]。
- L. limosa melanuroides オグロシギ
- モンゴル、中国北部、ロシア東部で繁殖し、地中海のサハラ以南のアフリカ、中東、インド、インドシナ、台湾、フィリピン、インドネシア、オーストラリアで越冬する[1]。一部が旅鳥として日本を経由する。
種の保全状況評価
国際自然保護連合(IUCN)により、準絶滅危惧(NT)の指定を受けている[1]。
日本の以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている[7]。
脚注
参考文献
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
オグロシギに関連する
メディアおよび
カテゴリがあります。
ウィキスピーシーズに
オグロシギに関する情報があります。