ケイド・パーカー・カニングハム(Cade Parker Cunningham, 2001年9月25日 - )は、アメリカ合衆国テキサス州アーリントン出身のプロバスケットボール選手。NBAのデトロイト・ピストンズに所属している。ポジションはポイントガード。
経歴
生い立ち
テキサス州アーリントンに生まれる[2]。幼少期はアメリカンフットボールをプレーしており、クォーターバックを務めていた[3]。兄が大学でバスケットボールをプレーしている姿を見て自身もバスケットボールを始めた[4]。
ハイスクール
地元のブーイ高等学校(英語版)に進学し、1年目からスターターとして活躍。平均15.2得点、6.4リバウンド、3.0アシストの成績を記録し、ニューカマー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。2年目は平均18.8得点、8.2リバウンド、5.3アシストと前年からさらに成績を伸ばし、リーグMVPを受賞した[5]。
3年目のシーズンが始まる前に、コーチング面でUSAトゥデイの国内ランキング1位になっていたモントバード・アカデミー(英語版)に転校[6]。アカデミー1年目のシーズンは平均11.4得点、5.7リバウンド、5.5アシストの成績を記録。
シーズン終了後の夏はナイキ主催のAAUリーグ、ナイキEYBL(英語版)でプレーし、MVPを受賞した[7]。
アカデミー2年目のシーズンにはいずれも世代トップクラスの才能を持つスコッティ・バーンズとデイロン・シャープがチームに加わり、カニングハムと共にビッグ3を形成。これにより多くのメディアからアメリカの高校バスケ史上最強チームと評された[8]。そしてその評判通り、チームはシーズン25勝0敗という驚異的な成績を残す。カニングハムは平均13.9得点、6.4リバウンド、4.2アシストの成績を記録。大差で勝つ試合が多かったため、平均出場時間は僅か22分であった[9]。この活躍によりマクドナルド・オール・アメリカン、ジョーダン・ブランド・クラシック、ナイキ・フープサミットに選出されたが、新型コロナウイルスの影響により全て中止となった[10]。
リクルート
カニングハムはこの年の高校生の中ではジェイレン・グリーンと共に最大級の評価を受け、ESPN、ライバルズ(英語版)、247スポーツ(英語版)の主要3サイトからいずれも5つ星で評価された[11]。このうちライバルズと247スポーツではカニングハムが全体1位でグリーンが2位、ESPNではグリーンが全体1位でカニングハムが2位にランクインした。デューク大学、ケンタッキー大学、ノースカロライナ大学などNCAAの強豪チームからオファーを受けた[11]が、実兄であるキャネンがアシスタントコーチを務めるオクラホマ州立大学への進学が予想された[12]。そして2019年11月5日にオクラホマ州立大学への進学を正式に表明。同大学に5つ星評価を受けた新人が入学するのは2012年のマーカス・スマート以来であった[13]。
カレッジ
2020年11月25日のテキサス大学アーリントン校戦でNCAAデビューを飾り、21得点、10リバウンドのダブルダブルを記録し勝利に貢献[14]。12月8日のオーラル・ロバーツ大学(英語版)戦では最後の91秒間で13得点を記録するなど合計29得点を記録しチームを勝利に導いた[15]。その後もエースとして活躍し、平均20.1得点、6.5リバウンド、3.5アシストの成績を記録してビッグ12カンファレンスの年間最優秀選手賞を受賞。シーズン終了後に2021年のNBAドラフトにアーリーエントリーした[16]。
ドラフトでは多くのメディアから全体1位指名を予想されており、カニングハム自身も1位指名を強く望んだ。そしてドラフト抽選でデトロイト・ピストンズが全体1位指名権を獲得すると、ドラフト前のワークアウトはピストンズのみと行うことを明かした[17]。また、ドラフト前にナイキと複数年のシューズ、アパレル契約を結んだ[1]。
デトロイト・ピストンズ
2021年のNBAドラフトでは前評判通りピストンズから全体1位指名を受け、その後ルーキー契約を結んだ[18]。大学時代の背番号「2」はピストンズでは2009年に亡くなったチャック・デイリーの永久欠番であったが、デイリーの遺族に許可を得て、カニングハムが着用することが決まった[19]。
2021-22シーズンは足首の怪我により開幕後最初の5試合を欠場した。2021年10月30日のオーランド・マジック戦でNBAデビューしたが、2得点に終わった。これは2013年のアンソニー・ベネットと並び、ドラフト全体1位指名選手のデビュー戦における最小得点だった[20]。11月21日のロサンゼルス・レイカーズ戦で13得点、12リバウンド、10アシストを記録し、球団史上最年少でトリプル・ダブルを達成したが、試合は116-121で敗れた[21]。2022年1月25日のデンバー・ナゲッツ戦でキャリアハイとなる34得点、8リバウンド、8アシスト、4ブロック、2スティールを記録した[22]。2月18日にNBAオールスターウィークエンドのライジング・スターズ・チャレンジに選出された[23]。このシーズンは64試合に出場して平均17.4得点・5.5リバウンド・5.6アシストを記録。なお、新人選手がシーズン平均17得点・5リバウンド・5アシスト以上を記録したのはルカ・ドンチッチ、タイリーク・エバンス、レブロン・ジェームズ、スティーブ・フランシス、グラント・ヒル、マイケル・ジョーダン、マジック・ジョンソン、アルヴァン・アダムス、オスカー・ロバートソンに次いでNBA史上10人目であり、その中でもマジックに次いで史上2人目となる新人王を受賞できなかった選手となった[24]。
2022-23シーズン、2022年10月28日のアトランタ・ホークス戦でシーズンハイとなる35得点を含む9リバウンド、8アシストを記録したが、試合は116-132で敗れた[25]。11月9日のボストン・セルティックス戦では11本放ったシュートを1本しか成功できず4得点に終わり、チームは112-128で敗れた。この試合後に左脛の疲労骨折が発覚して長期離脱し、12月12日に手術を受けてシーズン残りの試合を全休することが発表された[26]。このシーズンは12試合に出場して平均19.9得点・6.2リバウンド・6.0アシストを記録した。
2023-24シーズン、2023年12月18日のホークス戦でキャリアハイとなる43得点を記録したが、試合は124-130で敗れた[27]。同月26日のブルックリン・ネッツ戦では41得点を記録したが、試合は112-118で敗れ、ピストンズは1シーズンにおけるNBAワースト記録となる27連敗を喫した[28]。同月28日のセルティックス戦では31得点、9アシストを記録したが、チームは122-128でまたしても敗れ、NBA史上最長となる28連敗となった[29]。同月30日のトロント・ラプターズ戦では30得点、12アシストを記録。試合も129-127で勝利し、連敗を28で止めた[30]。このシーズンは62試合に出場して平均22.7得点・4.3リバウンド・7.5アシストを記録した。
2024-25シーズン開幕前の2024年7月10日にピストンズと5年総額2億2,400万ドルのマックス契約を結んだ[31]。開幕後、2024年11月8日のアトランタ・ホークス戦で決勝点となるフローターを含む22得点、11リバウンド、13アシストのトリプル・ダブルを記録し、チームは122-121で辛勝した[32]。同月17日のワシントン・ウィザーズ戦で自身6度目のトリプル・ダブルとなる21得点、10リバウンド、10アシストを記録し、トリプル・ダブル達成試合数のフランチャイズ記録を更新した[33]。12月16日のマイアミ・ヒート戦でキャリアハイとなる18アシストを含む20得点、11リバウンドを記録し、チームはオーバータイムの末に125-124で辛勝した[34]。
個人成績
NBA
レギュラーシーズン
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
2021–22
|
DET
|
64 |
64 |
32.6 |
.416 |
.314 |
.845 |
5.5 |
5.6 |
1.2 |
.7 |
17.4
|
2022–23
|
12 |
12 |
33.3 |
.415 |
.279 |
.837 |
6.2 |
6.0 |
.8 |
.6 |
19.9
|
2023–24
|
62 |
62 |
33.5 |
.449 |
.355 |
.869 |
4.3 |
7.5 |
.9 |
.4 |
22.7
|
通算
|
138 |
138 |
33.1 |
.432 |
.329 |
.858 |
5.0 |
6.5 |
1.0 |
.5 |
20.0
|
カレッジ
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
2020–21
|
オクラホマステート
|
27 |
26 |
35.4 |
.438 |
.400 |
.846 |
6.2 |
3.5 |
1.6 |
.8 |
20.1
|
人物
2019年のバスケットボールU-19世界選手権でマクドナルドのハンバーガーを食べたことをきっかけにヴィーガンとなった[35]。
脚注
- ^ a b Nick, DePaula (2021年7月21日). “Projected No. 1 NBA draft pick Cade Cunningham signs multiyear endorsement deal with Nike” (英語). ESPN. 2022年1月26日閲覧。
- ^ “Cade Cunningham” (英語). www.usab.com. 2021年2月13日閲覧。
- ^ Alexandra Francisco | afranci3@masslive. com (2019年1月21日). “Quarterback of the court: How football helped Cade Cunningham become a 5-star basketball prospect” (英語). masslive. 2021年2月13日閲覧。
- ^ “Cade Cunningham excels with u19 team, talks recruiting” (英語). ScoutHoops.com. 2021年2月13日閲覧。
- ^ “2018 SportsDayHS boys basketball All-District lists for area teams” (英語). Dallas News (2018年3月23日). 2021年2月13日閲覧。
- ^ “Why 5-star basketball recruit Cade Cunningham is leaving Arlington Bowie to join the nation's No. 1 HS team” (英語). Dallas News (2018年7月20日). 2021年2月13日閲覧。
- ^ “Basketball” (英語). SportsEngine (2019年8月20日). 2021年2月13日閲覧。
- ^ O'Donnell, Ricky (2020年1月21日). “Why Montverde is being called the best high school basketball team ever” (英語). SBNation.com. 2021年2月13日閲覧。
- ^ “MaxPreps 2019-20 High School Boys Basketball Player of the Year: Cade Cunningham - MaxPreps”. www.maxpreps.com. 2021年2月13日閲覧。
- ^ “McDonald's All American Game Cancelled Amid COVID-19 Concerns” (英語). SI.com. 2021年2月13日閲覧。
- ^ a b O'Donnell, Ricky (2019年7月26日). “Cade Cunningham is made for modern basketball” (英語). SBNation.com. 2021年2月13日閲覧。
- ^ “Cade Cunningham, Oklahoma State Cowboys, Point Guard” (英語). 247Sports. 2021年2月13日閲覧。
- ^ “Cade Cunningham commits to Oklahoma State” (英語). sports.yahoo.com. 2021年2月13日閲覧。
- ^ “Cunningham double-double helps Oklahoma St. top UT Arlington” (英語). Oklahoma State University Athletics. 2021年2月13日閲覧。
- ^ “Oral Roberts vs. Oklahoma State - Game Recap - December 8, 2020 - ESPN” (英語). ESPN.com. 2021年2月13日閲覧。
- ^ Shapiro, Michael. “Cade Cunningham Declares for 2021 NBA Draft” (英語). Sports Illustrated. 2021年6月23日閲覧。
- ^ Schuster, Blake. “Woj: Cade Cunningham Will Only Visit Pistons After DET Wins Draft's No. 1 Pick” (英語). Bleacher Report. 2021年6月23日閲覧。
- ^ “‘We want Cade!’ – wish granted as Pistons grab Cunningham with No. 1 pick” (英語). Detroit Pistons. 30 July 2021閲覧。
- ^ Beard, Rod. “Pistons' Cade Cunningham to wear No. 2 with blessing of Chuck Daly's family” (英語). The Detroit News. 2021年8月1日閲覧。
- ^ “Cade to 'play free' after injury-delayed NBA debut” (英語). ESPN.com (2021年10月30日). 2024年9月23日閲覧。
- ^ “今季の新人で初! ケイド・カニングハムがピストンズ史上最年少でトリプルダブルを達成”. バスケットボールキング (2021年11月22日). 2021年11月22日閲覧。
- ^ “Jokic's 28 points, 21 rebounds leads Nuggets past Pistons” (英語). ESPN (2022年1月25日). 2022年1月27日閲覧。
- ^ “Cade named MVP in revamped Rising Stars event” (英語). ESPN.com (2022年2月19日). 2024年9月23日閲覧。
- ^ Brown, Brandon (2022年4月14日). “Cade Cunningham Should STILL Be Rookie Of The Year...Even He Thinks So” (英語). All Pistons. 2024年9月23日閲覧。
- ^ “Hawks 136-112 Pistons (Oct 28, 2022) Game Recap” (英語). ESPN. 2024年9月23日閲覧。
- ^ II, Omari Sankofa. “Cade Cunningham to undergo surgery, miss rest of Detroit Pistons' 2022-23 season” (英語). Detroit Free Press. 2024年9月23日閲覧。
- ^ “Hawks 130-124 Pistons (Dec 18, 2023) Game Recap” (英語). ESPN. 2024年9月23日閲覧。
- ^ “Nets 118-112 Pistons (Dec 26, 2023) Game Recap” (英語). ESPN. 2024年9月23日閲覧。
- ^ “Celtics 128-122 Pistons (Dec 28, 2023) Game Recap” (英語). ESPN. 2024年9月23日閲覧。
- ^ “Pistons 129-127 Raptors (Dec 30, 2023) Game Recap” (英語). ESPN. 2024年9月23日閲覧。
- ^ “Cade Cunningham agrees to 5-year, $224 million extension with Pistons” (英語). NBA.com. 2024年9月23日閲覧。
- ^ Finnegan, Troy (November 8, 2024). “Pistons' Cade Cunningham hits game-winner, blocks shot to seal win vs. Hawks”. ClutchPoints. November 8, 2024閲覧。
- ^ Vincent, Eric (November 17, 2024). “Pistons' Cade Cunningham passes Isiah Thomas with historic triple-double vs. Wizards”. ClutchPoints. November 17, 2024閲覧。
- ^ “Pistons 125-124 Heat (Dec 16, 2024) Game Recap” (英語). ESPN. (16 December 2024). https://www.espn.com/nba/recap/_/gameId/401736816 17 December 2024閲覧。
- ^ Crean, Tim (2021年7月30日). “Cade Cunningham Went Vegan After Eating McDonald’s Burgers With Team USA in Greece” (英語). Sportscasting | Pure Sports. 2022年2月14日閲覧。
外部リンク
関連項目 |
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賞歴
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1940年代 | |
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1950年代 | |
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1960年代 | |
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1970年代 | |
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1980年代 | |
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1990年代 | |
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2000年代 | |
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2010年代 | |
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2020年代 | |
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ルーキーチャレンジ | |
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ライジング・スターズ・チャレンジ | |
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