コウノトリ目 (コウノトリもく、学名:Ciconiiformes )は、鳥類 の1目 である。
かつては数科が属したが、単系統 ではなかったため、近年の分類ではコウノトリ科 のみを残してペリカン目 に移される[ 1] 。
系統
コウノトリ目はペリカン目と近縁で、現代的な分類では姉妹群 である[ 2] 。伝統的な分類ではハシビロコウ科までがコウノトリ目だった。
特徴
ここでは伝統的なコウノトリ目について述べる。
クチバシ、首、脚が長い、中大型の渉禽類 である。淡水や海岸にすみ、昆虫 、小型の甲殻類 、魚 など主に動物性の餌を捕食する。足は3前趾足(趾 が前に3本、後ろに1本)で、水かき はないかあっても小さい。
渉禽という以外に共通性が少なく、以前から単系統性は疑問視されてきた。
歴史的な分類
コウノトリ目に何を含めるかについては諸説あったが、現代的な視点では、これらはいずれも単系統ではなかった。
伝統的な分類
コウノトリ科 Ciconiidae
コウノトリ など
サギ科 Ardeidae
コウノトリ目で最も大きなグループを形成していた。主に水辺に生息する。アマサギ 、ゴイサギ 、ヨシゴイ などが属している。ヒロハシサギ科 Cochleariidae を分けることもある。
トキ科 Threskiornithidae
トキ 、ヘラサギ など
シュモクドリ科 Scopidae
シュモクドリ 1種
ハシビロコウ科 Balaenicipitidae
ハシビロコウ 1種。以前からペリカン目に含める説があった。
Sibley & Ahlquist
DNA - DNA分子交雑法 を用いたSibley-Ahlquist鳥類分類 でのコウノトリ目は、2亜目30科1022種が属する(Sibleyらによる数であり、以前のあるいは現在の分類では異なる)非常に大きな目となっていた。鳥類全体の科の約20%、種の約10%である[ 3] 。名称がコウノトリ目となったのは命名規則のためで、狭義のコウノトリ目が特別な位置にあるわけではない。
現在判明している系統図 上にプロットすると、ネオアヴェス の非常に広い範囲に分散した多系統 となっている[ 4] 。4種類の記号●■▲★は4つの下目 ((サケイ下目 , チドリ下目 ), (ハヤブサ下目, コウノトリ下目)) に対応している。
Sibleyらは系統樹をUPGMA で再構成したため、進化速度 の不均一に対しては、進化速度が遅い系統同士を結びつける間違いをしやすい。実際、広義のコウノトリ目に含まれる系統は、進化速度が遅いものが多い[ 4] 。進化速度はさまざまな要因で決まるが、要因のひとつとして世代期間があり、大型で世代 期間が長ければ進化速度は遅くなる。Sibleyらも、世代期間が短く進化速度が速いミフウズラ科の系統位置が正しく求まっていない可能性に言及しており[ 5] 、それは実際の系統図上では、進化速度が遅いチドリ目 が広義のコウノトリ目に含まれた中で、例外的に進化速度が速いミフウズラ科は含まれないという形で現れている。
Sibleyらが正しかったように見える点として、広義のコウノトリ目には、当時は考えられていなかった2つの単系統
が含まれていた。特に water birds は、Sibleyらの系統ではコウノトリ下目内の単系統(だとSibleyらが考えたグループ)[ 5] であるカツオドリ小目+コウノトリ小目にほぼ一致する。ただしこのグループには他に、実際には類縁関係にないコンドル科 とフラミンゴ科 も含まれていた。一方、フラミンゴ目とカイツブリ目はコウノトリ下目の中で離れた位置にあり、特に近縁とはされていなかった。
タカ目 と狭義のコウノトリ目については「骨格が似ていること、樹上に巣を架ける習性、また孵化したばかりの幼鳥の相似」などから、両者は近い系統ではないかという指摘が Sibley 以前からあり、これを裏付ける結果となっていた。特にタカ目のコンドル科 は複数の系統解析でコウノトリに近いとされ、アメリカ鳥学会 でもコンドルはコウノトリグループに組み入れられていた。しかし実際には、タカ目と狭義のコウノトリ目は系統的に大きく離れている。コンドル科の系統位置は細部についてはまだ議論があるものの、他のタカ目と同じ land birds 系統の内部にとどまり、狭義のコウノトリ目に近縁ということはない。
Livezey & Zusi
Livezey & Zusi (2007)[ 6] は形態系統に基づき、コウノトリ目からサギ科とハシビロコウ科をサギ目とハシビロコウ目として分離し、新たにフラミンゴ科 を加えた。
脚注
^ IOC World Bird List 2.4 Frank Gill , David Donsker and the IOC team
^ Hackett, SJ.; et al. (2008), “A Phylogenomic Study of Birds Reveals Their Evolutionary History”, Science 320 : 1763–1768
^ Sibley-Monroe checklist
^ a b Hackett, S. J.; Kimball, Rebecca T.; et al. (2008), “A Phylogenomic Study of Birds Reveals Their Evolutionary History”, Science 320 : 1763–1768
^ a b Sibley, Charles G. ; Ahlquist, Jon E. ; Monroe Jr., Burt L. (1988), “A classification of the living birds of the world based on DNA-DNA hybridization studies” , Auk 105 (3): 409–423, http://elibrary.unm.edu/sora/Auk/v105n03/p0409-p0423.pdf
^ Livezey, Bradley C.; Zusi, Richard L. (2007), “Higher-order phylogeny of modern birds (Theropoda, Aves: Neornithes) based on comparative anatomy. II. Analysis and discussion” , Zoological Journal of the Linnean Society 149 : 1–95, http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/fulltext/118484502/PDFSTART
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Source: Orders of Birds - IOC World Bird List(国際鳥類学会議 )