サイダーのように言葉が湧き上がる
『サイダーのように言葉が湧き上がる』(サイダーのようにことばがわきあがる)は、日本の長編アニメーション映画[1]。アニメ音楽レーベル「フライングドッグ」の設立10周年記念作品[1]。第25回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門審査委員会推薦作品[2]。略称は「サイコト」[3]。 概要何の特徴もない地方のショッピングモールで出逢った、人と付き合うのが苦手な俳句少年・チェリーとコンプレックスをマスクで隠す少女・スマイルが言葉と音楽で距離を縮めていく姿を描く[1]。 監督は本作がアニメ映画初監督となるイシグロキョウヘイ[1]。主人公のチェリーの声を歌舞伎俳優の市川染五郎、ヒロイン役のスマイルの声を女優の杉咲花が務める[1]。なお、市川染五郎は初映画、初主演での声優初挑戦となる[1]。 当初は2020年5月15日に公開予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大により、公開を延期した[4]。その後、続報はなかったが、同年11月4日に2021年6月25日に公開すると発表され[5]、2021年7月6日の特別試写会を経て[6]、最終的には同年7月22日に公開されることが発表された[7]。 あらすじ地方都市「小田市[注釈 1]」に暮らしている少年と少女の物語。 人との会話が苦手で、他人から話しかけられないようにとヘッドフォンをいつも身に付けている男子高校生[注釈 2]「チェリー」。チェリーは言葉に表わせない感情や想いを、趣味で親しんでいる俳句にしてSNSに投稿していた。 一方で、劣等感から歯科矯正中の大きな前歯を隠すため、いつもマスクをしている女子高校生[注釈 2]の「スマイル」。スマイルはライブ配信を手がける人気動画配信者で、日頃から目に留まった「カワイイ」を見つけて配信しながら過ごしていた。 夏休みに入った7月20日、趣味の俳句以外では思い浮かんだ心情を表現できない少年チェリーと、見た目の劣等感を受け入れられない少女スマイルは、地元の大型ショッピングモール・ヌーベルモール小田で偶然出会う。互いに劣等感を抱えたふたりは、人気動画配信者であるスマイルの配信を通じて少しずつお互いを知るようになり、距離を縮めていく。 夏休み中、チェリーはショッピングモールにある福祉施設「デイサービス 陽だまり」で腰を痛めた母親に代わってパートに出ていた。やがてスマイルも一緒にアルバイトをするようになり、施設の利用者「フジヤマ」が昔失くしてしまったという想い出のピクチャーレコード「YAMAZAKURA」を探すのを手伝うことになる。 調査の結果、レコードの歌手は小田市出身のシンガーソングライターでフジヤマの亡き妻「藤山さくら」であることが判明。チェリーたちはビーバーやジャパンらを呼び、フジヤマがかつて経営していたレコード店内を探し尽くし、ついに「YAMAZAKURA」を発見する。さっそくフジヤマに聴かせようとチェリーがケーブルを取りにいった際、ふたりきりになれたスマイルは勇気を出して8月17日の「小田山だるま祭り」に一緒に行こうと誘う。赤面しながら彼も「行くよ」と答え、スマイルはその返事に喜ぶ。だが彼女は偶然手に持っていたレコードの歪みに気づき、それを直そうとした際にうっかり割ってしまう。 一方、実はチェリーは祭りの日に引っ越すことになっており、スマイルへの思いとタイミングの悪さから何度も言いそびれていた。祭りの前日にそのことを知ったスマイルはショックを受ける。 祭りの当日、スマイルは接着剤で修復したレコードをフジヤマに渡して謝るが、盤面の裏の絵を見たナミがどこかで見たことがあると言い出し、施設の壁時計が実は「YAMAZAKURA」のレコードであることが判明する。 その夜の祭りで陽だまりスタッフは盆踊りの曲をレコードの曲「YAMAZAKURA」に変えて踊り、スマイルはこれをスマホで配信する。小田市を出る車中でこれを見たチェリーは車を降り、盆踊り会場に走る。スマホを車内に置いてきたチェリーはスマイルが会場のどこにいるかわからず探しまわるが、フジヤマが攝津幸彦の俳句「感情や 少年海より 上がりけり」をマイクで叫ぶ。盆踊りの櫓に登ったチェリーはヘッドホンをはずしてマイクを受け取り、櫓のそばに駆け寄ってきたスマイルに自作の俳句を暗唱する。俳句のリズムにのせてチェリーはスマイルへの好意を打ち明ける。まっすぐな彼の思いを受け取ったスマイルはマスクをはずし、矯正中の前歯を見せて微笑むのだった。 登場人物
スタッフ
テレビ放送2023年8月26日(金)21時30分 - 23時にNHK Eテレで放送された[12]。地上波初放送[12]。 2024年4月28日(日)15時30分 - 16時56分にNHK Eテレで放送された。 2024年8月16日(金)24時 - 25時27分(8月17日(土)0時 - 1時27分)にNHK Eテレで放送された[12]。 漫画おおのいもによるコミカライズが、2019年11月27日発売の『月刊コミックアライブ』(KADOKAWA(メディアファクトリーブランド))2020年1月号から[13][14]、2021年5月号まで先行連載された[15]。
小説監督のイシグロによるノベライズが2020年4月24日に発売[20]。ノベライズでは映画に登場しない場面も描かれている[20]。
Blu-ray / DVD2022年1月26日に特装版Blu-ray、通常版Blu-ray、DVDが発売。2023年1月18日にレンタルDVDが開始。
脚注注釈出典
外部リンク
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