グレアムランド 北部と周辺の島々1 南極半島 (トリニティ半島 )、2 ジェイムズ・ロス島 、3 デュルヴィル島 、4 ジョインビル島 、5 ダンディー島 、6 スノー・ヒル島 、7 ヴェガ島 、8 シーモア島 、9 アンダーソン島 、10 ポーレット島 、11 ロッキャー島 、12 イーグル島 、13 ヨナセン島 、14 ブランスフィールド島 、15 アストロラーベ島 、16 タワー島
シーモア島 (Seymour Island)は、南極半島 のグレアムランド の先端に存在する16個の島からなる列島 を構成する1つの島である。グレアムランドは、南極大陸 で最も南アメリカ大陸 に近い位置にある[ 1] 。半島の北端の西側に列島がある。この中で、シーモア島はスノー・ヒル島 の少し北、ジェイムズ・ロス島 とヴェガ島 の東に位置する。
シーモア島は、島内にあるアルゼンチン の南極観測基地 の名前から、マランビオ島 やシーモア・マランビオ島 と呼ばれることもある[ 2] 。
マランビオ基地
島内には、アルゼンチンの通年の南極観測用航空基地であるマランビオ基地 がある[ 3] 。冬季には、基地には平均55人が滞在するが、夏季には基地の人口は180人に増える[ 4] 。
気候
マランビオ基地で計測したシーモア島の平均気温は、夏季1℃、冬季-21℃である。しかし冬季には、強風により体感温度 は-60℃にもなる。
古生物学
シーモア島を構成する岩は、主に白亜紀 後期から始新世 にできたものである。
1882年11月、ノルウェー 人の大佐カール・アントン・ラーセン は、ジェイソン号 でシーモア島に上陸し、この地の地図を作ったほか、化石を発見した。興味深いことに、ジェイソン号によるラーセンの探検は、1901年から1904年にかけて行われたスウェーデン の南極探検隊よりも遥かに実り多いものだった。この探検の間、アンタークティック号 は氷山 に衝突して沈没し、隊員は近隣のスノー・ヒル島で、ペンギン やアザラシ を食べて14か月も生き延びなければならなかった。その後、シーモア島は古生物学 の研究に注目されることとなった。
シーモア島では、南極の氷河化が始まった始新世の寒冷化の研究が盛んに行われている。南極海 の炭酸塩 の細粒の研究により、始新世の間に気温が単調に減少したのではなく、この期間の中期に気温が上昇する短い期間があったことが示唆された(Bohaty and Zachos, 2003)[ 5] 。
シーモア島では、始新世のこの時期のさまざまな種の化石 が研究されている。その中には、絶滅したペンギン の種(Palaeeudyptes klekowskii やArchaeospheniscus wimani )、様々な種の二枚貝 等が含まれる[ 5] 。
1982年には、シーモア島で絶滅した有袋類 のPolydolopidae科が発見された[ 6] 。これは、南極大陸にかつて哺乳類 が生息していた初めての証拠となった。その他、オポッサム目 やミクロビオテリウム目 [ 7] 、有蹄類 、謎の絶滅目であるGondwanatheriaの化石も発見されている[ 8] [ 9] [ 10] 。
出典
^ ESA Science & Technology: Graham Land
^ “デジタル大辞泉の解説 ”. コトバンク. 2018年5月3日 閲覧。
^ Antarctic facilities – comnap.aq
^ official page
^ a b Middle Eocene Warming On Seymour Island, Antarctica: Continental Shelf Paleotemperatures Recorded In Molluscan Carbonates
^ Woodburne, Michael O.; Zinsmeister, William J. (Oct 1982). “Fossil Land Mammal from Antarctica” . Science 218 (4569): 284–286. doi :10.1126/science.218.4569.284 . PMID 17838631 . http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/218/4569/284 2009年1月17日 閲覧。 .
^ Goin, Francisco J.; et al. (Dec 1999). “New Discoveries of "Opposum-Like" Marsupials from Antarctica (Seymour Island, Medial Eocene)” . Journal of Mammalian Evolution 6 (4): 335–365. doi :10.1023/A:1027357927460 . http://www.springerlink.com/content/h5r16469kqr06560/ 2009年1月17日 閲覧。 .
^ Reguero, Marcelo A.; Sergio A. Marenssi and Sergio N. Santillana (May 2002). “Antarctic Peninsula and South America (Patagonia) Paleogene terrestrial faunas and environments: biogeographic relationships”. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology 179 (3–4): 189–210. doi :10.1016/S0031-0182(01)00417-5 .
^ Mills, William James. Exploring Polar Frontiers: A Historical Encyclopedia , ABC-CLIO, 2003. ISBN 1-57607-422-6 , ISBN 978-1-57607-422-0
^ Goin, Francisco J.; Reguero, Marcelo A.; Pascual, Rosendo; von Koenigswald, Wighart; Woodburne, Michael O.; Case, Judd A.; Marenssi, Sergio A.; Vieytes, Carolina et al. (2006). “First gondwanatherian mammal from Antarctica”. Geological Society, London, Special Publications 258 (1): 135–144. doi :10.1144/GSL.SP.2006.258.01.10 . ISSN 0305-8719 .