ジャン・ユスターシュ(Jean Eustache、1938年11月30日 - 1981年11月5日[1])はフランスの映画監督、脚本家、編集技師。ポスト・ヌーヴェルバーグ[2] の旗手として彗星のように登場し、ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォー、エリック・ロメールらに絶賛された。その作風と主題により特異なシネアストとして認識されているが、いまだに研究の余地の多い作家と目されている。
来歴・人物
作風
ユスターシュの映画理論の根幹には、映画勃興期に分かたれた劇映画と記録映画の境界についての考察があり、最初期の映画作法(リュミエール兄弟)にまで立ち帰るべきだという反現代的な、映画のプリミティズムのようなものも繰り返し実験されている。そこにはほぼ同時代の松本俊夫の提唱したネオドキュメンタリズム理論に通じるところはあるものの、ユスターシュに関しては現実社会に対しての政治的なコミットメントの色合いはあまり含まれていないと言うことが出来る。その理論の色濃い体現といえる作品としては「不愉快な話」が最も顕著な例としてあげられ、この映画では同じ噂話を、噂話をしている当人を記録として撮ったものと、同じ話を俳優に台詞として与えて撮ったものとの二部構成という態をとっている。また代表作のひとつ「ママと娼婦」では実在のモデルの口答をテープに録音し、すべてそれのとおりに俳優に喋らせるという演出を行っている。本作では映画の常套句とも言えるBGMやアフターレコーディングの手法は廃され、すべて現場で収録された音のみが使われている。
監督作品
関連書籍
脚注
- ^ Jean Eustache
- ^ 中条省平は『フランス映画史の誘惑』(集英社新書 2003年pp.213-219でモーリス・ピアラ、ジャック・ドワイヨンら「ポスト・ヌーヴェルバーグ」の前の「70年代に殉じた作家」として紹介している)。
外部リンク