『ゼロウィング 』(Zero Wing )は、1989年 に東亜プラン が開発・稼働したアーケード用横スクロールシューティングゲーム である。
概要
宇宙海賊「CATS」を倒すために自機「ZIG-01」が8つの防衛基地に向かうという内容。難易度においては、自機を追尾する弾が多い(特にボス戦)ため、総じて高めである。また、周回を重ねる毎に加速度的に敵弾の速度が上がり、さらには敵の放つ扇弾の隙間を埋める強化(3WAYが5WAYになるなど)まで成されるため東亜プランのシューティング中でも屈指の難易度を誇る。
日本国外版は2人同時プレイが可能である。その場で復活することや、2プレイヤー側の自機の形が違う。日本国内でも極少数であるが出荷されている。
後にメガドライブ とPCエンジン CD-ROM² 向けに移植された。日本国外で発売されたメガドライブ版の冒頭ストーリーデモに出てくる台詞「All your base are belong to us 」(日本語版の台詞「君達の基地は、全てCATSがいただいた。」の誤訳)は、アジア語話者による英語の誤用を意味するEngrish の代表例となり、インターネット・ミーム として日本国外で拡散された(詳細は当該記事参照)。
システム
ステージ
全8ステージ。ステージ最後のボスを破壊するとステージクリアとなり次のステージへと進む。ステージ内には中ボスクラスの巨大な敵も存在する。ステージ表記は「AREA」であり、ステージ1を4画面分まで進んだ例では「AREA1-4」と表記される。いわゆるループゲームであり、AREA8クリア後は2周目が始まる。
戻り復活方式。ミスすると特定の場面からの再スタートとなる。コンティニュープレイ可能。
プリソナービーム
ショットやボムなどの攻撃手段のほかに、プリソナービームを発射する。このビームを一部の敵やアイテムに当てると捕獲できる。
捕獲した敵は自機の前方にくっつき、敵からの攻撃を防いだり、前方に飛ばしたりすることができる。捕獲した敵がある程度大きい場合、自機が地面に引っ張られてしまう。
オプション
一番初めにパワーアップするとオプションが自機の上下につき、ショットを発射する。敵からの弾も防ぐことができるが、当たり判定は小さい。
アイテム
アイテムキャリーを破壊すると出現する。アイテムの出現する順番はある程度決まっている。武器アイテムは3種類あり、装備中と同じ武器のアイテムを取得するとパワーアップする(3段階)。
バルカン(赤)
斜め上下方向に発射する。自機の初期装備。
レーザー(青)
前方に長いレーザーを発射。耐久力の高い敵以外に対して貫通能力がある。
ホーミング(緑)
敵を追尾する。画面上に発射できる弾数が多い。
スピードアップ
4段階で自機のスピードが速くなる。
ボンバー
自機の前方に付き、発射できる。また3発まで敵弾を防ぐことができ、3発を被弾すると自動的に発射する。
スペシャル・パワーアップ
ショットが最強状態の時にランダムで出現。オプションとショットの当り判定が大きくなる。
隠し要素
ピピル星人
ある場所に隠れている。プリソナービームで捕獲すると10000点ボーナスが入る。捕獲する前に数発ショットを当てると出現しない。
1upアイテム・10upアイテム
最強状態にてアイテムを取得した場合、ボーナス5000点が出現するが、その場合ランダムで変更する(1プレイ中に各1回ずつ)。
ワープ
1周目5面のある場所に入ると8面へワープする。
移植版
メガドライブ版
海外版の冒頭ストーリーデモに出てくる台詞「All your base are belong to us 」は、Engrish の代表例であるという。2001年から2002年に掛けて、インターネット・ミーム として海外で拡散され、FLASH 動画などが制作された。この件に関して、ゲーム本『メガドライブ大全』(2004年 、太田出版 )では、「『君たちの基地は、すべて我々がいただいた』と言いたかったらしいが、英文法の間違いが玉突き事故、「『"base"(基地)の複数形は"bases"だろ』『"belong"は自動詞なのでbe+受け身にならない』『そもそも受け身なら"belonged"だろ』」、「外人さんはFlashムービーを作って笑えるおちょくりをした。そんなわけで、『和製ゲームのバカ英語』ランキング一位に君臨している」と記されている[ 8] 。
PCエンジン版
アーケード版には無かったオリジナルステージとアニメ絵調のビジュアルシーンが新たに追加されている[ 9] 。
評価
アーケード版
1991年 に刊行されたゲーメストムック『ザ・ベストゲーム』内の「ビデオゲームフルリスト」の紹介文では、「プリゾナービームが装備されたのが特徴。横シューの中では珍しく、ホーミングレーザーが一番使えた」と評されている[ 21] 。
メガドライブ版
ゲーム誌『ファミコン通信 』の「クロスレビュー」では合計28点(満40点)[ 11] 、『メガドライブFAN 』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通り19.70点(満30点)となっている[ 1] 。同雑誌1993年7月号特別付録の「メガドライブ&ゲームギア オールカタログ'93」では、「自機に、プリゾナービームという敵を捕獲する武器が装備されているのが特徴」と紹介されている[ 1] 。
項目
キャラクタ
音楽
操作性
熱中度
お買得度
オリジナリティ
総合
得点
3.24
3.32
3.42
3.26
3.12
3.34
19.70
PCエンジン版
ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では5・5・6・5の合計21点(満40点)[ 12] 、『月刊PCエンジン 』では80・75・80・80・75の平均78点(満100点)、『マル勝PCエンジン 』では7・6・7・5の合計25点(満40点)、『PC Engine FAN 』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通り19.72点(満30点)となっている[ 20] 。また、この得点はPCエンジン全ソフトの中で351位(485本中、1993年時点)となっている[ 20] 。
項目
キャラクタ
音楽
操作性
熱中度
お買得度
オリジナリティ
総合
得点
3.09
3.55
3.45
3.45
3.09
3.09
19.72
脚注
^ a b c d 「7月号特別付録 メガドライブ&ゲームギア オールカタログ'93」『メガドライブFAN 』第5巻第7号、徳間書店 、1993年7月15日、60頁。
^ “【7月1日追加】『セガ メガドライブ for Nintendo Switch Online』追加タイトルが配信開始。 ” (日本語 ). 任天堂 (2022年7月1日). 2022年7月2日 閲覧。
^ ““セガ メガドライブ for Nintendo Switch Online”に新作が追加。『コミックスゾーン』『重装機兵レイノス』『ゼロウィング』『ロックマンメガワールド』の4タイトル ” (日本語 ). ファミ通.com . KADOKAWA (2022年7月1日). 2022年7月2日 閲覧。
^ Gueed (2022年7月1日). “「コミックスゾーン」「重装機兵レイノス」「ゼロウィング」「ロックマンメガワールド」がセガ メガドライブ for Nintendo Switch Onlineに登場 ” (日本語 ). 4Gamer.net . Aetas . 2022年7月2日 閲覧。
^ 福山幸司 (2022年7月1日). “『ロックマンメガワールド』『コミックスゾーン』『重装機兵レイノス』『ゼロウィング』が「セガ メガドライブ for Nintendo Switch Online」で配信開始 ” (日本語 ). 電ファミニコゲーマー . Mare. 2022年7月2日 閲覧。
^ 早苗月 ハンバーグ食べ男 (2023年4月13日). “「怒首領蜂大往生 臨廻転生」のタイトルロゴが明らかに。「ゼロファイアー」は7月20日の発売で,DLCには「ホラーストーリー」も ”. 4Gamer.net . Aetas . 2023年7月24日 閲覧。
^ 早苗月 ハンバーグ食べ男 (2023年5月18日). “「怒首領蜂大往生 臨廻転生」エレメントドールのイラストが公開に。「ゼロファイアー」にはAYBABTUで知られる欧州版Zero Wingなどを収録 ”. 4Gamer.net . Aetas . 2023年7月24日 閲覧。
^ 「Chapter 03 1990年」『メガドライブ大全(企画・編集:CONTINUE )』太田出版 、2004年9月29日、76頁。ISBN 9784872338805 。
^ 毎日コミュニケーションズ 「金田一技彦監修 広技苑 2000年秋 20世紀最終保存版」参照[要ページ番号 ]
^ Computer and Video Games , issue 117, pages 60-62
^ a b “ゼロウィング まとめ [メガドライブ] ”. ファミ通.com . KADOKAWA CORPORATION . 2015年12月6日 閲覧。
^ a b “ゼロウィング まとめ [PCエンジン] ”. ファミ通.com . KADOKAWA CORPORATION . 2015年12月6日 閲覧。
^ Games-X , issue 9
^ Joystick , issue 18, page 182
^ Mean Machines , issue 10, pages 74-76
^ MegaTech , issue 5, pages 32-35
^ Sega Force , issue 7, pages 70-71
^ Sega Power , issue 23, page 55
^ Nov 23, 2010 (2010年11月23日). “HonestGamers: Zero Wing ”. HonestGamers. 2010年11月27日 閲覧。
^ a b c 「10月号特別付録 PCエンジンオールカタログ'93」『PC Engine FAN 』第6巻第10号、徳間書店 、1993年10月1日、81頁。
^ 「ビデオゲーム フルリスト」『ザ・ベストゲーム 月刊ゲーメスト 7月号増刊』第6巻第7号、新声社 、1991年7月1日、175 - 216頁、雑誌03660-7。
外部リンク