ドラッグストアドラッグストア(英: drug store)は、一般用医薬品を販売し、なおかつ健康・美容に関する商品、日用品、食品類の一部(飲料・日配食品等)もセルフサービスで短時間に買えるようにした小売業態である。「ドラグストア」「ドラッグストアー」などと表記することもある。 世界のドラッグストアの概要医薬品の販売を規制するための法律およびそのための医薬品の分類法は国ごとに若干異なっている。たとえばドイツでは、処方せん医薬品 / 薬局販売医薬品 / 自由販売医薬品 と分類し、このうち処方せん医薬品および薬局販売医薬品の販売に関しては薬剤師がいなければならない[1]。 処方箋が必要な医薬品の販売を行う時は、ドイツ、フランス、イギリス、オーストラリア、日本など、いずれの国でも薬剤師がいることが必要になっている[1]。 欧米では基本的には、薬剤師が常駐し、調剤や医薬品の販売を行なう。薬剤師が注射による投与(ワクチンの予防接種など)を行うことを認めている例(アメリカの一部の州など)もある[2]。 一番規制の緩い市販薬に関しては国ごとに規制がかなり異なり、全て医薬品に関しては薬剤師がいることが必要とされている国(フランスなど。またフランスでは医薬品の販売量に応じて薬剤師の人数を増やすという規定もある)もあれば、(薬剤師までは求めなくても)医薬品販売管理者が常時対応しなければならないとしている国(ドイツなど)もあれば、特に規定が無い国(オーストラリア)もある[1]。 アメリカ合衆国アメリカ合衆国のドラッグストアは20世紀初頭前後からドラッグストアのチェーンが展開されてきた。 アメリカの大手チェーンを売上上位3つを挙げると次のとおり。 米国での歴史Chicago drugstoreで薬剤師として勤めていたCharles R. Walgreen Sr.が1901年に同店を買い取り[3]、Walgreenとして営業を開始し、彼なりの着想でさまざまな新サービスを打ち出した[3]。たとえば高品質で低価格な医薬品類のラインナップを独自に製造する、などということを行った[3]。1909年には2店舗目を開店し、1916年には9店舗を傘下に収めた[3]。ウォルグリーンは1922年に麦芽ミルクセーキという商品を発明しソーダ・ファウンテンで販売し、客たちがソーダファウンテンを取り囲むように立ち「ダブルリッチ・チョコレートモルトミルク」を飲む、という光景が繰り広げられた[3]。(このような歴史があるので、米国のドラッグストアでは現在でもフードコートを設けている場合がある。) なおコカ・コーラも、もともと1886年にアトランタの薬剤師のJohn S. Pembertonがコカ・コーラのシロップのレシピを発明し、地元のソーダ・ファウンテンにそれを販売したもので、ソーダ・ファウンテン側によって「健康に良いトニック」などと謳われて販売されたものである。
EUドイツの上位を挙げると
かなり差があるが3位にMüller。 イギリスイギリスの大手は化粧品の『No7』などストアブランドを持つブーツ。後にウォルグリーン・ブーツ・アライアンス傘下となった。 アジア
日本におけるドラッグストアの概要店舗数は、2023年6月時点で16931店舗[4]。 日本の流通業界ではディスカウントストア(DS)と区別して「DgS」「Dg.S」あるいは「DRG」と略されることがある。 日本においては、薬剤師が常駐し、処方箋医薬品を販売・授与できる薬局または店舗販売業(2009年の改正薬事法施行までは一般販売業または薬種商販売業)の許可を受けて営業しているものが多い。かつては院外処方箋による調剤が一般的でなかったため、処方箋による調剤を行なわない一般販売業や、薬剤師のいない薬種商販売業として営業するものが多かったが、近年は医薬分業の進展に伴い、処方箋を受け付ける調剤室を併設した薬局(保険薬局)として営業するものが増加している。 薬局を併設したドラッグストアでは薬局部分とドラッグストア部分の許可を別に取るケースが多い。これは全店薬局として許可を取ると営業時間内は薬剤師の常駐が必要な調剤スペースも営業しないといけなくなるためである。このため同一店舗内で調剤スペースとドラッグストアスペースで営業時間が異なる(薬局部分の営業時間が短かったり、日曜や祝日に休業したりすることが多い)場合があり、この点に関しては議論がある[5]。 医薬品医療機器等法上、薬剤師が常駐する店舗でないと扱えない一般用医薬品(第一類医薬品)もある。薬剤師不在時にも医薬品売場を開放できるよう、ガラスケースを施錠したりカーテンを使用したりしている例もある。 なお、一般用医薬品を取り扱わず調剤機能のみを持つ場合は、ドラッグストアとは呼ばず(調剤専門)薬局や門前薬局(病院や診療所の近隣に立地していることが多いため)などと呼ばれる。また、一般用医薬品を販売するものの調剤機能を持たずセルフサービスでない場合は薬店あるいは薬舗などと呼ばれる。 医薬品医療機器等法上、調剤施設を併設していない場合「薬局」の名称を冠してはならないため、その様なドラッグストアには「○○ドラッグ」「クスリの○○」「○○薬品」等の名称が多い。 イギリスのブーツが参入した際は、薬事法の制約でストアブランドの化粧品や医薬品を販売できず、他社との差別化が難しくなり撤退している。 ビジネスモデル薬も売る雑貨店と化していることが多く、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの紙類、洗濯用洗剤、柔軟剤、食料品、ベビー用品や一部のネームバリューのある医薬品・ドリンク剤・サプリメントなどを場合によっては原価を下回る形で安売りして集客し、原価の2倍から5倍で販売できる医薬品や化粧品、雑貨を販売し、利益を稼いでいる。価格訴求を第一とせず、薬の専門家である薬剤師による接客等のサービスによる差別化を図る企業もある。また調剤をベースに差別化を図る企業もある。 グループ化1970年代前後からオールジャパンドラッグ(AJD)や日本ドラッグチェーン会(NID)等のボランタリー・チェーンが存在していたが、1990年代後半以降流通コスト削減やプライベートブランド商品導入などを目的にしたドラッグストアチェーンのグループ化が進んでいる。 →「ナショナルドラッグチェーン」を参照
主なチェーン→「日本のチェーンドラッグストア」を参照
チェーン化の方針として、特定のエリアで展開するリージョナルチェーンと全国に展開するナショナルチェーンに分かれる。 医薬品販売の業態分類店舗面積を目安として以下のように区分される。
主な取扱商品
新規参入薬事法改正によって1999年よりドリンク剤・ビタミン剤・消毒薬等の一部が医薬部外品に指定され、ドラッグストア以外のコンビニエンスストアやスーパーマーケット、駅売店等でも販売できるようになった。 2004年にはさらに健胃薬・整腸薬・口腔咽喉薬等の一部が医薬品から医薬部外品に移行されて新チャネルでの販売チャンスが拡大した。 2009年施行の改正薬事法では登録販売者制度が創設され、試験に合格すれば薬剤師でなくても第二類医薬品・第三類医薬品を販売できるようになったため、医薬品販売に新規参入する「ドラッグストア以外の小売業者」も出てきた。また、競合とは逆にドラッグストアがコンビニエンスストア等と提携するケースも出てきた。 主な新規参入企業
ドラッグストアと提携した企業
シンボル
脚注注釈出典
関連項目
外部リンク
|