フィアット・チンクェチェント
チンクェチェント(Cinquecento)は、イタリアの自動車メーカー、フィアットが製造、販売していたハッチバック型の乗用車である。 概要ポーランドのFSM (Fabryka Samochodów Małolitrażowych) 社でライセンス生産されていた126に代わる小型戦略車として、1991年に登場した。 東欧革命に伴いポーランドでも自家用車の需要が増えると見込んだフィアットが、イタリアにモータリゼーションをもたらした2代目フィアット・500(NUOVA 500)にあやかり、その再来をポーランドにという意味を込めてネーミングしたと言われる[1]。この読みは当たり、イタリアにおいてもパンダの下位を担うエントリーカーとして人気を博した。名称は500という数字ではなく、イタリア語読みのCinquecentoとアルファベットで綴られる。 ボディは3ドアハッチバックで、コンパクトな直線基調のデザインを持つ。エンジンは704 cc 直列2気筒キャブレターと、903 cc 直列4気筒インジェクションの2種類。このほか、電気自動車仕様の「エレットラ」(Elettra)というグレードも存在した。 1993年、903 ccエンジンが899 ccエンジンに変更される。 1994年、プント用の1.1 Lエンジンを搭載したスポーティグレード「スポルティング」が追加。 1998年、後継となるセイチェントの登場により生産を終了した。なお、セイチェントはシャーシやエンジンといった主要コンポーネント類をチンクェチェントからそのままキャリーオーバーしている。総生産台数は1,164,525台。 日本には正規輸入されなかったが、並行輸入で上陸した個体が少数存在する。 モータースポーツフィアットはこのチンクェチェントをベースとしてチンクェチェント・トロフェオというワンメイクラリー専用車両を製作し、1993年からイタリアをはじめドイツやスペインでシリーズ戦が開催された。この車両はNUOVA 500時代からスポーツ車両を手がけてきたアバルトを前身とするフィアット・アウト・コルセが開発を担当している。アバルトの開発コードナンバーはSE054。 チンクェチェント・トロフェオはキットパーツで販売される方式が採られ、経済的に余裕のない若手ドライバーが少ない費用でレースに参戦できるように配慮されていた。具体的な内容としてはビルシュタイン製ダンパーやスピードライン製ホイール、ロールケージやフルバケットシート、4点式シートベルト等が組み込まれ、ノーズには4連の補助灯が追加される。エンジンはノーマルの903 cc 水冷直列4気筒OHVをベースに10.2:1まで圧縮比を高め、最高出力55 PSを発生する。 セイチェントをベースとしたセイチェント・スポルティング・トロフェオが1998年に登場するまで、その役割を果たした。 脚注注釈出典
参考文献
関連項目
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