フェデリコ・キエーザ(Federico Chiesa、1997年10月25日 - )は、イタリア・ジェノヴァ出身のサッカー選手。プレミアリーグ・リヴァプールFC所属。ポジションはMF、FW。イタリア代表。父親のエンリコ・キエーザも元イタリア代表のサッカー選手[3]。
クラブ歴
初期
1997年に父親のエンリコ・キエーザの故郷であり、当時父親が在籍していたUCサンプドリアの本拠地でもあるジェノヴァにて生まれるが、そのわずか3ヶ月後には父親の移籍に伴いジェノヴァを去った[4]。2002年に6歳から、当時父親が在籍していたACFフィオレンティーナの本拠地であるフィレンツェ市北東部にあるセッティニャーノのサッカースクールにてサッカーを始めた。2007年には11歳でフィオレンティーナの下部組織に入団し、以後プロデビューまでの育成期間を同クラブで過ごした。
フィオレンティーナ
2016-17年、キエーザは育成部門であるプリマヴェーラに所属していたが、プレシーズンのトップチームの夏合宿にパウロ・ソウザ監督によって招集される[5]。その後の合宿中の会見でソウザ監督は「キエーザは残りのシーズンを我々と共に行動する」と発言し、レンタル移籍に出さずにそのままトップチームで起用することを示唆した。そして、その言葉通りに2016-17シーズンの開幕戦であるユヴェントス戦に先発起用され、18歳にしてセリエAデビュー、フィオレンティーナのトップチームでの公式戦デビューを同時に成し遂げた[6]。続く9月29日にはホームで行われたカラバフFK戦にて欧州カップ戦デビューを果たした。また12月8日に行われた2ndレグにおいて、後半76分に得点を決め、プロ初得点によってチームの勝利(2-1)に貢献した。2017年1月14日には、フィオレンティーナとの契約を2021年6月まで延長したことが、同クラブ公式サイトにより発表された[7]。同年1月21日にアウェイで行われた対キエーヴォ戦において、後半ロスタイムにセリエA初得点を記録し[8]、8日後のリーグ戦ジェノア戦でもゴールを決めた[9]。5月7日のサッスオーロ戦でもゴールを決めた。
2017-18シーズン、9月16日に対戦のボローニャ戦にて先制点を決め、チームも2-1で勝利した。2月4日のボローニャ戦では決勝点[10]、3月31日のクロトーネ戦では1点を挙げた[11]。
2018-19シーズン、1月30日のコッパ・イタリア準々決勝のASローマ戦で初のハットトリックを決め、チームを7-1での勝利に導いた[12]。2019-20シーズン、ユヴェントスやプレミアリーグのビッグクラブからの関心が報じられている中[13]、7月29日、第37節のボローニャ戦でセリエAでは初となるハットトリックを達成し[14]、リーグ戦で初の2桁ゴールを達成した。2020-21シーズン、3試合に出場し、1ゴールを挙げていたが、シーズン途中にユベントスへ移籍することとなった。
ユヴェントス
2020年10月5日、ユヴェントスFCに2年間のレンタル移籍した[15]。レンタル料は2年間で1000万ユーロで、特定の条件を満たした場合は買取が義務となる4000万ユーロでの買取オプションが付帯している。なお、ジャンルイジ・ブッフォンとは父のエンリコに続く親子二代での同僚となる。背番号は22番。10月17日、クロトーネ戦でデビューを飾り、アルバロ・モラタのゴールをアシストしたが、相手選手に危険なスライディングタックルを犯して退場処分を受けた[16]。UEFAチャンピオンズリーグ、グループリーグのディナモ・キーウ戦で移籍後初ゴールかつチャンピオンズリーグ初ゴールを決めて勝利に貢献した[17]。同シーズンのコッパイタリア決勝、アタランタ戦では決勝ゴールを決めて優勝を果たした[18]。
2021-22シーズン、2022年1月9日のASローマ戦で左膝前十字靭帯損傷の重傷を負った[19]。完治には6〜7ヶ月要すると見込まれ、リーグ戦残り全試合、3月に行われる2022 FIFAワールドカップのヨーロッパ予選プレーオフ出場も絶望的という状態になってしまった。これを受け、ユヴェントスのみならずライバルクラブであるインテルやACミランなども見舞いのメッセージをSNS上で発信した[20]。
2022年7月1日、背番号を7番に変更することを発表[21]。チャンピオンズリーググループステージ最終節のパリ・サンジェルマンFCで実戦復帰、約300日振りの復帰となった[22]。
2023-24シーズン終了後、チアゴ・モッタの監督就任に伴いキエーザは構想外となり、プレシーズンの試合にも招集されなくなった[23]。
リヴァプール
2024年8月29日、リヴァプールFCに移籍した[24]。契約期間は2028年6月30日までの4年間。背番号は14番。
代表経歴
U-19からイタリア代表に招集されている。2017年にU-21イタリア代表としてU-21欧州選手権に出場したが、準決勝で敗れた。2019年にもUEFA U-21欧州選手権2019に出場。グループリーグで敗退したが、3試合の出場で3得点をあげた。
2017年5月、サンマリノとの親善試合に向けた若手主体のフル代表に招集されたが[25]、2018年3月に行われるアルゼンチン、イングランド代表との親善試合のメンバーにルイジ・ディ・ビアジョ監督に選出され、正式に初のフル代表入りとなった[26]。アルゼンチン戦で先発出場で代表デビューすると、次のイングランド戦では後半56分から出場し、PKを奪うなどの好プレーを見せた[27]。
2019年11月のUEFA EURO 2020予選、アルメニア戦で2アシストを決めただけでなく、代表初ゴールを決めた[28]。2021年に開催されたUEFA EURO 2020、決勝トーナメント1回戦のオーストリア戦では延長前半にトラップで相手DFをかわし、ゴールを挙げて、チームのベスト8入りに貢献[29]、このゴールでユーロ史上初の親子2代でゴールを記録したこととなった[30]。準決勝のスペイン戦でもゴールを決めて決勝進出の立役者の一人となり、この試合のMOMに選出された[31]。決勝のイングランド戦でも先発出場、相手DF人を脅かしたが、後半終了間際に負傷、途中交代となった[32]。大会ベストイレブンに選出された。
個人成績
クラブ
2022-23シーズン終了時点[33]
クラブ
|
シーズン
|
リーグ戦
|
国内カップ
|
国際大会
|
その他
|
合計
|
ディビジョン |
出場 |
得点 |
出場 |
得点 |
出場 |
得点 |
出場 |
得点 |
出場 |
得点
|
フィオレンティーナ
|
2016-17
|
セリエA
|
27 |
3 |
2 |
0 |
5 |
1 |
0 |
0 |
34 |
4
|
2017-18
|
36 |
6 |
2 |
0 |
- |
0 |
0 |
38 |
6
|
2018-19
|
37 |
6 |
4 |
6 |
- |
0 |
0 |
41 |
12
|
2019-20
|
34 |
10 |
3 |
1 |
- |
0 |
0 |
37 |
11
|
2020-21
|
3 |
1 |
- |
- |
0 |
0 |
3 |
1
|
通算 |
137 |
26 |
11 |
7 |
5 |
1 |
0 |
0 |
153 |
34
|
ユヴェントス (loan)
|
2020-21
|
セリエA
|
30 |
8 |
4 |
2 |
8 |
4 |
1 |
0 |
43 |
14
|
2021-22
|
14 |
2 |
0 |
0 |
4 |
2 |
0 |
0 |
18 |
4
|
ユヴェントス
|
2022-23
|
21 |
2 |
4 |
1 |
8 |
1 |
- |
33 |
4
|
通算
|
65 |
12 |
8 |
3 |
20 |
7 |
1 |
0 |
94 |
22
|
キャリア通算
|
202 |
38 |
19 |
10 |
25 |
8 |
1 |
0 |
247 |
56
|
代表
- 出場大会
- 2017年 - UEFA U-21欧州選手権2017(ベスト4)
- 2019年 - UEFA U-21欧州選手権2019(グループステージ敗退)
- 2021年 - UEFA EURO 2020(優勝)
- 試合数
- 2023年11月20日現在
- 国際Aマッチ 44試合 7得点(2018年 - )
イタリア代表 | 国際Aマッチ |
年 | 出場 | 得点 |
2018 |
11 |
0
|
2019 |
6 |
1
|
2020 |
4 |
0
|
2021 |
17 |
3
|
2022 |
2 |
0
|
2023 |
4 |
3
|
通算 |
44 |
7
|
- 得点
タイトル
クラブ
- ユヴェントス
代表
- イタリア代表
個人
プレースタイル
[34][35][36][37][38][39]
若いながらも落ち着いたメンタルを兼ね備え、スピードとテクニックに優れ、左右の足でのプレーが可能である。ポジションは左右のウイングを主戦場としているが、ソウザ監督はセカンドスライカーなど、インサイドハーフでもテストしている。トップチーム昇格後は下がり気味の右のサイドミッドフィールダーとして起用されている[6]。
関連項目
出典・脚注
- ^ “Federico Chiesa”. NATIONAL FOOTBALL TEAMS. https://www.national-football-teams.com/player/68347/Federico_Chiesa.html 2024年7月11日閲覧。
- ^ “イタリア12戦ぶり失点も8強「誰もがゴールを奪える。それが強み」”. 日刊スポーツ (2021年6月27日). 2021年6月27日閲覧。
- ^ Federico Chiesa, l'inglese di Firenze: a 17 anni università, gol e debutto azzurrogazzetta.it(2015-11-11)(イタリア語),2017-1-14閲覧
- ^ I figli d'arte della Fiorentina: Ianis Hagi e Federico Chiesa in ritiro a Moenagazzetta.it(2016-7-11)(イタリア語),2017-1-14閲覧
- ^ a b Juve-Fiorentina, Chiesa junior debutta in serie A: somiglia proprio al papà...gazzetta.it(2016-8-20)(イタリア語),2017-1-14閲覧
- ^ CHIESA: FIRMATO IL RINNOVO AL 2021violachannel.tv(2017-1-14)(イタリア語),2017-1-15閲覧
- ^ “Sousa: 'Satisfied with Fiorentina'”. Football Italia (21 January 2017). 22 January 2017閲覧。
- ^ “Fiorentina 3-3 Genoa”. Soccerway UK (29 January 2017). 12 March 2017閲覧。
- ^ Bologna vs Fiorentinaespn
- ^ fiorentina vs crotoneespn
- ^ “Coppa: Fiorentina put seven past Roma!”. Football Italia (30 January 2019). 30 January 2019閲覧。
- ^ “人気株キエーザが否定…「交渉の事実ない。僕はフィオレンティーナの選手」”. 超ワールドサッカー (11 May 2020). 31 July 2020閲覧。
- ^ “ボローニャ4失点完敗 負傷の冨安ベンチ外”. 日刊スポーツ (11 May 2020). 31 July 2020閲覧。
- ^ “フェデリコ・キエーザがビアンコネロに!”. ユヴェントスFC (2020年10月5日). 2020年10月6日閲覧。
- ^ “デビュー戦で一発退場のキエーザが1試合の出場停止処分”. 超ワールドサッカー (2020年10月21日). 2020年10月22日閲覧。
- ^ “CLでアベックゴール記録を持つ5組の親子とは? 最新キエーザ親子にフランスやオランダのレジェンドも”. 超ワールドサッカー (2020年12月3日). 2020年12月4日閲覧。
- ^ “ユベントスがキエーザ弾でアタランタを2-1撃破!3年ぶり最多14度目のコッパ・イタリア制覇”. サッカーダイジェスト (2021年5月19日). 2021年5月19日閲覧。
- ^ “靱帯損傷のキエーザは今季絶望、W杯プレーオフも欠場へ”. フランス通信社 (2022年1月11日). 2022年1月11日閲覧。
- ^ 神尾光臣 (2022年1月12日). “左膝前十字靭帯断裂のキエーザに各クラブや選手、監督が激励のメッセージ”. footballista. 2022年1月14日閲覧。
- ^ https://twitter.com/juventusfcen/status/1542819049641574402?s=20&t=94hafSKWTyQU_1-RnP2xoA
- ^ “ユーヴェFWキエーザが297日ぶりの復帰! 指揮官は賛辞「よくやってくれた」”. サッカーキング (2022年11月3日). 2023年2月24日閲覧。
- ^ “PSMメンバー外のキエーザ、モッタ監督が移籍先探しのためと公言「すでに決定が下されている」”. 超ワールドサッカー (2024年8月4日). 2024年8月29日閲覧。
- ^ “Liverpool complete signing of Federico Chiesa” (英語). Liverpool FC (2024年8月29日). 2024年8月29日閲覧。
- ^ “Nazionale, i convocati di Ventura per Italia-San Marino: c'è Berardi”. ガゼッタ・デロ・スポルト. May 28 2017閲覧。
- ^ “ブッフォン招集!バロテッリは復帰ならず…イタリアが代表メンバー26人を発表”. ゲキサカ. (March 18 2018). https://web.gekisaka.jp/news/detail/?239986-239986-fl March 18 2018閲覧。
- ^ [1]soccer king から
- ^ “Italy: Armenia annihilated 9-1”. www.football-italia.net (18 November 2019). 31 July 2020閲覧。
- ^ “オーストリアとの延長戦を制したイタリアが4大会連続ベスト8”. 超ワールドサッカー (2021年6月27日). 2021年6月27日閲覧。
- ^ “親子2代でのEURO制覇も見えてきた デンマークの絶対的守護神が見据える偉業”. ザワールド. 2021年7月8日閲覧。
- ^ “MOMの活躍で決勝に導いたキエーザ、重傷でチーム離れたスピナッツォーラに感謝「助けてくれた」”. ゴールコム (2021年7月7日). 2021年7月8日閲覧。
- ^ “Italy 1-1 England (aet, 3-2 on pens): Euro 2020 final at Wembley player ratings”. ガーディアン (2021年7月12日). 2021年7月12日閲覧。
- ^ フェデリコ・キエーザ - Soccerwayによる個人成績
- ^ “Juve-Fiorentina, Chiesa junior debutta in serie A: somiglia proprio al papà...” (Italian). ガゼッタ・デロ・スポルト (20 August 2016). 20 January 2017閲覧。
- ^ “Fiorentina, da Chiesa, Hagi a Satalino, ecco i giovani in ritiro con Paulo Sousa” (Italian). ガゼッタ・デロ・スポルト (1 August 2016). 20 January 2017閲覧。
- ^ “Federico Chiesa, en el nombre del padre” (Italian). Marca.com (15 January 2017). 20 January 2017閲覧。
- ^ “Hagi e Chiesa jr quando il talento è una questione di famiglia” (Italian). La Repubblica (17 July 2016). 20 January 2017閲覧。
- ^ Mussetta, Fabio (17 December 2016). “Federico Chiesa | TALENTS HUNTER” (英語). www.talentshunter.eu (TALENTS HUNTER). http://www.talentshunter.eu/federico-chiesa/ 25 January 2017閲覧。
- ^ “Nel nome del padre: la fulminea scalata di Federico Chiesa” (Italian). Eurosport.com (13 December 2016). 7 April 2017閲覧。
外部リンク