フジミ模型
フジミ模型株式会社(フジミもけい)は、静岡県静岡市駿河区に本社を置く日本の模型製造会社である。通称はフジミ。主にプラモデルの製造販売を行っている。 沿革フジミ模型は、1948年(昭和23年)に静岡県清水市(現:静岡市清水区)で「フジミ模型教材社」として現フジミ模型会長齋藤茂一と後に今井科学を設立する今井栄一によって創業され、当初は木製模型等の製造販売を行っていた。1961年(昭和36年)にプラモデルの製造に参入し、名称をフジミ模型株式会社に変更した。当時は艦船のモデル化に力を入れており、ロゴマークにも黒地に船の舵輪をデザイン化したものが添えられていた。1960年代には、縮尺1/70で第二次世界大戦時の日米の戦闘機、1/50でジェット戦闘機やヘリコプターなどの航空機、1/550の日本戦艦と1/700の空母大鳳、1/44-1/50の戦車および各種スケールの城や寺院などのプラモデルを発売している。また、1960年代初期には戦艦や重巡洋艦の木製ソリッドモデルもプラモデルと共に販売されていた。 1970年に発売されたE-2ホークアイから航空機プラモデルの縮尺は1/72と1/48に変更され、既発売の製品も1/72や1/48と表記されるようになった。1971年には、静岡模型教材協同組合の一員として、田宮模型、長谷川製作所、青島文化教材社とともに1/700の艦船模型ウォーターラインシリーズの販売を開始している。同じ1971年には、既に日本に輸入されて人気を得ていたエアフィックスのHO/OOスケールミリタリーモデルに対抗して、1/76スケールのワールドアーマーシリーズもスタートさせている。また、1970年代の半ば以降、1/20と1/24の自動車も主力商品の一つとして大量に発売されている。 1983年に新たに価格帯に応じてAからHにシリーズ分けされた、1/72スケール飛行機キットの販売を開始し、1990年代後半までに多くの製品を発売した。1988年には、倒産した日東科学から1/76スケールミリタリーモデルの金型を引き継ぎ、ワールドアーマーシリーズに組み入れている。1992年にフジミは静岡模型教材協同組合から脱退し、ウォーターラインシリーズから自社開発分の製品を引き上げ、新たにシーウェイモデルシリーズとして販売を行うこととなった。この脱退により、残った3社はフジミ担当分の穴を埋めるために新たな製品の開発に着手し、フジミもウォーターラインシリーズの枠組みに囚われない製品開発が可能になった。 平成29年7月24日、会社のロゴマークを現行の青文字ブロック体から茶色を基調とする、当社のプラモ販売初期に用いられた筆記体復刻ロゴマークに変更すると発表[1]。同年8月から新ロゴの使用を開始した。 製品フジミの製品はプラモデルとその関連商品(ディテールアップ用パーツなど)にほぼ限定されており、現在の商品内容は、自動車、航空機、艦艇が中心であるが、AFVや名城・建物、キャラクターモデルなども扱っている。シリーズ名や製品番号の変更が比較的頻繁に行われ、デカールや一部仕様を変更した限定版の販売も行っている。 航空機航空機は1/72スケールがメインであるが、1/48スケールと1/144スケールの製品も扱っている。1990年代後半にはアメリカMRC社向けに開発された1/35スケールのヘリコプターを、ビッグサイズヘリの名称で国内販売していた。
艦船艦艇は主に1/700と1/350で展開されている。武装や航空機などの共通部品やエッチングパーツ、木甲板シールなどのディテールアップ用純正パーツも両スケールに対応して発売されている。また1980年代初めには、集める軍艦シリーズとして1/3000スケールの帝国海軍軍艦が50隻程発売され、軍港のジオラマキットも発売されていた。
軍用車両戦車などの軍用車両は主に1/76と1/72で展開されている。1/76は現在では少数派であるが、フジミの参入時にはミニスケールミリタリーモデルの主力であり、ほぼ同時期に日東科学教材も参入している。当初は戦車を中心とした「ワールドアーマーシリーズ」と、兵士のフィギュアとジオラマ用のアクセサリーを中心とした「ジオラマシリーズ」2つのシリーズを展開していた。また1970年代にはこのシリーズの車輌やフィギュア、樹木のキット、カラーパウダー、ベースが入った情景模型セット「ワンカットシリーズ」(ベースは立体的なバキュームフォーム成形、10種類)および「ジオラマセットシリーズ」(ベースはプラ板二枚、7種類)も発売されていた。1987年に倒産した日東の製品を編入後、2つのシリーズは1つに統合された。1990年代半ばに新たに「スペシャルワールドアーマーシリーズ」として陸上自衛隊の戦車3種(61式、74式、90式)とタイガーI後期型が発売され、旧製品は「ナナロクシリーズ」と呼ばれるようになった。ただし、旧製品の一部は「スペシャルワールドアーマーシリーズ」に組み込まれている。2010年より1/72でのモデル化を開始し、8月に1作目の「ドイツ軍用3tトラック救護車仕様」を発売した。本製品はオペル・ブリッツの模型であるが、商標権の関係で固有名詞は表示されていない。
自動車自動車の模型はフジミの主力商品であり、主に1/24で新旧の乗用車やチューニングカー、レーシングカーを数多く商品化している。ただし、1970年代までに開発された旧製品と、そのバリエーションも多い。2000年代半ばからは、1/20のF1カーや、1/32のトラックと観光バスもシリーズ展開されている。また、種類は少ないものの1/16や1/12の大型モデルも作られており、1990年代には1/48の製品も作られていた。改造やディテールアップ用のタイヤ、ホイール、メタルマフラー、エッチングパーツ、デカールなども1/24用を中心に発売されている。また、『頭文字D』、『湾岸ミッドナイト』、『逮捕しちゃうぞ』、『ナニワトモアレ』など講談社系の作品を中心に、『オーバーレブ!』や『よろしくメカドック』、『サーキットの狼』など、自動車を扱ったマンガ作品の版権を取得し、登場する車両を再現したモデルも発売している。また、アオシマの痛車に対抗してアニメなどのキャラクターのデカールを加えた「きゃらdeCAR〜るシリーズ」を展開している。初音ミクやエヴァンゲリオンをモチーフにした実在のレーシングカーやレーシングオートバイと、その架空のバリエーションも製品化している。
建物名城、建物の2つのシリーズで、日本の城や寺院、神社などの歴史的建物を製品化している。1960年代から販売されている、フジミを特徴づける製品の一つで、縮尺は様々(いわゆる箱スケール)だが、鉄道模型のNゲージと同じ1/150のものも複数ある。 鉄道車両等ストラクチャーキットとして東京モノレール1000形とゆりかもめ7200系、はたらくのりものシリーズとして札幌市交通局3300形電車と未来型水上バス ヒミコをNゲージに相当する1/150スケールで発売している。札幌市交通局3300形電車は、札幌時計台とセットにした雪ミク電車バージョンも発売されている。1970年代には、1/150スケールのSL、L特急、ブルートレイン、寝台電車特急なども発売されていた。また1/45スケール(Oゲージ相当)でモーター走行のC53が発売されていた。 キャラクターモデル国産プラモデル創成期の1960年代初期にギャラント・メンのフィギアやゼロ戦太郎、伊賀忍者などのオリジナルキャラのホッピングモデルを出しており、1967年にはタイムトンネルを製品化している。その後キャラクターモデルからは遠ざかってたが、1999年に完全新金型で『ウルトラセブン』に登場する「TDF PO-1ポインター」の1/24キットを発売、引き続き「マグマライザー」、「ハイドランジャー」、1/700海底軍艦 「轟天号」などを発売した。2001年には、『勇者特急マイトガイン』の「グレートマイトガイン」を1/144スケールでモデル化し、『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する葛城ミサトの愛車A310改もフィギュア付きで発売している。またPCゲーム『kanon』に登場する月宮あゆのレジンキャスト製キャラクターフィギュアを発売したことでも話題を呼んだ。2010年代に入ってからも、『ウルトラマン』に登場する「小型ビートル」や、映画『ブレードランナー』に登場する飛行自動車「スピナー」、『仮面ライダー』の「サイクロン号」などを製品化している。最近では熊本県のキャラクター「くまモン」関連の製品を出しており、『007』のロータスエスプリや1960年代に製品化された潜水艇アルビン号をスナップキットに改修したくまモンのコラボ製品も販売されている 脚注
参考文献
関連項目
外部リンク
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