フルキャストホールディングス
株式会社フルキャストホールディングス(英:FULLCAST HOLDINGS CO., LTD.)は、人材派遣会社『フルキャスト』などを傘下に置く、日本の持株会社。本社は、東京都品川区西五反田八丁目9番5号。公式ホームページ上ではフルキャストグループとも呼称される。 概要前身は、家庭教師派遣を目的として1989年に設立された神奈川県川崎市の神奈川進学研究会(法人としては、現在の夢テクノロジー)。神奈川県内から全国に展開し、また家庭教師派遣から、軽作業請負業務に拡大した。 フルキャスト社内では、派遣スタッフを「キャスト」と呼ぶ。以前は「スタッフ」と呼ばれていた。ごく一部で「外勤」と呼ぶ者もいる。一方、支店で働くアルバイトのことを「ナビゲーター」と呼ぶ。 現法人移行後の、2010年末~2011年5月まで、給与支払いは原則として日払いの形態をとっていた(変更時期は、拠点により異なる)。「派遣元管理票」と引き替えに支払われ、受取の捺印(いわゆる、シヤチハタ等は不可)が必要なため、派遣登録した支店まで受け取りに行く必要がある状況であった。希望者には振込みによる週払いも行っていた(ただし、課税控除は支店に取りに行くケース同様、丙欄の扱いで控除されていた)。順次月払い制の振込払に切り替わっており、2011年5月19日を以って全支店で月払振込に切り替わった。今後は、フルキャストアドバンスなどのグループ会社でも全面的に順次切替を行うとしている。又、3ヶ月以上継続して勤務すると社会保険、雇用保険の加入となる。 2008年3月まで、月15日以上働くと「CAST賞」と呼ばれるミニボーナスが支給されていた。なお、これは自己申告制であった。 沿革
スポーツとの関わり更なる事業拡大を目指すフルキャストグループは、2000年6月26日に株式会社フルキャストスポーツを設立した。スポーツ選手や元選手(解説者・コメンテーターなど)のエージェント(代理人)・マネジメント業務の他、スポーツイベントの企画・運営、スポーツ関連施設の運営なども行っていた。
2005年、この年にプロ野球新規参入を果たした東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地である宮城球場の命名権を年間2億円の3年契約で取得し、「フルキャストスタジアム宮城」に改称。しかし、後述の事業停止命令が発令されたことを受け、2007年8月30日に球場を所有する宮城県に対し命名権の返還・契約の解除を申し入れ、了承される。同年10月4日、楽天のホーム最終戦当日を以って「フルキャストスタジアム宮城」の名称に幕を閉じた(詳細は宮城球場#フルキャストスタジアム宮城を参照)。現在の名称は「楽天モバイルパーク宮城」。 また、独立リーグに興味を示していた時期もあり、2005年11月には、当時の社長・平野岳史が、プロ野球独立リーグ「フルキャスト・リーグ」の構想を明らかにした。2007年春の発足を予定していたが、その後具体的な動きがないことから、構想は事実上頓挫したものとみられている。2006年には、独立リーグの「北信越ベースボール・チャレンジ・リーグ」に「キャリアサポーター」として参画したことがある[3]。
2004年シーズンの1年間、Jリーグチーム・ヴィッセル神戸のユニフォーム袖部分スポンサーだった。 2003年から、フルキャストスポーツ企画運営によるフットサルの全国大会「フルキャスト楽天カップ」→「フルキャストベネフィット・ワンSUNカップ」を開催していた。
格闘技イベント「K-1」を主戦場にしていたキックボクサー・佐藤嘉洋は、フルキャストスポーツの所属選手だった。 2006年頃まで、格闘技イベント「R.I.S.E.」のメインスポンサーだった。 2007年の1年間、様々なスポーツの要素を取り入れたミュージカル公演「マッスルミュージカル」に特別協賛、命名権も取得し、名称をフルキャストマッスルミュージカルとした。 2020年より「D.LEAGUE」のチーム「FULLCAST RAISERZ」のオーナー企業として参画。 2023年、「B.LEAGUE」のチーム「サンロッカーズ渋谷」と2023-24シーズンのオフィシャルトップパートナー契約を締結[4]。ユニフォームのパンツ前面部分にロゴが掲出される[5]。 不祥事労働者派遣法で禁じられている建築業や警備業への派遣や、別の派遣会社の依頼を受けたフルキャストがキャストを派遣する二重派遣、キャストが内勤から仕事の紹介を受ける際の説明と異なる業務に従事させるなどの違法・不正行為に対し、労働局から是正指導され報道された。以下では、2006年10月以降に報道されたものや行政指導・処分されたものを列挙。また、グッドウィル同様「データ装備費」と酷似した「業務管理費」問題が浮上したが、こちらはグッドウィルとは異なり過去の業務管理費は全額返還に応じるとしている。 容姿などの情報収集問題2006年10月20日、朝日新聞の報道により、キャスト(登録スタッフ)の個人情報に容姿など(いわゆる、センシティブ情報)を無断でデータ上に記していたことが発覚した。容姿などの情報収集は労働者派遣法に基づき禁止されている。労働組合「派遣業関連労働者ユニオン」の調べで明らかになったもので、個人情報には、住所や連絡先のほか「風貌(ふうぼう)」の欄があり、「太め」「容姿老」「容姿優」「不潔感」「茶髪」「スキンヘッド」や、容姿に関連して「虚弱体質」「言葉使い悪」などの印象を含めて20のチェック項目があった。フルキャスト側はこれらの情報を削除するとした。 労働組合に関わる問題2006年11月11日の朝日新聞電子版「アサヒコム」によると、「風貌(ふうぼう)」情報のデータ保存問題を告発した労働組合「派遣ユニオン」の組合員が働いている関連企業で、フルキャスト100%出資で前年10月設立されたばかりの「ネオパートナーズ」(横浜市)を11月末で閉鎖することが10日に明らかになった。フルキャスト側は「赤字続きで採算が取れないため」と説明したが、11月9日に行われた団体交渉で説明を受けたユニオン側は「組合つぶしとしか考えられない」と反発している。また、「組合員はすでに解雇を通告された。組合(フルキャストユニオン)を結成して要求書を出した直後の決定であり、不当労働行為だ」と抗議している。 残業手当の計算不備2006年11月22日、残業手当の計算方法に不備があり、労働基準監督署より是正指導がなされる。本来、交通費補助(1000円)となどに関しては、残業手当の計算内に入れなければならないが、フルキャストがこれを省いた金額で給料を支払っていたことが判明。この件に関しては、これまでの未払い金については支払いを拒否。その後、交通費補助を支払い項目から削除するという対策で対応した。 違法派遣業務の問題
業務改善命令2007年3月27日、東京労働局はフルキャストに対し、業務改善命令を発令[7]。フルキャストはこの処分に対し、再発防止を行うとし、社長ら役員報酬を一部返上するとしている[8]。処分理由は以下の通り。
ところが、当の東京労働局が、是正指導期間中の1月5日、子会社「フルキャストHR総研」に、「求職活動支援セミナー」の開催を委託、契約を締結していた事が発覚した[9]。契約した職業安定課と当該処分を行った需給調整課の連携が取れていなかったことが原因とみられる。 業務停止命令2007年8月3日、東京労働局は上記改善命令が履行されず違法な派遣が繰り返されたとして、フルキャストに対し事業停止命令を発令[10]。 停止理由は2007年5月1日・2日に神戸市の三宮、三宮北口、元町の3支店において神戸港におけるペットボトル飲料水の荷捌き作業をさせていたことである。また、先述の改善命令の改善状況が確認できない項目があったことも処分理由としてあげている。 停止期間は神戸市の三宮、三宮北口、元町の3支店が8月10日から10月9日までの2ヵ月間、その他の支店は8月10日から9月9日までの1ヵ月間。あわせて先述の改善命令の履行完了も含めた改善命令も発動されている。 この間は、レギュラーワークなどの継続案件の欠員補充や、当日欠勤が発生した場合や急な増員を要した場合の人員補充要員として登録支店ないしは勤務地現場内で拘束され補充要員になれなかった場合は数時間程度の拘束時間分の時給が支払われる「会社待機」・「現場待機」などのごく限定された仕事のみがキャストに与えられる形となる。 この間の新規のキャスト登録は出来ず、業務停止命令前からの登録キャストのみ、仕事の予約等が可能だった。 フルキャストの「本件に係るプレスリリース」[11]によれば、住所確認を怠った事が本処分の原因とのことである。また本処分に関し、役員報酬の一部返上がなされ、平野も9月期いっぱいで代表権を返上した。 ところが、2007年8月からの業務停止期間中にも関わらず違法に労働者を900件も派遣し続けていたことが発覚。厚生労働省は事情聴取を行った上で再び2008年10月に業務停止命令を再発動させた[12](厳密な意味では、旧フルキャストHR総研へ事業譲渡したあとのフルキャスト(現法人)への発動であり、旧法人(現・フルキャストホールディングス)への発動ではないため、2度目の業務停止命令とはいえない)。 社会保険庁年金記録入力ミス事件2007年12月10日~20日の間、フルキャストから社会保険庁に派遣されていた中国人ら約50名が、姓/名の区別が付けられないほどの日本語能力の欠如によって、公表されただけで約25万件に登る年金記録入力ミスを乱発したため、全ての入力作業が中断。社会保険庁のクレームで、全員日本人スタッフに差し替えられ、その後1ヶ月以上に亙る再照合修正作業を余儀なくされたが、フルキャストは「漢字圏の人なので問題無いと思っていた」「テストに合格した者のみを派遣している」等と弁解した [13]。 グループ企業連結子会社
持分法適用関連会社
かつて存在した企業
グループから離脱した企業
脚注
関連項目
外部リンク |