ブラッドリー・エマニュエル・ビール・シニア(Bradley Emmanuel Beal Sr., 1993年6月28日 - )は、アメリカ合衆国ミズーリ州セントルイス出身のプロバスケットボール選手。NBAのフェニックス・サンズに所属している。ポジションはシューティングガード。
学生時代
ミズーリ州セントルイスのチャミネード大学附属高校に入学し、2010年のFIBAアンダー17世界選手権に米国代表として出場し、平均18得点を記録して優勝に貢献した[2]。
最高学年では平均32.5得点、5.7リバウンド、2.8アシストを記録し、2011年ミズーリ州のハイスクール最高選手に送られる 賞を受賞した[3]。また、2011年のゲータレード最優秀選手賞も受賞した[4]。
2009年11月30日フロリダ大学のスカウトで[5]、アスリート奨学金を得て入学した。ビリー・ドノバンヘッドコーチのもとゲーターズに所属し、デビュー戦では14得点を記録し、11月21日から28日に平均 8.5得点、7リバウンド、2アシスト、1.5スティールの成績を残しライトステイト大学とジャクソンビル大学に勝利した[6]。SECオールフレッシュマンファーストチームと オールSECファーストチームに選ばれた[7]。
NBAキャリア
ワシントン・ウィザーズ
2012年4月13日、進級せずに2012年のNBAドラフトにアーリーエントリーし[8]、アンソニー・デイビス、マイケル・キッド=ギルクリスト に次ぐ全体3位でワシントン・ウィザーズから指名を受け入団した[9]。ビールはアレン・アイバーソンのファンであったことから背番号「3」を選択した。
2013年のNBAオールスターゲームでは、ライジング・スターズ・チャレンジ戦に選ばれた。2013年4月3日、残りのシーズンを足の故障により欠場することを発表した[10]。シーズン終了時56試合出場であったが、NBAオールルーキーチームの1stチームに選ばれた。新人王の投票ではデイミアン・リラード、アンソニー・デイビスに次ぐ3位に入った[11][12]。
2013年11月10日、オクラホマシティ・サンダー戦でキャリアハイの34得点を記録し、同シーズン中のメンフィス・グリズリーズ戦で、37得点で更新した。2014年のNBAオールスターウィークエンドのNBAスリーポイント・シュートアウトでは、マルコ・ベリネッリに次ぐ準優勝を果たしている。2014年のプレーオフでは、1stラウンドでシカゴ・ブルズをアップセットで下したものの、セミファイナルでインディアナ・ペイサーズに敗れている。
2014年10月11日、ビールはシーズン開始前にMRI検査を受けた結果左手首舟状骨骨折が明らかになり[13]、その後手術しシーズン開始から6週間から8週間は試合に出られなくなった[14]。故障でシーズンの最初の9試合を欠場した後、11月19日のダラス・マーベリックス戦にてシーズン初出場となった。ベンチから26分間の出場でチーム最高の21得点を記録し、3リバウンド、3アシスト、1スティールを記録したが、チームは102-105で惜しくも敗北した[15]。
2015年11月4日のサンアントニオ・スパーズ戦にて、第4クォーター残り0.3秒で勝利を決めた3ポイントシュートを沈め、ビールはゲームハイの25得点を記録しウィザーズを102-99で勝利に導いた[16]。しかしビールは11月中旬に肩の負傷で3試合を欠場[17]、12月11日から1月11日の間に右下肢の負傷で16試合を欠場など2015-16シーズンは故障に悩まされたシーズンを過ごすこととなった[18]。
開幕前の2016年7月26日、ウィザーズと5年総額1億2800万ドルのマックス契約で契約延長に合意[19]。11月21日のフェニックス・サンズ戦では、自己最高の42得点を記録した[20]。
2017年12月5日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦では自身最多の51得点を記録[21]。自身初のNBAオールスターゲームに選出された[22]。このシーズンはジョン・ウォールが41試合に欠場する中、いずれも自己最高の4.4リバウンド、4.5アシスト、1.2スティールを記録。
自身初を含む2度のトリプル・ダブルを記録、シーズン2度の40得点以上のトリプル・ダブルはオスカー・ロバートソン(1961-62)以来史上2人目の快挙であった[23]。このシーズンもオールスターゲームに選出され、ジョン・ウォールが50試合に欠場する中、リーグ1位の36.9分でいずれも自身最高の平均25.6得点、5.0リバウンド、5.5アシスト、1.5スティール、0.7ブロックを記録。
開幕前の2019年10月17日、2023年夏までの2年7200万ドルで契約延長した(2年目はプレーヤーオプション)[24]。12月28日のデトロイト・ピストンズ戦で欠場し、連続試合出場が194試合(プレーオフを含めると213試合)で途切れた[25]。2020年2月26日、前日の53得点に続き、この日も自身最多を更新する55得点で、2007年のコービー・ブライアント以来史上6人目となる2日連続での50得点を達成した[26]。3月にシーズンが中断するまでに平均30.5得点でジェームズ・ハーデンに次ぐ2位である。
2020年12月11日、ジョーダン・ブランドと契約した[27]。2021年1月6日のフィラデルフィア・76ers戦にて、ギルバート・アリーナスに並ぶ球団最多タイ記録の60得点を記録したがチームは141-136で敗北した[28][29]。2021年2月18日、2年ぶり3度目となるオールスターゲームに選出され、自身初の先発となった[30]。チーム分けでは幼なじみのジェイソン・テイタムらと共にチーム・デュラントに選ばれた[31]。レギュラーシーズンを8位で終え、プレーイン・トーナメントではシャーロット・ホーネッツ戦で25得点、6リバウンド、4アシストなどを記録し、プレーオフ進出に貢献した。3年ぶりのプレーオフでは1回戦のフィラデルフィア・76ersに対して1勝4敗でシーズンを終えた。このシーズンは57試合に出場し、平均31.3得点、4.7リバウンド、4.4アシストなどを記録し、自身初のオールNBAチーム(3rd)に選ばれた。平均得点はステフィン・カリーに次ぐ2位であった。
フェニックス・サンズ
2023年6月24日、ウィザーズ、サンズ、ペイサーズの3チーム間のトレードでサンズに移籍した[32][33]。
個人成績
NBA
レギュラーシーズン
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
2012–13
|
WAS
|
56 |
46 |
31.2 |
.410 |
.386 |
.786 |
3.8 |
2.4 |
.9 |
.5 |
13.9
|
2013–14
|
73 |
73 |
34.7 |
.419 |
.402 |
.788 |
3.7 |
3.3 |
1.0 |
.2 |
17.1
|
2014–15
|
63 |
59 |
33.4 |
.427 |
.409 |
.783 |
3.8 |
3.1 |
1.2 |
.3 |
15.3
|
2015–16
|
55 |
35 |
31.1 |
.449 |
.387 |
.767 |
3.4 |
2.9 |
1.0 |
.2 |
17.4
|
2016–17
|
77 |
77 |
34.9 |
.482 |
.404 |
.825 |
3.1 |
3.5 |
1.1 |
.3 |
23.1
|
2017–18
|
82* |
82* |
36.3 |
.460 |
.375 |
.793 |
4.4 |
4.5 |
1.2 |
.4 |
22.6
|
2018–19
|
82* |
82* |
36.9* |
.475 |
.351 |
.808 |
5.0 |
5.5 |
1.5 |
.7 |
25.6
|
2019–20
|
57 |
57 |
36.0 |
.455 |
.353 |
.842 |
4.2 |
6.1 |
1.2 |
.4 |
30.6
|
2020–21
|
60 |
60 |
35.8 |
.485 |
.349 |
.889 |
4.7 |
4.4 |
1.2 |
.4 |
31.3
|
2021–22
|
40 |
40 |
36.0 |
.451 |
.300 |
.833 |
4.7 |
6.6 |
.9 |
.4 |
23.2
|
2022–23
|
50 |
50 |
33.5 |
.506 |
.365 |
.842 |
3.9 |
5.4 |
.9 |
.7 |
23.2
|
2023–24
|
PHX
|
53 |
53 |
33.3 |
.513 |
.430 |
.813 |
4.4 |
5.0 |
1.0 |
.5 |
18.2
|
通算
|
748 |
714 |
34.6 |
.463 |
.375 |
.822 |
4.1 |
4.3 |
1.1 |
.4 |
21.9
|
オールスター
|
3 |
1 |
21.7 |
.496 |
.433 |
.000 |
1.0 |
2.3 |
1.0 |
.0 |
17.0
|
プレーオフ
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
2014
|
WAS
|
11 |
11 |
41.6 |
.424 |
.415 |
.796 |
5.0 |
4.5 |
1.6 |
.6 |
19.2
|
2015
|
10 |
10 |
41.8 |
.405 |
.365 |
.831 |
5.5 |
4.6 |
1.6 |
.7 |
23.4
|
2017
|
13 |
13 |
38.8 |
.471 |
.287 |
.820 |
3.3 |
2.7 |
1.6 |
.6 |
24.8
|
2018
|
6 |
6 |
36.0 |
.454 |
.467 |
.870 |
3.3 |
2.8 |
1.2 |
.3 |
23.2
|
2021
|
5 |
5 |
39.0 |
.455 |
.219 |
.861 |
6.2 |
4.2 |
.8 |
.6 |
30.0
|
2024
|
PHX
|
4 |
4 |
38.5 |
.441 |
.435 |
.800 |
2.8 |
4.5 |
.8 |
.3 |
16.5
|
通算
|
45 |
45 |
39.8 |
.442 |
.347 |
.829 |
4.6 |
3.8 |
1.5 |
.6 |
23.5
|
カレッジ
シーズン
|
チーム
|
GP
|
GS
|
MPG
|
FG%
|
3P%
|
FT%
|
RPG
|
APG
|
SPG
|
BPG
|
PPG
|
2011–12
|
フロリダ
|
37 |
37 |
34.2 |
.445 |
.339 |
.769 |
6.7 |
2.2 |
1.4 |
.8 |
14.8
|
人物
関連項目
脚注
- ^ “Bradley Beal, Caris LeVert Sign Endorsement Contracts with Jordan Brand” (英語). Bleacher Report. 2023年6月18日閲覧。
- ^ FIBA.com – 2010 FIBA U17 World Championship for Men Top players. Hamburg2010.fiba.com. Retrieved on 2012-07-04.
- ^ Mr. & Miss Show-Me Basketball Archived 2012年3月24日, at the Wayback Machine.. Mobca.org. Retrieved on 2012-07-04.
- ^ Gator Men's Basketball Roster/Bios. GatorZone.com (2012-06-06). Retrieved on 2012-07-04.
- ^ Brad Beal – Yahoo! Sports. Rivals.yahoo.com (2009-11-30). Retrieved on 2012-07-04.
- ^ Beal Named SEC Freshman of the Week. GatorZone.com (2011-11-28). Retrieved on 2012-07-04.
- ^ Three Gators Earn Men's Basketball All-SEC Honors, Young Named Scholar-Athlete of the Year. GatorZone.com (2012-03-06). Retrieved on 2012-07-04.
- ^ Bradley Beal Informs Gators of Intentions to Turn Pro. GatorZone.com (2012-04-13). Retrieved on 2012-07-04.
- ^ “Wizards draft Brad Beal 3rd overall”. Gator Country (28 June 2012). 28 June 2012閲覧。
- ^ Wizards G Bradley Beal done for season with injury
- ^ Portland's Lillard named 2012-13 Kia NBA Rookie of the Year
- ^ “2012-13 NBA Awards Voting”. Basketball-Reference.com. 2021年9月19日閲覧。
- ^ “WIZARDS INJURY UPDATE”. November 24, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月1日閲覧。
- ^ Castillo, Jorge (October 11, 2014). “Wizards' Bradley Beal could miss six to eight weeks with broken left wrist (updated)”. 2021年3月1日閲覧。
- ^ “Mavericks at Wizards”. 2021年3月1日閲覧。
- ^ “Spurs vs Wizards”. 2021年3月1日閲覧。
- ^ “Wizards vs Pistons”. 2021年3月1日閲覧。
- ^ “Wizards to be without Beal for at least 2 weeks”. 2021年3月1日閲覧。
- ^ Wizards Re-Sign Bradley Beal
- ^ Wizards Guard Bradley Beal Scores Career High 42 in Win
- ^ “ブラッドリー・ビールがキャリアハイの51得点を奪い、ウィザーズがブレイザーズに勝利”. バスケットボールキング (2017年12月6日). 2019年6月2日閲覧。
- ^ “ブラッドリー・ビール、ビクター・オラディポ、クリスタプス・ポルジンギス、カール・アンソニー・タウンズが初選出”. NBA.com (2018年1月24日). 2018年1月25日閲覧。
- ^ “ブラッドリー・ビールが快挙、40得点・10リバウンド・15アシスト以上を複数回達成”. バスケット・カウント (2019年1月14日). 2019年6月2日閲覧。
- ^ “ブラッドリー・ビールがウィザーズと延長契約「残りのキャリア全てを過ごしたい場所」”. バスケットボールキング (2019年10月18日). 2020年6月17日閲覧。
- ^ “連続出場記録が194でストップしたブラッドリー・ビールをトーマスが称賛「すごい記録」”. バスケットボールキング (2019年12月30日). 2020年6月17日閲覧。
- ^ “ウィザーズのブラッドリー・ビール、史上6人目の2日連続50得点超えも敗戦に「最悪」”. NBA Rakuten (2020年2月26日). 2020年6月17日閲覧。
- ^ “Bradley Beal signs with Jordan Brand” (英語). bulletsforever.com (2020年12月11日). 2021年1月29日閲覧。
- ^ Corvo, Michael (January 6, 2021). “Bradley Beal scores only 3 points in final quarter, finishes just shy of Stephen Curry’s 62 points”. ClutchPoints. January 7, 2021閲覧。
- ^ Baer, Jack (January 6, 2021). “Bradley Beals ties franchise record with 60 points, Wizards still lose”. Yahoo Sports. January 7, 2021閲覧。
- ^ “2021 NBA All-Star Game starters revealed | NBA.com”. NBA.com (February 18, 2021). March 3, 2021閲覧。
- ^ “Beal joins Tatum on Team Durant in the 2021 All-Star Draft”. NBA.com (2021年3月5日). 2021年4月29日閲覧。
- ^ “SUNS ACQUIRE BEAL, GOODWIN, TODD” (2023年6月24日). 2023年6月24日閲覧。
- ^ “Bradley Beal's Jersey Number With Suns Revealed” (2023年6月25日). 2023年6月25日閲覧。
- ^ Wizards’ Scout.com: Brad Beal Profile
- ^ Wizards’ Bradley Beal shows out in front of rapper Nelly
- ^ “Bradley Beal and Kamiah Adams welcome their second son”. SBネーション(英語版) (2019年8月30日). 2021年9月19日閲覧。
外部リンク