ブラーツク(ロシア語: Братск、Bratsk)は、ロシア連邦のシベリア連邦管区の都市。イルクーツク州中部、バイカル湖の西側に位置する。人口は224,071人(2021年現在)である[1]。
概要
アンガラ川とオカ川の合流点に近い。アンガラ川をブラーツクダムにより堰き止めたブラーツク湖、ブラーツク水力発電所が有名である。ブラーツク国立工科大学、イルクーツク国立大学の支部がある。国際空港を持つ。
歴史
ブラーツク周辺にロシア人が進出したのは1631年であり、ここに要塞が建設された。1940年代には水力発電所を建設するため、当地へバム鉄道が延伸されており、シベリア抑留で動員された日本人の多くが使役された土地である。
人口が飛躍的に増加したのは、1955年にブラーツクダムおよび水力発電所の建設が始まってからである。大型土木工事の労働者は全国のコムソモールからの参加もみられた。完成後のブラーツクの人口は20万人を超える規模となった。1970年代のブラーツクダムには「共産主義、それはソビエト政権プラス全国の電化である」というウラジーミル・レーニンの言葉が掲げられた。発電所の最大出力は400万キロワットと当時世界第2位。ブラーツク市は、豊富で安価な電力を生かしたアルミニウム精錬や、周辺の森林(タイガ)資源を利用したパルプ製造などが行われ急速に発展。人間と自然が織りなす壮大なシベリア開発の複合式発展は「ブラーツク方式」と呼ばれ、ソビエト連邦の発展を示す事例として喧伝された[2]。
一方で、東西冷戦下において重要な産業都市としてアピールすることは、敵国の攻撃目標とされることが想定された。ブラーツクに限る話ではないが、1960年代後半に修正されたソビエト連邦の地図では、ブラーツクの位置は核攻撃などを想定して、実際の場所より20キロメートル程度ずれた場所に記載されていた[3]。
気候
ケッペンの気候区分で亜寒帯湿潤気候 (Dfc)に属する。中央シベリアの都市では、比較的過ごしやすい気候とされる。
ブラーツクの気候
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月 |
1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
年
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最高気温記録 °C (°F)
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3.0 (37.4)
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7.2 (45)
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13.4 (56.1)
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22.8 (73)
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31.1 (88)
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34.0 (93.2)
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37.0 (98.6)
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32.3 (90.1)
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27.2 (81)
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22.8 (73)
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10.0 (50)
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9.2 (48.6)
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37 (98.6)
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平均最高気温 °C (°F)
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−17.1 (1.2)
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−13.1 (8.4)
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−4.3 (24.3)
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4.0 (39.2)
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13.3 (55.9)
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20.5 (68.9)
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23.6 (74.5)
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20.2 (68.4)
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12.7 (54.9)
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2.5 (36.5)
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−7.9 (17.8)
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−15.1 (4.8)
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3.28 (37.9)
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日平均気温 °C (°F)
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−20.6 (−5.1)
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−17.5 (0.5)
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−9.4 (15.1)
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−0.5 (31.1)
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8.1 (46.6)
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15.1 (59.2)
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18.3 (64.9)
|
15.1 (59.2)
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7.9 (46.2)
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−1.1 (30)
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−11.2 (11.8)
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−18.3 (−0.9)
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−1.17 (29.88)
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平均最低気温 °C (°F)
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−24.9 (−12.8)
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−22.7 (−8.9)
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−15.7 (3.7)
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−6.2 (20.8)
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1.8 (35.2)
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8.8 (47.8)
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12.5 (54.5)
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9.6 (49.3)
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2.9 (37.2)
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−5.3 (22.5)
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−15.5 (4.1)
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−22.5 (−8.5)
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−6.43 (20.41)
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最低気温記録 °C (°F)
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−53.9 (−65)
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−47.0 (−52.6)
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−40.0 (−40)
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−27.2 (−17)
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−12.2 (10)
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−8.2 (17.2)
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0.2 (32.4)
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−3.0 (26.6)
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−12.0 (10.4)
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−28.0 (−18.4)
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−37.2 (−35)
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−44.0 (−47.2)
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−53.9 (−65)
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降水量 mm (inch)
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14.5 (0.571)
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11.6 (0.457)
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11.4 (0.449)
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17.2 (0.677)
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31.8 (1.252)
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47.1 (1.854)
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58.5 (2.303)
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65.0 (2.559)
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39.8 (1.567)
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23.1 (0.909)
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23.2 (0.913)
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19.7 (0.776)
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362.9 (14.287)
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平均降水日数 (≥0.1 mm)
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24.6
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20.9
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19.6
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11.3
|
15.8
|
10.8
|
11.8
|
11.7
|
14.0
|
19.9
|
26.0
|
27.8
|
214.2
|
% 湿度
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82.4
|
81.6
|
72.1
|
64.8
|
63.8
|
67.7
|
69.4
|
75.5
|
71.5
|
75.8
|
81.7
|
84.2
|
74.21
|
平均月間日照時間
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79.1
|
114.8
|
192.2
|
243.0
|
258.9
|
264.0
|
306.9
|
237.2
|
153.0
|
108.5
|
77.0
|
52.7
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2,087.3
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出典:climatebase.ru[4]
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姉妹都市
脚注
- ^ “CITY POPULATION”. 22 May 2023閲覧。
- ^ 新段階迎えたシベリア開発 原生林に挑む突撃隊『朝日新聞』昭和49年(1974年)9月22日朝刊、13版、9面
- ^ ソ連発表の地図に異変 西部の町、鉄道位置が大移動 核攻撃を想定し偽装?『朝日新聞』1970年(昭和45年)2月4日朝刊 12版 14面
- ^ “Bratsk, Russia”. Climatebase.ru. January 23, 2013閲覧。
外部リンク