ベルローズ(Belle Rose)はイギリスの繁殖牝馬。仔のロイヤルローズ及びピンクドミノを通じて子孫が繁栄し、8号族c分岐の一角を成す大牝系の祖となった。
血統表
産駒
ロイヤルローズ
ロイヤルローズ(Royal Rose)は1894年産、父ロイヤルハンプトン(Royal Hampton)。繁殖牝馬としてはピーターパンとの間に生まれたペナント(Pennant)が1913年のフューチュリティステークスに優勝、種牡馬としてもアメリカ殿堂馬のエクイポイズの父となるなど活躍した。
ロイヤルローズの牝系子孫はペナントの全姉にあたる1910年産のチェロキーローズ(Cherokee Rose)を祖として大きく発展し、世界的名牝系を構築している。
ロジーオグラディ系
チェロキーローズが1915年に産んだロジーオグラディ(Rosie O'Grady)は競走馬としても1917年の米最優秀2歳牝馬に選ばれるなど活躍したが、産駒のウェノ(Weno)、エリン(Erin)、ポティーン(Potheen)らがそれぞれ牝系子孫に活躍馬を輩出した。
なかでもエリンの仔ボールドアイリッシュ(Bold Irish)の子孫にはアメリカの歴史的名牝ラフィアンと名種牡馬アイスカペイドの兄妹が出ており、ロジーオグラティ系の中心的な存在となった。そのほかボールドアイリッシュの半姉ブランサム(Bransome)の子孫にドリームジャーニー・オルフェーヴル兄弟など。
- ロジーオグラディ系の主な活躍馬
- ウェノ - インテント
- エリン
- ブランサム - ドリームジャーニー、オルフェーヴル
- ボールドアイリッシュ - アイスカペイド、ラフィアン、フサイチペガサス
- ポティーン - ビウィッチ
ロウズバド系
チェロキーローズが1917年に産んだロウズバド(Rowes Bud)も繁殖牝馬として活躍し、1927年シャンペンステークス優勝馬オーセイ(Oh Say)の母となったほか、牝系子孫も産駒のローズブルーム(Rosebloom)とレアブルーム(Rare Bloom)を通じて発展している。
特にレアブルームの曾孫にあたるクリムズンセイント(Crimson Saint)の功績が大きく、同馬の仔にターリングアとロイヤルアカデミーが出ており、ターリングアの仔である大種牡馬ストームキャットと合わせて多くの馬にその血が受け継がれている。
ピンクドミノ
ピンクドミノ(Pink Domino)は1897年産で、「黒い旋風」ドミノが遺した全20頭(内1頭は登録前に死亡)の産駒の内の1頭である。繁殖牝馬としてスウィープの母となり、同馬は種牡馬として2度米リーディングサイアーに輝き、母の父としてもウォーアドミラルとワーラウェイを輩出した。
牝系としては前述のロイヤルローズほどの発展は見せていないものの、種牡馬として活躍したレッドゴッドやヘネシー、G1競走16勝を誇るアメリカの歴史的名馬ジョンヘンリーなどが子孫の代表馬として挙げられる。
ベルローズのファミリーライン
牝系図の主要な部分(G1競走優勝馬、日本の重賞馬)は以下の通り。*は日本に輸入された馬。
- ---↓ベルローズ牝系
- Belle Rose 1889
- Royal Rose 1889
- Pink Domino 1897
- Curiosity 1903
- Novelty 1908(ベルモントフューチュリティS・ホープフルS)
- Wonder 1910
- Miss Whisk 1921
- Dustemall 1927(メイトロンS)
- Red Rain 1933(ホープフルS)
- Dusty Legs 1945
- Fly Swatter 1935
- Flyweight 1942
- Flynet 1949
- Needlebug 1961
- T. C. Kitten 1969
- Island Kitty 1976
- Field Cat 1977(パンアメリカンH)
- Tis a Kitten 1978
- Oncilla 1989
- Frameita 2000
- Dominga Feriz 2013(智G1・タンテオデポトランカス)
- Sharp Kitty 1979
- Careless Kitten 1980
- Beware of the Cat 1986
- Editor's Note 1993(ベルモントS・スーパーダービー)
- Hold That Tiger 2000(グランクリテリウム)
- First Flight 1944(ベルモントフューチュリティ・メイトロンS・モンマスオークス)
- Virgin Isle 1956
- Spanish Pearl 1969
- Male Strike 1974
- Karen R. 1983
- Majestic Karen 1991
- Star One One 1996
- One Wise Cowgirl 2005
- *ハヴユーゴーンアウェイ 2011(バレリーナS)
- On the Line 1984(サンフェルナンドS・カーターH)
- Sweep 1907(フューチュリティS・ベルモントS・ローレスリアライゼーションS)
- Sweepaway 1908
- Brookdale 1921
- Boola Brook 1937
- Admiral's Lady 1942
- Spring Run 1948(ブルーグラスS)
- Swan Song 1914
- Inchcape Belle 1923
- Thanksgiving 1935(トラヴァーズS)
ロジーオグラディ系
- Rosie O'Grady 1915
- Weno 1922
- Erin 1927
- Bransome 1935
- Dynamo 1945
- Coastal Trade 1951
- Wise Exchange 1965(フラミンゴS)
- Dhow 1968
- High Voltage 1952(メイトロンS・セリマS・エイコーンS・CCAオークス・デラウェアオークス)
- Great Power 1964(サプリングS)
- Irradiate 1966
- Overpowering 1967
- Magneto 1953
- Beguiling 1955
- Morning Bird 1967
- Paula J. T. 1981
- P. J. Extravaganza 1987
- Doppio Amore 2008
- Doppio Shanghai 2015(伯G1・リオデジャネイロディアナ大賞)[注 3]
- Palm Beach Deb 1983
- Bold Irishman 1938(ピムリコフューチュリティ)
- Bold Irish 1948 ---→ボールドアイリッシュ系へ
- Potheen 1928
ボールドアイリッシュ系
- Bold Irish 1948
- Blarney Castle 1954
- Longford 1955
- Castle Forbes 1961(ソロリティS・エイコーンS)
- Leix 1957
- Tiy 1975
- Ahpo Hel 1982
- Twin Propeller 1993
- General Jeanne 1999
- Golden Tiy 1990
- Shenanigans 1963
- Icecapade 1969
- Laughter 1970
- Steel Maiden 1983
- Women's Rights 1998
- Mesabi Maiden 1993
- Lady Liberty 1999
- Altar Girl 2002
- Princess Daisy 2008
- Algecira Fever 2016(宇G1・ポージャデポトランカス)[1]
- Private Terms 1985(ウッドメモリアルS)
- Laughing Look 1986
- Ruffian 1972(ソロリティS・スピナウェイS・エイコーンS・マザーグースS・CCAオークス)
- Castle Hyde 1968
ロウズバド系
- Rowes Bud 1917
- Oh Say 1925(シャンペンS)
- Rosebloom 1932
- Highclere 1938
- Sopranist 1943(スピナウェイS)[2]
- Pipette 1944(スピナウェイS)[3]
- Pomrose 1940
- Rosepomp 1947
- Miss Fairfield 1962
- Hot Slippers 1974
- Cyane's Slippers 1983
- Double Slippers 1986
- Eithan 1993(亜G1・ラスアメリカス大賞)
- Bouncy Barb 1981
- Rambling Barb 1989
- *ショウナンハピネス 1995
- ショウナンアネーロ 2004
- ショウナンマオ 2009
- Fragrance 1942
- Rare Bloom 1935
牝系図の出典:galopp-sieger.de Stammtafeln
注釈
出典
参考文献
- 平出貴昭『覚えておきたい世界の牝系100』(オーイズミ・アミュージオ、2019年)ISBN 978-4-07-341149-9 (pp.96-97:Bold Irish / pp.98-99:Crimson Saint)
外部リンク