ボーイング737 ネクストジェネレーションボーイング737 ネクストジェネレーション ボーイング737 ネクストジェネレーションは、アメリカ合衆国の航空機メーカー、ボーイング社が製造するボーイング737の第3世代型となる小型ジェット旅客機である。 概要1990年代に入り、小型機市場において勢力を急速に伸ばしたエアバスA320シリーズに対抗するために、ベストセラーシリーズであるボーイング737シリーズを近代化して開発した機体。1997年から生産が開始された。日本でも日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)の主力小型機材として導入され、国内地方都市間を結ぶ路線の主役として活躍している現行機モデルである。民間機としては737MAXの登場により2019年に生産を終了しており、現在はP-8などの軍用型のみ生産されている。 特徴1990年代にボーイング777で開発された技術を導入したシリーズで、主翼が翼幅、翼面積ともに拡大された新設計のものに変えられ、これに応じて尾翼も大型化されている。コックピットも最新の大型の液晶画面を装備したグラスコックピットになり、後に機長席(左側の席)のみオプションでヘッドアップディスプレイ(HUD)も装備できるようになった。ディスプレイには従来型と同じ計器を表示可能とすることで、従来型と操縦規格の共通性を持たせた点も重要な特徴である。航空機の操縦資格は一般に、同一機種ごと(日本の場合は「ボーイング737型」)であるため、ベストセラー機である737シリーズの資格を持つ多くのパイロットが、新規の資格取得不要で最新鋭機を操縦できることとなり、運航会社はパイロット育成のコストを抑えることができる。この点をセールスポイントとしたボーイングの販売戦略が、737の販路を更に広げることになった。 エンジンは、CFMインターナショナルのCFM56-7B型に統一されている。主翼端にはオプションでウィングレットを装備でき、離陸性能や燃費の向上が図れる(航行距離が長いほど燃費改善が大きく期待できる)。このウイングレットは翼端をそのまま上に持ち上げたような形状のため「ブレンデット・ウイングレット」と呼ばれている。このほか、燃料容量の増加もあって長距離飛行(最大航続距離がそれまでは3,000 - 5,000km程度だが、NG型は5,000 - 6,200km程度)が可能になったものもある。更に、2014年以降は後付したものおよび新造機において、「スプリット・シミタール・ウィングレット(Split Scimitar Winglet)」と呼ばれる新型ウィングレットを装着したものも現れ、ブレンディッド・ウイングレットより2%燃費が改善される[1]。 内装を変えてビジネスジェットに用いられるなど、737=短距離用・ローカル線用機材の概念も崩れつつある。ただ、胴体断面はボーイング707以来ほとんど変わっておらず、そのため貨物室がユニット・ロード・デバイスに対応できないという問題点はそのままである。 2010年からは、ボーイング787の客室インテリアをもとに開発された、LED照明の採用や客室内騒音の低下などを図ったBSI(Boeing Sky Interior)仕様がリリースされており、2010年10月27日にアラブ首長国連邦のフライドバイが世界で初めて導入した。 2014年7月16日に、737NGシリーズの通算5,000機目がロールアウトされた。この記念すべき5,000機目は、C-40Aクリッパーとしてアメリカ海軍へ引き渡される[2]。 2014年10月6日には、エアロノーティカル・エンジニアリング(AEI)がボーイング・エンジニアリング・データとB737-800もしくはB737-900を貨物機or貨客混載(コンビ型)に改修するプログラムが締結され[3]、ライセンス契約が結ばれた。 2019年6月27日にスカイマークがB737-800(JA 73AC)を受領。この機体をもって737NGシリーズ旅客型の生産が終了。今後は737MAXのみが生産される。なお、P-8などの軍用型は生産が継続される。 派生型737クラシックとは異なり、ダッシュのあとの数字が大きくなる順に胴体長が長くなっている。したがってNGシリーズでもっとも小さいのが-600型、もっとも大きいのが-900型で、-900型は757-200にせまる収容力を持っている(787の開発もあり、757の生産は2005年に終了した)。ただし-900型は-800型より胴体が延長されているものの、非常口数が変わらないため最大客席数は-800型と同じ189席となっている[4][5]。航続距離を延長したERタイプもある。 売れ筋は-800型で、インドネシアの政府専用機として採用された特別仕様機もある。 旅客型
ボーイング・ビジネス・ジェット(BBJ)→詳細は「ボーイング ビジネスジェット」を参照
-700型をベースに-800型の主翼と降着装置を使用して離陸重量を増加し、内装をビジネス機仕様に改修した機体。のちに-800型ベース(BBJ2)や-900型ベース(BBJ3)の機体も製造。10,000km以上の航続距離を持ち、近年では小型化が進んでいる政府専用機としても多数採用された。なおBBJは777・787・747-8ベースでも製造される。 軍用型
オペレーター→詳細は「ボーイング737オペレータ一覧」を参照
2015年7月の時点で、5,102機のボーイング737ネクストジェネレーションが商用サービスにあった。内訳は57機の-600、1,036機の-700、3,629機の-800、380機の-900である。[7] 日本での導入全日空グループが-700・-700ER・-800を導入しており、ローンチカスタマーとして導入した-700ERは「ANAビジネスジェット」と銘打ち国際線用機材として2016年3月まで就航した。-700は系列のエアーニッポン・エアドゥへ移籍しても同じ機材が登録変更しただけのため型式に含まれるボーイングカスタマーコードは全日空の「81」のままである。また全日空では2015年に-800を5機追加発注[8]受領運用[9]、さらにMitsubishi SpaceJetの遅延補償として2017年4機を追加発注(実際はBOC Aviationからのリース。このため当該機材はモデルネームが737-8ALとなっている)し、2018年に受領した[10]として同社保有の-800は40機になる。 日本航空グループは-800を日本航空が2007年3月から主に羽田発着の地方路線をはじめとした国内線に、同年5月から国際線に就航させた。日本航空では2013年に全機完納された。グループの日本トランスオーシャン航空(JTA)は2014年3月、機材刷新計画で-400から-800に移行すると発表。2016年1月に初号機を受け取り、2019年に全機完納された。2019年5月に-400が全て退役し全て-800に統一した。CFMインターナショナル製のCFM56-7エンジンを搭載し、最新の効率性向上パッケージ(PIP)も装備する。JTAとボーイング社との合意内容には、調達機材を737MAXに変更することを可能とするオプションも含んでいたが、調達機材の変更を行わずに全て-800で引き渡された。JALでは50機、JTAでは12機運用している。2020年からJAL本体導入経年機を中心に順次リース返却及びPIP仕様対応していたJA350Jがグループ内リース転籍し棲み分けらた。2022年からJAL本体の一部国際線仕様機でWi-Fi対応、機内照明LED化など内装更新中。 スカイマークでは2006年から-800のリース導入を開始し、2009年には保有機をすべて-800に統一した。2017年には-800を3機追加発注。2018年に1機、2019年に2機が納入された。また、2019年に納入されたうちの1機(JA73AC)は737NGシリーズ旅客型の最終生産機である。 スカイネットアジア航空もソラシドエアへブランド変更した2011年から新造機導入を開始し、現在は全て-800に統一した。 2014年夏に運航を開始したスプリング・ジャパンも日本の格安航空会社として-800を初導入運用中。 機内照明にLED採用などの最新機内仕様『ボーイングスカイインテリア:BSI』については、導入決定は2010年2月9日のスカイネットが初事例となり[11]、就航開始は2011年5月23日のスカイマーク[12]、同仕様はJTAおよびANAにも波及していった。 販売実績
2020年6月現在[13]。 仕様
事故→詳細は「ボーイング737型機の事件・事故一覧」を参照
大規模な補修・改修2019年10月10日、ボーイング社は、世界中の航空会社で運用されている810機を検査し、38機で胴体と翼の骨組みを接合する部品に亀裂を発見したことを発表。当該機を運航停止し、修理と部品交換することを発表している[14]。 脚注
外部リンク
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