ミカン属
ミカン属(ミカンぞく)は、ムクロジ目ミカン科の属である。学名:Citrus(キトルス、シトラス)。 ウンシュウミカン、ナツミカン、ユズなどがこの属に属する。属名は、ラテン語でシトロンを意味する citrus(キトルス)に由来。 分類
履歴米国のウォルター・テニソン・スウィングルは、ミカン属に16の種しか見出さなかった。しかしスウィングルに師事した日本の柑橘類の権威は、自然界からの標本採取ではなく、がんらい栽培種として育てられてきた種類に着眼し、それらを分類学者が種として発表することを可能とする"Hort." (Hortulanorum)の制度を提唱した(1928年国際園芸学会議ウィーン )[1]。その結果、田中長三郎は長年の研究により、ミカン属を細かく160前後の種に分類した[1][2]。 ところが現在の研究では、一般的に真正の種と認められておらず、ほぼ交配雑種・品種だとみなされている。例えば、田中による種 Citrus clementina Hort. ex Tanaka[1]は、じつは交配種Citrus × clementinaとされている。近年の遺伝子型、表現型を比較した研究では、ミカン属の原種はわずか4種程度とされており[3]、つまりそれ以外はほとんど雑種であるというのが一般結論である。 分類学で、田中長三郎のように細かく種を分ける学者は「スプリッター」("splitter")、スウィングルのように種の定義を広くとる学者は「ランパー」("lumper")[2]と言われる。長三郎の仕分けシステムは、分類学上の有効性がなくとも、特に日本の多くの品種を分類化するのに、便宜性があり、香味成分、栽培論などではいまだに用いだされる例もあるようだが、遺伝子的な近似を比較した研究では、長三郎の分類したと同じグループ化(クラスタリング)をしていないという結果も出ている[1] 画像出典
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