メイン・グランド・コンバット・システム
メイン・グランド・コンバット・システム (Main Ground Combat System、MGCS、陸上主力戦闘システム)は欧州主力戦車(European Main Battle Tank、EMBT)、欧州戦車(Eurotank)、レオパルト3[1]とも呼ばれる、2012年に開始されたフランスとドイツで配備中の主力戦車ルクレールおよびレオパルト2の後継機開発計画である[2][3][4]。計画は2016年から構想段階にあり、2017年までに構想を完了する予定であった[5]。 新戦車開発の前提条件は、性能が向上した新主砲の開発である。ドイツの軍需企業ラインメタル社がこの計画に参加し、レオパルト2A6で導入されたラインメタル 120 mm L55よりも優れた性能を持つ新主砲の開発を開始した[5]。2016年のユーロサトリでラインメタル社がL51 130mm滑腔砲を発表した[6]。 新戦車は2035年に配備予定[7]。 欧州主力戦車MGCS計画の第一歩は、独仏両国が次世代戦車を共同開発できることを示すための技術デモンストレーター作製であった[8]。 2018年6月11〜15日にフランスのパリで開催されたユーロサトリーで、KMW+ネクスター・ディフェンス・システムズ社は、レオパルト2A7の車体とルクレールの軽量化された砲塔内要員2名の砲塔を組み合わせた主力戦車「European Main Battle Tank」(EMBT)を初展示した[9]。欧州主力戦車または強化主力戦車(Enhanced Main Battle Tank)[10]はドイツのクラウス=マッファイ・ヴェクマンとフランスのネクスター・システムズが合併した企業であるKMW+ネクスター・ディフェンス・システムズ(KNDS)の最初の製品である。 ところがユーロサトリ2022で、ラインメタルは130mm滑腔砲を搭載する独自開発中の新型MBT「KF51 パンター」の実車コンセプトモデルを発表。KMWはMGCSコンソーシアム企業としてラインメタルの抜け駆け行為を非難すると共に、韓国製K2をポーランドが大量調達・国産化を決定し、ノルウェーでもレオパルト2と採用を争っている事態と併せて、MGCSを含めた今後のヨーロッパ本土でのビジネスにライバルが台頭してきていることへの懸念をにじませている[11]。 設計エンジンとシャーシを含む車体は、68トン積載可能なレオパルト2A7から流用されており、ルクレールからの自動装填装置を装備するコンパクトで軽い砲塔を搭載するように改修された[12]。 ネクスターの装甲軌道車両プログラムの責任者であるフランソワ・グロシャニーによると、この戦車の利点は、レオパルト2のシャーシと軽量なルクレールの砲塔の非常に高い能力を備えた組み合わせである[13]。砲塔は自動装填装置を備えており出火の場合に乗組員を弾薬庫から隔離するのに役立つ[14]。乗員2名のルクレールの砲塔は、乗員3名のレオパルト2の砲塔よりも約6トン軽量である。車両が軽量なため、重い戦車では通過できない橋梁を通過できる[15]。 2023年、ドイツのピストリウス国防相は「共通の車体と砲塔をベースに140mm砲と130mm砲を搭載したプロトタイプを並行開発=競争試作を行い最終的な決断を下すかもしれない。両国はどちらか一方だけを残すか、両方を残すことも選択できる」と述べており、KNDS社が製作する140mm砲かRheinmetall社が製作する130mm砲を選択することができると示唆している。また、フランスのルコルニュ国防相は「本日から外交レベルにあったMGCSは本格的なプログラムの運用が開始される。工場から新しく出荷される戦車は現行システムとは似ても似つかないものになるだろう」と、ドイツのピストリウス国防相も「MGCSは単にレオパルト2やルクレールを発展させたものではなく、それ以上のものになるだろう」と述べており、MGCSの開発が新たな段階に入ったことが示された。[16] 運用国フランスのメディアは、イタリアがEMBTの取得に関心を表明していると報告している[9]。さらに、ポーランド国防省はこの計画への参加に関心を表明し、EUの恒常的構造防衛協力(PESCO)およびその他の欧州防衛基金へ参加を要望した[17]。 開発状況関連項目脚注
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