リチャード・メルヴィン・シェーン (Richard Melvin Shoen 、1950年 10月23日 - )は、アメリカ合衆国 の数学者 で、微分幾何学 の業績で知られている。
オハイオ州セリーナに生まれ、1968年フォートリカバリー高校を卒業後、デイトン大学 で数学の学士号を得た。1977年スタンフォード大学 で博士号を得た後、現在カリフォルニア大学アーバイン校 のExcellence in Teaching Chairである。
シェーンは、1983年のマッカーサー・フェロー である。
貢献
シェーンは、大域微分幾何学 における解析的な手法の使用を研究してきた。1979年、かつての指導教授であるシン=トゥン・ヤウ と共に、一般相対性理論 における基本的な正値エネルギー定理 (英語版 ) を証明した。1983年、マッカーサー・フェロー に選ばれ、1984年コンパクト多様体 に関する山辺問題 の完全な解法を見出した。この業績は、ヤウの初期の業績の中で開発されたアイデアとティエリー・オービン (英語版 ) とニール・トラディンガー (英語版 ) の部分的結果を、新しいテクニックと結合したものだった。結果の定理は、閉多様体 上のあらゆるリーマン計量 は、定スカラー曲率の計量を生成するためには、共形的に縮小されるであろう(すなわち、適切な正値関数を掛ける必要がある)ことを主張している。2007年、サイモン・ブレンドル とシェーンは、微分可能球面定理という正断面曲率 の多様体における基本的な結果を証明した。シェーンはまた、極小曲面と調和写像の正則性理論に基本的な貢献もした。
シェーンの弟子には、ヒューバート・ブレイ (英語版 ) 、ホセ・F・エスコバル (英語版 ) 、アイラナ・フレイザー (英語版 ) 、チカコ・メセ (英語版 ) 、ウィリアム・ミニコッツィ2世 (英語版 ) 、アンドレ・ネヴェス (英語版 ) がいる[ 4] 。
賞と栄誉
山辺問題 に関する業績に対して、1989年シェーンはボッチャー記念賞 を受賞した。シェーンは、1988年アメリカ芸術科学アカデミー の、1991年米国科学アカデミー の会員となり、1996年グッゲンハイム・フェロー となった。2012年、アメリカ数学会 のフェローになった[ 5] 。2015年には、アメリカ数学会の副会長に選出された[ 6] 。2017年、シェーンは、チャールズ・フェファーマン と共同で、ウルフ賞数学部門 を受賞した[ 7] 。同年、カザン大学 によるロバチェフスキー賞 も受賞した[ 8] 。2022年ショック賞 受賞。
主な著作物
Schoen, Richard M.; Simon, Leon; Yau, Shing-Tung (1975), “Curvature estimates for minimal hypersurfaces”, Acta Mathematica 134 (3–4): 275–288, doi :10.1007/bf02392104 , MR 423263
Schoen, Richard M.; Yau, Shing-Tung (1979), “On the proof of the positive mass conjecture in general relativity” , Communications in Mathematical Physics 65 (1): 45–76, Bibcode : 1979CMaPh..65...45S , doi :10.1007/bf01940959 , MR 526976 , http://projecteuclid.org/euclid.cmp/1103904790
Fischer-Colbrie, Doris; Schoen, Richard M. (1980), “The structure of complete stable minimal surfaces in 3-manifolds of nonnegative scalar curvature”, Communications on Pure and Applied Mathematics 33 (2): 199–211, doi :10.1002/cpa.3160330206 , MR 562550
Schoen, Richard M.; Yau, Shing-Tung (1981), “Proof of the positive mass theorem. II” , Communications in Mathematical Physics 79 (2): 231–260, Bibcode : 1981CMaPh..79..231S , doi :10.1007/bf01942062 , MR 612249 , http://projecteuclid.org/euclid.cmp/1103908964
Schoen, Richard M.; Uhlenbeck, Karen (1982), “A regularity theory for harmonic maps” , Journal of Differential Geometry 17 (2): 307–335, MR 664498 , https://projecteuclid.org/euclid.jdg/1214436923
Schoen, Richard M. (1984), “Conformal deformation of a Riemannian metric to constant scalar curvature” , Journal of Differential Geometry 20 (2): 479–495, MR 788292 , https://projecteuclid.org/euclid.jdg/1214439291
Gromov, Mikhael; Schoen, Richard M. (1992), “Harmonic maps into singular spaces and p-adic superrigidity for lattices in groups of rank one” , Institut des Hautes Études Scientifiques. Publications Mathématiques 76 : 165–246, doi :10.1007/bf02699433 , MR 1215595 , http://www.numdam.org/item/PMIHES_1992__76__165_0/
Schoen, Richard M.; Wolfson, Jon (2001), “Minimizing area among Lagrangian surfaces: the mapping problem”, Journal of Differential Geometry 58 (1): 1–86, arXiv :math/0008244 , MR 1895348
Brendle, Simon; Schoen, Richard M. (2009), “Manifolds with 1/4-pinched curvature are space forms”, Journal of the AMS 22 (1): 287–307, arXiv :0705.0766 , Bibcode : 2009JAMS...22..287B , doi :10.1090/s0894-0347-08-00613-9 , MR 2449060
脚注
外部リンク