リッチー・コッツェン (Richie Kotzen、1970年 2月3日 - )は、アメリカ のギタリスト 、ボーカリスト 、ミュージシャン 、作曲家 。ペンシルベニア州 フィラデルフィア 出身。
略歴
1970年 2月3日 にアメリカ のペンシルベニア州 のレディング で生まれる。5歳の頃よりピアノ を弾き始め、7歳のときにKiss のジーン・シモンズ に刺激されギター を弾き始める。
17歳の頃にはオープニングアクト でギタリストとして全米を回り、500を超えるライブをこなしていた。
1989年、19歳の時シュラプネル・レコーズ から『リッチー・コッツェン』でデビュー。同レコードは当時テクニカルな若手ギタリストを探しており、その過程でリッチーに白羽の矢が立ったと言える。翌年には『フィーヴァー・ドリーム』 、更に翌1991年には『エレクトリック・ジョイ』とハイペースでの活動がスタートする。
1992年に、脱退したC・C・デヴィルの穴を埋める形でポイズン に加入。アルバム『ネイティヴ・タン』を1993年にリリースするも、メンバーとの不和によりバンドを脱退。
その後1994年にR&B色の強いHRでトリオ名義の『マザー・ヘッズ・ファミリー・リユニオン』、1995年にフュージョン色の強い『ジ・インナー・ギャラクティック・フュージョン・エクスペリエンス』、1996年にファンク色の強い『ウェイヴ・オブ・エモーション』、1997年にブルース色の強い『サムシング・トゥ・セイ』を立て続けに発表し、その合間にもグレッグ・ハウ と2枚のアルバムを発表している。
ポイズン脱退後はしばらくソロ活動を続けていたリッチーだったが、1999年にスタンリー・クラーク からの「歴史に残るようなフュージョン のアルバムを作りたい」との誘いにより、「Vertú(ヴァーツゥ)」に参加し、同年にアルバム『Vertú(ヴァーツゥ)』をリリース。同年、ポール・ギルバート が脱退したMR. BIG から加入の要請を受け、バンドに参加する。
2002年にMR. BIGが日本での解散ツアーを以って解散した後は再びソロ活動に戻っている。同年にはロサンゼルス にてビルを購入してレコーディングスタジオを開設している。
2006年にレコーディング・スタジオをブリンク 182 のトラヴィス・バーカー に売却。
2006年、ローリング・ストーンズ 来日公演の前座を務めた。MR. BIG時代の楽曲や『機動戦士Ζガンダム 』の主題歌のカヴァー等、幅広い選曲で、この時のライブにはビリー・シーン も帯同した。
2013年、ビリー・シーン 、マイク・ポートノイ と共にザ・ワイナリー・ドッグス を結成[ 1] 。
音楽性
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幼い頃にファンク やソウル の影響を受ける一方、ロック やジャズ といった幅広い音楽性を持つ。ギタリストとして広く知られているが、ソウルフルなボーカリストとしても非凡な才能の持ち主である。キャリアの大半はギタリストとしてよりもソロ・アーティストとしての活動が中心である。その幅広い音楽性とさりげなく聴かせる高度なギターテクニックからしばしば「名手」と呼ばれる。
ギターテクニックの面では、アラン・ホールズワース を彷彿させる流れるようなレガート (ピッキングをしないで左手 のフィンガリングによって音を奏でる奏法 )による速弾き とスウィープ が大きな特徴といえる。また、右手 の人差し指 、あるいは中指 (時には薬指 )を使って指板 を叩くライトハンド奏法 (タッピング)を駆使することもよくあるが、フル・ピッキングの速弾きはあまり得意ではないとギタークリニックなどで語っている(実際には初期の頃はテクニックに重視しがちで、フルピッキングを用いた演奏も少なくなかった。現在では確かにそのプレイの使用頻度は少なくなってきている)。さらには、ピック弾き しながら残りの指で弦 をはじくといったジェフ・ベック のようなプレイスタイルも兼ね備えており、どのプレイをしても安定した多種多様のパフォーマンスを展開している。
高度なギターテクニックの持ち主に似合わずテクニックに傾倒せず、楽曲ありきというスタイルで、ジミ・ヘンドリックス やエリック・クラプトン に近く、エモーショナル面に重きが置かれている。控えめではありながらも高度なテクニックをところどころに織り混ぜ、メロウな音作りと相まって楽曲の一部として、さりげなく自然に聴かせる部分に「名手」の所以と彼のミュージシャンとしてのスタンスが見られる。
エレクトリック・ギター はフェンダー 製のギター、特にテレキャスター を主に使用しており、ポイズン時代にカスタムショップで製作したモデルを元にしたフェンダー・ジャパン製のシグネチュアモデルをメインに使用している。なお、このモデルは現在日本のみならず米国でも市販されている。その他、ストラトキャスター の使用頻度も高い。またアコースティック・ギター はクレモナ・ブルガリア社から自身のモデルが販売されている。
MR. BIG 加入の際に、前任のポール のオリジナリティあふれるギターフレーズを弾くにあたって、そのフレーズ そのものは崩さずに自身の色を加えてアレンジ を行った。後に雑誌のインタビューで「ポールの書いた曲のフレーズはロックの中でも最も有名なフレーズの一つだったから、崩さずに自分なりに弾くのは大変だった」と語っている。
リッチーの所有するスタジオにchar が訪問したときの対談でリッチーは、「初期にエリック・クラプトン、後にヴァン・ヘイレンやスティーブ・ヴァイ等からの影響を受けた」と語っている。その他、ジェイソン・ベッカー の影響も受けたと語っている。
ギター、ボーカルのみならず、レコーディング ではキーボード 、ベース のほか、ドラム まで一通りこなすマルチプレーヤー でもある。スティーヴィー・サラス のライブにベースで参加したこともある。
初期の頃のスタイルに関して批判をする様な発言をしていた時期もあり、『マザー・ヘッズ・ファミリー・リユニオン』(1994年)が自身のファースト・アルバムと発言している。
人物
当時シングルで全米ナンバー1にもなった実績のある人気ロックバンド、ポイズンに在籍中、ドラマーのリッキー・ロケット の婚約者を略奪し、その後バンド内でのいざこざのためクビになった。2人は結婚し、オーガスト(August)と年の離れた双子リッキーとドナ(Ricky、Donna)をもうけるが後に離婚。前妻が別の男性と結婚することになったので、子供は3人ともリッチーが引き取り、現在はオーガストとだけ暮らし双子の2人は母親に預けている。後に彼は当時のことを「素晴らしい娘に恵まれたし後悔はしていない」と語っている。
発言に関しては言うことが何度も変わる。フォーティー・デュース(Forty Deuce)を組んだ際にも「やっと自分のバンドが持てた」などと発言するが後に「あれはただのプロジェクト」などと発言した。自身のシグネチャーモデルの販売に関しても「次はハムバッキング 搭載のギターを出す」と発言した後に「以前発売していたストラトキャスターの再発売をかけあっている」などと変わる。2006年に発売した『機動戦士ガンダム 』のカバー ・アルバムについて、SHOW-YA の寺田恵子 になぜガンダムのカバーなのかという質問を受けた際には「あの時は狂っていたんじゃないかな 」と語った。
マネージャーは実父である。
某番組のパーソナリティーが「彼は風呂に入らないらしい」という発言をし物議を醸したが、彼は風呂嫌いでも極端な潔癖症 でもない。
プリンス の大ファンであり、前妻と共演した「Wave of Emotion」のPV ではそれらしきメイク姿が見られる。
好きな食べ物はカレーライス とから揚げ 。
プライベートやステージ上では、まれに某ディスカウントストアで購入して来たかのような個性的な服装をすることがある。
ディスコグラフィ
スタジオ・アルバム
『リッチー・コッツェン』 - Richie Kotzen (1989年)
『フィーヴァー・ドリーム』 - Fever Dream (1990年)
『エレクトリック・ジョイ』 - Electric Joy (1991年)
『マザー・ヘッズ・ファミリー・リユニオン』 - Mother Head's Family Reunion (1994年)
『ジ・インナー・ギャラクティック・フュージョン・エクスペリエンス』 - The Inner Galactic Fusion Experience (1995年)
『ウェイヴ・オブ・エモーション』 - Wave of Emotion (1996年)
『サムシング・トゥ・セイ』 - Something to Say (1997年)
『ホワット・イズ…』 - What Is... (1998年)
『バイ・ポーラー・ブルース』 - Bi-Polar Blues (1999年)
『ブレイク・イット・オール・ダウン』 - Break It All Down (1999年)
『スロー』 - Slow (2001年)
『チェインジ』 - Change (2003年)
『アコースティック・カッツ』 - Acoustic Cuts (2003年)
『ゲット・アップ』 - Get Up (2004年)
『哀 戦士・Z×R』 - Ai Senshi Z×R (2006年) ※日本 のアニメ 『ガンダムシリーズ 』の楽曲をアレンジした作品。ベーシスト のビリー・シーン も参加している。
Into The Black (2006年)
『リターン・オブ・ザ・マザー・ヘッズ・ファミリー・リユニオン』 - Go Faster/Return of the Mother Head's Family Reunion (2007年)
『ピース・サイン』 - Peace Sign (2009年)
24 Hours (2011年)
『カニバルズ』 - Cannibals (2015年)
Salting Earth (2017年)
50 for 50 (2020年)
Smith/Kotzen (2021年) ※with エイドリアン・スミス
バンド、プロジェクト
ポイズン
『ネイティヴ・タン』 - Native Tongue (1993年)
『セブン・デイズ・ライヴ〜ライヴ・アット・ハマースミス・アポロ1993』 - Seven Days Live (2008年)
リッチー・コッツェン&グレッグ・ハウ
『ティルト』 - Tilt (1995年)
『プロジェクト』 - Project (1997年)
Vertú(ヴァーツゥ)
MR. BIG
『ゲット・オーヴァー・イット 』 - Get Over It (1999年)
『アクチュアル・サイズ 』 - Actual Size (2001年)
『ディープ・カッツ〜MR. BIG バラード・ベスト』 - Deep Cuts: The Best Of The Ballads (2000年)
『MR. BIG IN JAPAN』 - Mr. Big in Japan (2002年)
『グレイテスト・ヒッツ 』 - Greatest Hits (2004年)
フォーティー・デュース
『ナッシング・トゥ・ルース』 - Nothing to Lose (2005年)
ウィルソン・ホーク
ザ・ワイナリー・ドッグス
『ザ・ワイナリー・ドッグス』 - The Winery Dogs (2013年)
『ホット・ストリーク』 - Hot Streak (2015年)
『スリー』 - III (2023年)
参加アルバム
日本公演
脚注
関連項目
外部リンク