ロックウールロックウールあるいは岩綿(がんめん)とは玄武岩、鉄炉スラグなどに石灰などを混合し、高温で溶解し生成される人造鉱物繊維である。建築物などの断熱材や培地として広く用いられるほか、吸音材としても用いられている。耐火性にも優れていることから、アスベストの代替材として広く使われるようになった。主成分は二酸化ケイ素と酸化カルシウムで、単繊維径は3 - 10μm。 特徴断熱材用吹き付け用(湿式施工)と成型品(乾式施工)がある。また成型品には施工を容易にするために、ビニール袋に包んだ製品も多い。 セ氏700度まで形状を維持できるだけの耐熱性能があり、400度までのグラスウールよりも性能が良いが、ビニール袋やバインダーとして使用される接着剤のために火炎によって黒煙を発生する点はグラスウールと同様である。水に対してはグラスウールよりも非常に良好で、撥水性があり吸湿性が低い。グラスウールには無いアルカリに対する耐薬品性がある。価格はグラスウールよりわずかに高価となる。 養液栽培培地用
製造原料のスラグや岩石を1500 - 1600度の電気炉で溶解し、溶融物を遠心力で吹き飛ばして空気中で固化させて製造する。要は綿菓子の製法と同じである。形成する場合はバインダー・撥水剤としてフェノール-ホルムアルデヒド樹脂を添加して形を整えて出荷される。日本では主にスラグを原料としたスラグウール (slag wool) が生産されているが、繊維性を向上させるために原料に天然岩石も添加されるのが普通である[1]。 安全性ロックウールおよびロックウール製品は、人造鉱物繊維であるので、労働安全衛生法第57条の2(文書等の発行いわゆるMSDS(製品安全データシート)の発行)の対象物質である。 ホルムアルデヒドロックウールはグラスウールと同様に、製造時に重量の最大4.5%程度のフェノール樹脂とその類似物を使用する。したがって175度以上に加熱すると、フェノール樹脂等の熱分解生成物が発生する。ロックウール工業会で390度の条件下で実験を行なった結果、アセトン、フェノール、N,N-ジメチルホルムアミド等が微量発生することが報告されている[2]。火災時や高温部分での使用には注意が必要とされている。ただし常温の製品から遊離されるホルムアルデヒドは微量であり建築基準を満たすものとなっている。 発癌性国際がん研究機関 (IARC) は2001年にロックウールを「発ガン性を分類できない(innocent:グループ3)」に分類した[3]。これによって日本やアメリカでも「発癌性なし」という取り扱いになった。 一方、以下のような見解もある。
石綿との関係
廃棄廃棄物として発生したロックウールは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく「ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず」に該当し、産業廃棄物として適切に処理することが必要で、埋め立て等によって処分される。 脚注
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