1918年まで劇場パートナーのシュバート兄弟のもとで活動し、ドイツ語の演劇作品を英語に翻訳していた[2]。1919年、ロジャース&ハートの楽曲「Any Old Place With You」がブロードウェイ・ミュージカル『A Lonely Romeo』で使用された。1920年、シグマンド・ロンバーグの音楽が使用されたミュージカル・コメディ『Poor Little Ritz Girl』でロジャース&ハーツの楽曲も6曲使用された。1925年、2人はシアター・ギルド・プロダクションの『The Garrick Gaieties』の作曲に雇われ、ヒットして称賛された。
20年以上に亘り、ハートが若くして亡くなる直前までロジャース&ハートはブロードウェイ・ミュージカル26作品の作詞作曲を続けた。2人の四大ヒット作は『Babes in Arms』、『The Boys from Syracuse|』、『Pal Joey』、『On Your Toes』である。彼らの楽曲は舞台以外でも長く親しまれている[6]。楽曲の多くは歌手やジャズ演奏者にとってスタンダード・ナンバーとなっている。ハートは「両大戦間に成熟した都会派の吟遊詩人」と呼ばれている[2]。しかしハートが詩人として称賛されることに対して友人や仲間の作家のヘンリー・マイヤーズは別の発言をしている[7]。「彼は本当にショーマンだった。固定観念を除いて彼の楽曲を技術的に分析すれば、それらが物語の一部であり演じるためのものであることに気付くでしょう。彼は劇作家でもあった」[7]。
ロジャース&ハートは『今晩は愛して頂戴ナ(英語版)』(1932年)、『お化け大統領(英語版)』(1932年)、『Hallelujah, I'm a Bum』(1933年)、『ミシシッピ (映画)(英語版)』(1935年)など複数の映画作品でも作詞作曲していた[3]。世界恐慌にあっても彼らの成功によりハートは毎年6万ドルの年収があった。多くの人々を惹き付けており、大規模なパーティを度々開催していた。1938年以降、これまで以上に遠方に出掛ける機会が増え、飲酒の問題も抱えるようになった[8]。それでもなおロジャース&ハートは1942年中期頃まで共に作曲活動を続け、最後の新作ミュージカル作品は1942年の『By Jupiter』となった。
1942年7月23日の「ニューヨーク・タイムズ」紙によると、シアター・ギルドが前日リチャード・ロジャース、ロレンツ・ハート、オスカー・ハマースタイン2世が、ギルド・シアターで64回上演されたリン・リグスの戯曲『Green Grow the Lilacs』のミュージカル化の制作を開始することを発表した。ハートの精神状態が悪化してきたため、ロジャースはハマースタインをこのプロジェクトに引き入れたのである[9]。ハートはオクラホマ州などのような田舎を舞台としたミュージカルの作詞を苦手としており[10]、ハートは降板したが、熱心であったハマースタインがロジャースと共に『オクラホマ!』を完成させた。なお当時ハマースタインのパートナーであった作曲家のジェローム・カーンはこのプロジェクトに興味がなかった[11]。1960年にハマースタインが亡くなるまで16年間ロジャース&ハマースタインは共同作業を続け、20世紀で最も成功した作詞作曲チームの1つとなった。
1943年4月下旬にハートの母親が亡くなったことがハートに多大な影響を与えた。1943年秋、ロジャース&ハートは最後のミュージカル『コネチカット・ヤンキー』再演版を制作した。「To Keep My Love Alive」を含む新曲6曲はハートの最後の作詞活動となった。ハートは開幕公演に出席せず、2日間休暇をとった。ホテルの客室で病気のところを発見され、ニューヨークのアッパー・イースト・サイドにあるドクターズ・ホスピタルに搬送されたが、数日後に亡くなった[2]。
^ abcdefgHughson Mooney, "Lorenz Hart", PBS. Excerpted from the Dictionary of American Biography, Supplement 3: 1941–1945. American Council of Learned Societies, 1973. Reprinted by permission of the American Council of Learned Societies; retrieved November 12, 2010.
^Wilson, Scott. Resting Places: The Burial Sites of More Than 14,000 Famous Persons, 3d ed.: 2 (Kindle Location 20158). McFarland & Company, Inc., Publishers. Kindle Edition.
Friends of the USC Libraries. The Hart of the Matter: A Celebration of Lorenz Hart, September 30, 1973. [Los Angeles]: Friends of the USC Libraries, University of Southern California, 1973.
Hart, Dorothy. Thou Swell, Thou Witty: The Life and Lyrics of Lorenz Hart, New York: Harper & Row, 1976.