一般曹候補生一般曹候補生(いっぱんそうこうほせい)とは、陸・海・空自衛隊において将来、曹(下士官)になるために訓練される非任期制隊員たる士のことであり、従来の一般曹候補学生と曹候補士に代わり平成19年度(2007年度)から募集を開始した任用区分である。略称は陸自・海自・空自共に「補生」(ほせい)。受験可能年齢は入隊時点で18歳以上33歳未満の日本国籍を有する男女[1]。 設立経緯従来は、幹部自衛官を除く一般的な自衛官の募集は、任期制隊員たる2士の採用しかなく、一定の勤務期間を経て(2士(9月)→1士(1年)→士長(最短2年))、3曹へ昇任していた。そこで、当初から曹候補者を非任期制隊員として採用する一般曹候補学生制度を昭和50年に設立した。しかしながら、一般曹候補学生は原則2年で全員が曹に昇任してしまうため採用数が限られるとともに士としての継続的な勤務は期待できず、他方、任期制隊員では曹昇任への門戸が厳しく任期が来て離職する場合が多かった。そこで、平成2年に非任期制として離職率を低減させつつ、士としての継続的な勤務を経て将来的に曹への昇任を保証する曹候補士制度を設立した。 しかし曹候補士制度は平成18年度(2006年度)募集・平成19年度(2007年度)入隊者の第17期生をもって募集業務を終了している。これは3自衛隊共通で「昇任試験に落ち続けても7年で自動的に昇任できる」という安易な考え方をする曹候補士の自覚が欠如した隊員が年々増加[2]し、昇任試験の平均点も一般隊員より悪化(元々少なかった任期制隊員から3曹への昇任枠は曹候補士制度の設立でさらに少なくなり、制度後期~末期においては任期制隊員出身の3曹の隊員が曹候補士出身の者よりも、初級下士官として活躍する傾向が見られるようになった)、制度の存在意義が問われたことなども背景として挙げられる。 その為平成19年度から一般曹候補学生制度と曹候補士制度を統合、「一般曹候補生」制度に改められた。一般曹候補生は曹候補士とは異なり、自動的に曹への昇任が保証されるわけではなく、曹への昇任が見込まれなければ退職(除隊)を余儀なくされる[3]。 人事運用2等陸・海・空士として入隊後6ヵ月で1士、1年後には士長に昇任し、その後は選考(陸・海・空の部隊等で実施される曹候補生選抜試験に合格)により、正式な曹候補生たる士長に指定される。陸・海・空曹候補生課程の教育(約半年程の曹教育)を受けた後、3曹に昇任する(入隊から最短(一選抜)で2年9月後に昇任する)。※陸上自衛隊の場合→陸曹候補生たる陸士長の指定を受けると、陸曹候補生課程を受ける前に所属部隊にて、2〜4週間程(1ヵ月以内)、陸曹候補生履修前教育を履修し、課程教育について行けるための体力の向上、最低限の知識を学び、じ後、各方面混成団隷下の陸曹教育隊及び女性自衛官教育隊で陸曹候補生課程及び3曹昇任試験(約3ヵ月程)を受け、各職種ごとの学校等において初級陸曹特技課程の教育(約3ヵ月程)を受けた後、3等陸曹に昇任するのである。ただし、非任期制とはいうものの、曹への昇任が見込まれなければ一般曹候補生としての資格を失う場合がある(退職(除隊)を余儀なくされる)。具体的には以下のとおり。
しかし、一般曹候補生に対する任期満了金支払い義務は生じず、結果、国としては自衛官の退職に際しての人件費の莫大な削減が見込めるとされている。3曹昇任後は、主として前線での指揮(分隊長)を行う(陸上自衛隊の場合)。高卒者なら実務経験4年で、大卒程度(22歳以上)であれば実務経験1年[要出典]で、一般幹部候補生部内選抜試験の受験資格を得ることができる。無論、後者に至っては入隊直後でも一般幹部候補生採用試験を(一般大学生と同一要領で)受験することができる[4]。 一般曹候補生課程(前期)
前期課程修了後、陸自は各部隊等に臨時設置される教育隊で、海自・空自は術科学校で術科教育を受けた後、それぞれの部隊に配属され、部隊実習に入る。 服制等
予定採用人数と採用者数以下は制度開始からの採用実績( 出典:自衛官募集HP「一般曹候補生募集要項」防衛省HP「各年度の防衛白書」より ) 予定採用人数
採用者数
平和安全法制成立に伴い、平成27年度(2015年度)25092人の応募数で、平成26年度(2014年度)より2割減少。平成19年度(2007年度)に現在の採用区分になって以降ピークだった平成23年度(2011年度)から半減している[7]。 景気好転に伴い公務員への内定辞退者が増加傾向を示していることから平成29年度より採用試験を春期・秋期の2回制に戻している[8] 関連項目脚注
外部リンク
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