『世界は俺が回してる』(せかいはおれがまわしてる)は、なかにし礼の知人で、昭和の歌謡曲全盛期を共に駆け抜けた元TBSの音楽プロデューサー渡辺正文の音楽と女性に賭けた生涯を描いた小説である。
渡辺は、1950年代から来日アーティストの音楽番組を次々と成功させ、それが自信につながり、昭和50年代には遂に東京から世界へ向けて音楽を発信していこうという型破りな思いと未曽有のスケールによって誕生させた『東京音楽祭』の成功を持って"世界を回した”と言い切る。実際は日本のチカラで出来る訳もなく、アメリカ政府からカネが出ていた反共組織の文化自由会議の背景があり、それに沿う形での活動だった。
同時代を一緒に過ごした音楽業界人にとっては、その風貌から"ギョロなべ"の異名で親しまれた。なかにしの代表作である『兄弟』『赤い月』と同様に自身の身近にいる人物を取り上げている。当時の高度成長を謳歌する華やかな芸能界の様子が具体的に描かれている。
産経新聞の連載小説として2009年1月1日から8月31日まで毎日掲載された。イラストは宇野亜喜良で、登場する実在の人物が当時の雰囲気を醸すように描かれている。
同年12月、角川書店より単行本として発売された (ISBN 978-4-04-874008-1) 。
CD
小説に登場する鍵となるアーティストや楽曲を集めている。監修:なかにし礼、ソニー・ミュージックダイレクトより。
- ラプソディ・イン・ブルー / ジョージ・ガーシュウィン
- ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 第三楽章 / セルゲイ・ラフマニノフ
- A列車で行こう / オスカー・ピーターソン
- バナナ・ボート / ハリー・ベラフォンテ
- 黄金の腕 / 沢たまき
- ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー / 越路吹雪
- マンボNo.5 / ペレス・プラード楽団
- 恋する二人 / 田邊昭知とザ・スパイダース
- 赤坂の夜は更けて / 西田佐知子
- ブルー・シャトウ / ジャッキー吉川とブルー・コメッツ
- 太陽の彼方に / 田川譲二
- 花から花へ〜オペラ「椿姫」より〜 / エーリヒ・ラインスドルフ
- 17才 / 南沙織
- 私が生まれて育ったところ / 野路由紀子
- 別れの朝 / ペドロ&カプリシャス
- 燃える恋人 / 本郷直樹
- 私は泣かない / 雪村いづみ
- 愛の記憶 / 鹿内孝
- 幼い子供のように / 坂本スミ子
- ミドリ色の屋根 / ルネ
- 天使のささやき(日本語) / スリー・ディグリーズ
- ストレンジャーズ・イン・ザ・ナイト / ジョン・ウィリアムズ(指揮)、ボストン・ポップス・オーケストラ
あらすじ
小説に登場する実在の人物
小説に登場する音楽
その他多数
外部リンク