人間飢饉『人間饑饉』(にんげんききん)は、1931年(昭和6年)に発表された村松梢風の大衆小説、時代小説である[1][2]。新漢字表記『人間飢饉』[2]。それを原作とした1932年(昭和7年)製作・公開、伊丹万作脚本・監督による日本の長篇劇映画、サイレント映画は、『闇討渡世』(やみうちとせい)と改題された[1][3][4][5]。 略歴・概要小説『人間饑饉』は、1931年4月 - 同年7月、毎日新聞に連載された新聞小説である[2]。村松梢風は、剣豪平手造酒を主人公に、民衆の反抗、大名の乱脈ぶりを左翼用語を交えた文体で記述した。翌1932年、春陽堂の「日本小説文庫」の1冊として、『平手造酒 人間飢饉』の題で単行本が発刊し、同作の最初の書籍となった[6][7]。 映画化作品『闇討渡世』については、小説連載終了のほぼ1年後、翌年6月3日に公開された[1][3][4][5]。これは、村松作品において、『次郎長裸道中記』(監督益田晴夫、主演葛木香一、1931年)に次ぐ史上2番目の映画化であった[8]。 ビブリオグラフィ
映画
『闇討渡世』(やみうちとせい)は、村松梢風の小説『人間饑饉』を原作とした1932年(昭和7年)製作・公開、伊丹万作脚本・監督による日本の長篇劇映画、サイレント映画である[1][3][4][5]。 略歴・概要1931年(昭和6年)4月 - 同年7月、毎日新聞に連載された[2]、村松梢風による新聞小説『人間饑饉』を原作に、翌1932年1月14日に公開された『國士無双』の次作として、伊丹万作が脚本を書き上げて撮影に入り、日活が配給して同年6月3日に公開された[1][3][4][5]。本作公開におけるメイン館である浅草公園六区・富士館では、日活太秦撮影所製作、倉田文人監督、谷幹一主演による現代劇『とかく女と言ふものは』が同日封切られた[9]。 伊丹は、前作『國士無双』のもつ諧謔と風刺の精神を継続し、片岡千恵蔵演じる主人公・平手造酒の孤独を描いた[10]。千葉周作を市川小文治が演じ、ヒロインは前作に引き続き山田五十鈴、ほかにも前作に引き続き、高勢実乗、瀬川路三郎、渥美秀一郎、林誠之助、矢野武男、香川良介が出演している[3][5][11]。 映画史家の田中純一郎は、リアルタイムで本作を観ており、「流行の傾向映画に同調したとはいえ、しかも懐疑的人生観を持った」「伊丹の時代批判」の存在を指摘している[1]。北川冬彦も、前作『國士無双』から本作、次作『研辰の討たれ』への流れにおける人物像の描き方について、本作を高く評価していた[12]。冨士田元彦は、リアルタイムで観ることができていないが、残された脚本を分析し、浅香新八郎演じる「香月梓」、片岡の「平手造酒」、葛木香一演じる「吉五郎」の描く人物の三角形に、本作のテーマが現れていることを指摘している[13]。 伊丹自身は、1937年(昭和12年)7月、北川冬彦が編集する『季刊シナリオ研究』第2号に発表したエッセイ『「闇討渡世」に就て』において「今まで一番力を入れた仕事はと聞かれたら私は『闇討渡世』をあげる。そして結果としての反響が努力に反比例したのも『闇討渡世』だ」と述懐している[14]。 2013年(平成25年)1月現在、東京国立近代美術館フィルムセンターも、マツダ映画社も、映画『闇討渡世』の上映用プリントを所蔵しておらず、現存していないとみなされるフィルムである[15][16]。本作の脚本については、1961年(昭和36年)11月15日に発行された『伊丹万作全集 第3巻』(筑摩書房)に収録されている[17]。 スタッフ・作品データ
キャスト脚注
参考文献
関連項目外部リンク
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