仙人部落
『仙人部落』(せんにんぶらく)は、小島功の4コマ漫画。また、それを原作としたテレビアニメ、映画。 概要漫画は1956年10月に『週刊アサヒ芸能』(徳間書店)で連載が開始された。『週刊アサヒ芸能』2014年8月7日号(7月29日発売)にて次号から休載することが発表され、それから8か月半後の2015年4月14日に小島が87歳で逝去したため同号の掲載作が最終回となり、連載終了した。最終的に連載は57年11か月に及び、連載回数は2861回である[1]。この57年11月という連載期間は、日本漫画史上、最長記録である[2]。 なお、2013年現在、ギネス世界記録が認定する単一作家による漫画の世界最長連載記録はJim Russellの『The Potts』の連載61年(1940年〜2001年)である[3]。 ストーリー仙人たちの住んでいる土地「仙人部落」が舞台になっており、老師[4](白い髭を生やしていて、よく杖をついている)や青年の仙人・中年の仙人・仙女、「仙人部落」を管轄する警官[5]や代官[6]などが登場し、さまざまな術などを使って生活している「仙人たち」の日常がコント風に描かれている。エロチック・お色気な描写が主体である一方、基本はナンセンスなギャグ展開が多く見られる。 小島は本作品の単行本に寄せた序文において「この漫画はコントの作法です」と述べており、スピーディーなアイデアの飛躍に重点を置いていたという[7]。 テレビアニメ1963年9月4日-1964年2月23日までフジテレビ系列で放送。全23話。初期の日本のテレビアニメである。第8話までは水曜日23:40 - 23:55(JST、以下同)、第9話以降は日曜日22:30 - 22:45に放送。当時のアニメとしてはかなり遅い時間に放送されており、特に第8話までは深夜枠だった為に日本最古の深夜アニメとされる。また、4コマ漫画で初めてテレビアニメ化した作品でもある。 制作の経緯当初はクラリオンをスポンサーに深夜枠でお色気番組ができないかという話になり、日劇ミュージックホールのショーを15分枠で構成しようと企画が進んでいた。日劇と交渉したところ、テレビで生身のお色気ものは限界があるということでアニメーションでの放送に変更された。当時の制作環境から考えて毎週15分のフルアニメーションでは厳しいとの理由からリミテッドアニメーションでどうにかいけないかと検討したところ、アサヒ芸能に連載されていた『仙人部落』に決まったという。アニメとはいえ、当時はテレビのお色気に対する規制が厳しく、PTAのような団体からも苦情が寄せられていた。一方で番組は好評で人気もあり、バーのマダムなどにも受けがよかったという[8]。 スタッフ登場人物・声の出演主題歌DVD-BOX、ビデオ「エイケンTVアニメグラフィティ」、主題歌集ビデオ等の映像ソフトに本作のオープニングとして収録されている映像は、本来サブタイトルが表示される本編冒頭部分に「仙人部落」の電子テロップを重ねたもので、本放送当時のオープニング映像はビデオソフト化されていない。 主題歌の音源自体はCD「ジャイアントロボ~ルパン三世 山下毅雄の全貌 Mission1 -アニメ特撮編-」、「エイケン・アンソロジー 1963〜1972」等に収録されている。 各話リスト
1963年10月23日は第6話「SEXの巻」を再放送した。 放送局
ビデオソフト化・再放送
ネット配信
映画1961年2月8日に新東宝より『風流滑稽譚 仙人部落』(ふりゅうこっけいたん せんにんぶらく)のタイトルで公開された。実写映画。モノクロ、シネマスコープ[17]。 あらすじ服飾デザイナー・内木天兵は大森安治に仕事の名誉も恋人も奪われ、世をはかなんで熱海の錦ケ浦に飛び込む。気がつくとそこは仙人の世界で、天兵は仙人の長老・名鏡仙人の弟子になり仙人の仲間入りをする。天兵が開発した「七色のパンティー」が女仙たちに大流行となるが。男の仙人たちは怒って天兵を追放することを議決。仙人界から落とされた天兵は病院の一室で眼を覚ます。退院した天兵は以前の気弱な青年ではなく、希望に溢れた明るい青年になっていたのだった。 制作時の背景と評価この映画公開当時の新東宝は、東宝争議以来のストライキと、団体交渉による大蔵貢社長退陣を経て、「エンド・マーク寸前に危うく「再建」というシークェンスに入ることが出来た」ところで、「恐るべき乏しさの中で苦闘している」状態にあった[18]。その様な背景を踏まえ、鶴見俊輔は本作を、新東宝だからこそ作り得た「切実な状況から生まれた夢」と評し、本作の主題を「夢の現実性を信じ、この現実性のなかにたっぷりと自分をひたして心をひろくして、社会にたちむかうならば、社会の壁もゆるぎ、ひらく」ということ、としている。そして、「空腹な会社がもっともゆたかな夢をそだて、夢に自分をひたすことをとうして自分を強くするという会社の再生の転機を自ら語る物語である」と論じ、「この映画は、掛値なしのすぐれた作品である」「『仙人部落』をほめても、ほめすぎにはならないと思う」と高く評価している[19]。 スタッフキャスト
脚注
外部リンク |