基幹統計調査基幹統計調査(きかんとうけいちょうさ)とは、基幹統計を作成するために、日本の行政機関が行う統計調査のことである[1][2]。旧統計法では指定統計調査と呼んでいた。国の行政機関が行う、基幹統計調査以外の統計調査は「一般統計調査」と呼ばれる[3]。 基幹統計と基幹統計調査2024年1月25日現在の基幹統計は下記のとおり。これらのうち、国民経済計算、産業連関表、生命表、社会保障費用統計、鉱工業指数、人口推計は、ほかの統計を加工する加工統計であるため、対応する統計調査は存在しない。その他の基幹統計は、統計調査によって作成する。[4] [5]
基幹統計名脇のリンクは政府統計の総合窓口 (e-Stat) 収録情報等(政府統計コードを利用した)。 -印は、加工統計であるために対応する情報がないことを示す。 ※経済構造統計は事業所母集団データベースも利用する[6] 法律による規定統計法 (2007年法律第53号)[7] がその条文で直接に「基幹統計」として指定するのは、国勢調査と国民経済計算だけである (第2条、第5条、第6条)。それら以外の基幹統計は、つぎの条件のどれかに該当するものとして総務大臣が指定する (第2条)。
基幹統計は、日本の公的統計制度のなかで特に重要なものと位置づけられている。基幹統計を作成するための基幹統計調査についても、品質を確保するために、種々の規定が統計法のなかに置かれている。 調査に回答する対象者に関連して、つぎのことが刑事罰つきで禁止されている。
もっとも、回答を拒否したからといって罰則が適用された例はない[8]。実際のところ、たとえば国民生活基礎調査の2019年調査の回収率[9] は7割程度であり、相当の数の対象者が回答を拒否しているものとみられる。(虚偽の回答の場合には、旧統計法下で、耕地面積等を過少に答えたとして刑罰を課された事件がある[10] [11]。) 統計を作成する政府の側については、つぎのような規定がある:
基幹統計を作成しない調査(一般統計調査)も総務大臣の承認を得なければならないが、その際に統計委員会の意見を聴く必要はない。これに対して、基幹統計調査は、その計画について必ず統計委員会の意見を聴かなければならない。基幹統計調査については、こういうかたちで専門家による審査が必ず入る仕組みになっている。また、調査を実施して結果を集計する段階についても、不正行為を特に禁止することにより、品質の保証を図っている(公務員が国勢調査の調査票を捏造して統計法違反となった事件が複数存在する[10][12])。 名称基幹統計調査の名称は、おおむね、対応する基幹統計名の最後の「統計」を「調査」に置き換えたものになっている。つまり、「●●統計」を作成するための調査が、「●●調査」である。一方、既存の統計から作成する加工統計は、末尾が「統計」でない名称になっている。ただし例外も多い。
周期基幹統計はいずれも継続的なものであり、一定の周期(毎月、隔月、四半期、半年、1年、3年、5年など)で更新される。5年周期の調査は大規模なものが多いので、負担が集中するのを避けるため、実施年をずらして配置している[8]。
歴史→「日本の公的統計制度の歴史」も参照
2007年の統計法改正により、従来の「指定統計」(旧統計法(1947年法律第18号)第2条)を廃止して新たに「基幹統計」の制度(新統計法第2条第4項)を創設した。その際の経過措置として、指定統計であった統計は、新統計法による基幹統計とみなすことにした (平成21年4月1日付け総務省告示第216号)。 この経過措置を受けた基幹統計のうち、5つが現在までに指定解除されている[5]:
全国消費実態調査は2019年から全国家計構造調査に名称変更している。 2024年1月25日、サービス産業動態統計調査が新たに基幹統計調査となった[4]。この調査は、総務省統計局により、2025年1月から開始される[17]。 脚注
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