夜ノ森(よのもり)とは、福島県浜通りの中部、富岡町と大熊町の境に位置する森林地帯である。
地理的特徴
西には夜ノ森駅と常磐富岡ICが立地し、東には国道6号が南北を貫いている。
境界地帯
夜ノ森は常磐炭田地帯の北限であり、自然地理面では夜ノ森以南が炭田・鉱泉地帯だった地域なのに対して、夜ノ森以北は炭田・鉱泉地帯ではなかった地域である。1896年4月1日に双葉郡が成立する前は、夜ノ森を境にして南が楢葉郡、北が標葉郡(しねはぐん、しめはぐん)であった。戦国時代には岩城氏領(南)と相馬氏領(北)の境であり、江戸時代には磐城平藩(南)と中村藩(北)の境であった。
一口に「浜通り」といっても、方言や交流圏や歴史的色彩は、夜ノ森を境にして異なっており、夜ノ森以北(旧相馬氏領)は亘理や仙台など宮城県南部とのつながりが深く、夜ノ森以南(旧岩城氏領)は日立市や水戸など茨城県北部とのつながりが深い。方言も、夜ノ森以北(相馬弁)は仙台弁に近く、夜ノ森以南(岩城弁)は水戸弁に近い。
1960年代の高度経済成長期には、夜ノ森の近くに東京電力の原子力発電所が2か所建設され、相馬側の大熊に福島第一原子力発電所が、岩城側の富岡に福島第二原子力発電所が立地している。夜ノ森は福島第一原子力発電所から南西6kmに位置する。2011年3月11日の福島第一原子力発電所事故により、帰還困難区域(事故発生当初は警戒区域)で立入禁止区域となっていたが、2022年1月26日をもって特定復興再生拠点区域に切り替わり、立ち入りができるようになった。
夜ノ森駅西側の農地35万平方メートルを活用した約3万キロワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)を町民主導で建設する総事業費約95億円の計画が進行しており、2018年に稼働する見通しである[1][2]。
花の名所
夜ノ森の桜並木は、戊辰戦争後の1900年に、旧中村藩士の息子である半谷清寿が、農村開発の着手を期して桜の木を植えたことに始まる。樹齢100年を超えたソメイヨシノを含め、約1500本の桜がL字型に続く全長約2.5メートルの桜のトンネルであり、浜通りを代表する桜の名所として知られている[3][4]。東日本大震災前には、毎年4月に「夜ノ森桜祭」が開催され、夜ノ森公園付近には出店が立ち並び[5]、全国各地からのお花見客によって宴が開かれ、夜には桜がライトアップされていた。
夜ノ森駅には、富岡町長の半谷六郎が約300株のツツジを寄贈したのをきっかけに、16種約6000種のツツジやサツキが線路脇に植えられており、ツツジの名所として知られる。1981年には、花と緑の駅」コンクールで日本一に選ばれた[6]。
周辺施設
金融機関
周辺店舗
交通
鉄道
バス
脚註
関連項目