姉崎火力発電所(あねがさきかりょくはつでんしょ)は千葉県市原市姉崎海岸3にあるJERAグループの天然ガス火力発電所。
概要
東京電力の発電所として1967年12月に1号機が運転を開始、6号機までが建設された。1号機は、日本で初めて主蒸気温度、主蒸気圧力を超臨界圧まで高めたボイラー、蒸気タービンを採用した。
当初、1〜4号機は石油専焼であったが、後にLNG・石油混焼を経てLNG専焼(3、4号機はLPG併用)となった。主な燃料であるLNGは、袖ケ浦火力発電所や富津火力発電所に併設されたLNG基地からパイプラインにより供給を受けている。
1号機の運転開始から約50年が経過したため、リプレース計画が発表された。2016年10月現在、建設に向けた環境アセスメントの手続きが行われている(後述)。2017年11月、リプレース事業とリプレース後の運転・保守を担う会社として、JERAの出資により[2]、JERAパワー姉崎合同会社が設立された[3]。
2016年4月に東京電力から子会社の東京電力フュエル&パワーに移管され、2019年4月にはさらにJERAに移管された。
2021年4月から5号機と6号機が休止したが、同年冬の電力需給がひっ迫すると予想されたため、5号機のみ2022年1月4日から2月末まで間、再稼働することとなった。この準備を進めていた2021年10月には蒸気配管が破断するなどの不具合が発生し、修理が行われた[4]。
電力需給のひっ迫は2022年の夏シーズンにも見込まれたため、同年7月以降に5号機の再稼働が決定していた[5]。しかし6月下旬、気温が高い日が続いたことから電力供給がひっ迫。予定より前倒しされ、6月29日からの再稼働が決定したが[6]、設備の補修作業に時間がかかっているとして6月30日に変更すると発表した[7]。
発電設備
- 総出力:315万kW(2023年8月1日現在)[8]
- 敷地面積:約93万m2
- 発電方式:汽力発電方式
- 5号機(2021年4月より長期計画停止中2022年10月24日再稼働[1][9])
- 定格出力:60万kW
- 使用燃料:LNG、LPG
- 蒸気条件:超臨界圧(SC)
- 熱効率:43.0%(低位発熱量基準)
- 営業運転開始:1977年4月
- 6号機(2021年4月より長期計画停止中2023年1月4日再稼働[1])
- 定格出力:60万kW
- 蒸気条件:超臨界圧(SC)
- 使用燃料:LNG、LPG
- 熱効率:43.0%(低位発熱量基準)
- 営業運転開始:1979年10月
- 新1号機
- 発電方式:1,650℃級コンバインドサイクル発電(More Advanced Combined Cycle II)方式
- 定格出力:約65万kW
- ガスタービン × 1軸
- 蒸気タービン × 1軸
- 使用燃料:LNG
- 熱効率:約63%(低位発熱量基準)[10]
- 営業運転開始:2023年2月
- 新2号機
- 発電方式:1,650℃級コンバインドサイクル発電(MACCII)方式
- 定格出力:約65万kW
- ガスタービン × 1軸
- 蒸気タービン × 1軸
- 使用燃料:LNG
- 熱効率:約63%(低位発熱量基準)
- 営業運転開始:2023年4月
- 新3号機
- 発電方式:1,650℃級コンバインドサイクル発電(MACCII)方式
- 定格出力:約65万kW
- ガスタービン × 1軸
- 蒸気タービン × 1軸
- 使用燃料:LNG
- 熱効率:約63%(低位発熱量基準)
- 営業運転開始:2023年8月
廃止された発電設備
- 1号機
- 定格出力:60万kW
- 使用燃料:LNG
- 蒸気条件:超臨界圧(Super Critical)
- 熱効率:42.7%(低位発熱量基準)
- 営業運転開始:1967年12月
- 廃止:2021年12月[1]
- 2号機
- 定格出力:60万kW
- 使用燃料:LNG
- 蒸気条件:超臨界圧(SC)
- 熱効率:42.7%(低位発熱量基準)
- 営業運転開始:1969年11月
- 廃止:2021年12月[1]
- 3号機
- 定格出力:60万kW
- 使用燃料:LNG、LPG
- 蒸気条件:超臨界圧(SC)
- 熱効率:42.7%(低位発熱量基準)
- 営業運転開始:1971年6月
- 廃止:2021年12月[1]
- 4号機
- 定格出力:60万kW
- 使用燃料:LNG、LPG
- 蒸気条件:超臨界圧(SC)
- 熱効率:42.7%(低位発熱量基準)
- 営業運転開始:1972年9月
- 廃止:2021年12月[1]
緊急設置電源
2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震と津波により複数の発電施設が被災し、電力供給力が大幅に低下したため、緊急設置電源が新設された[11]。
電力需給が逼迫した際に稼働していたが、被災火力発電所の復旧等により長期計画停止となり[12]、2015年3月に廃止された[13]。
- 1号ディーゼル〜4号ディーゼル(緊急設置電源)(廃止)
- 発電方式:ディーゼル発電方式(内燃力発電)
- 定格出力:1,400kW × 4台 (韓国・現代重工業から無償提供[14])
- 使用燃料:軽油
- 熱効率:43.5%(低位発熱量基準)
- 営業運転期間:2011年4月27日 - 2015年3月(2014年4月1日より長期計画停止)
6号機ボイラー破損事故
1996年6月18日、6号機はボイラー破損事故を起こし停止、1999年2月に運転を再開した[15]。
アクセス
出典
関連項目
外部リンク