将棋の渡辺くん
『将棋の渡辺くん』(しょうぎのわたなべくん)は、伊奈めぐみによる日本の漫画作品。『別冊少年マガジン』(講談社)にて2013年6月号より連載中[1]。伊奈の夫である、将棋棋士の渡辺明の日常を主な題材とした実録漫画[2]。2024年1月時点で単行本の累計部数が50万部越えを数えている[3]。 渡辺・伊奈夫妻の会話やエピソードのほか、一般人とは一風変わった将棋棋士の生活などを描いている。将棋を題材としているものの、実際の対局の棋譜などが登場することは少ない。原則として1話6ページ構成で、一エピソードは2、3ページにまとめられている。 1巻の印税は東日本大震災、2巻の印税は熊本地震の義援金として日本赤十字社へ寄付されていた(2021年3月31日まで)[4]。 2015年[5]と2019年[6]には『週刊少年マガジン』に出張掲載されたこともある。 制作背景本作は、伊奈の漫画家としてのデビュー作である。そもそも伊奈は本連載の前まで漫画を描いたことがなく(ただし本人曰く「いたずら描き」レベルのイラストは時々描いており、渡辺の著書の挿絵を担当したこともある[7])、個人で運営していたブログ『妻の小言。』を見た講談社の編集者が連載を打診、急遽ミリペンやスクリーントーンの使い方を覚えて連載にこぎつけたという[8]。 結婚前後に美術大学(通信制)の油絵科に通っていたが、デッサンが苦手で卒業後は絵を描いていなかった。そのため、「美大に行っていたなら絵も描けるだろう」という別冊マガジン編集者の予想を裏切って、当初はまったく漫画が描けなかった。連載前に、月一でネームを編集者に見せていたが、30ページ中1ページしか「これなら使える」というレベルに達していなかったという[9]。 作品内容タイトルの『将棋の渡辺くん』について、作者の伊奈はタイトルが『将棋の渡辺くん』に決まった時、正直怪訝に思ったという。しかし、伊集院光さんのラジオで”構成の渡辺くん”という言葉を何度も聞いているうちに、『将棋の渡辺くん』でもいいかなと、ちょっとずつ思えるようになってきたと記述している[10]。 作中において、自宅のシーンでは渡辺一家の服装はほぼ固定されている(ただし渡辺の服装は現実の実態とあまり変わらないらしい)。伊奈の服の背中にはそのエピソード当時の彼女の年齢が数字で書かれていることが多い。 単行本では各話の間に「渡辺くん大長考」と題して、渡辺が読者からの質問に答えるQ&Aコーナーが挟まれる(雑誌掲載時に柱に掲載したものを別ページに分離して収録しているもの)。その中にはライトノベル作家の白鳥士郎が自著『りゅうおうのおしごと!』の取材目的も兼ねて寄せた質問が採用されたこともある[11]。 単行本巻末の奥付には「★この漫画は実在の将棋棋士・渡辺明の日常を描いたノンフィクションです」と書かれているが、作中で「95%は本当、残りの5%のフィクションはわかりやすくするため(例えば息子は現在眼鏡着用だが、連載開始時は着用していなかったため、4巻でも眼鏡なしで書かれている等)」とコメントされている。 登場人物
書誌情報
その他
脚注
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