建甌語
建甌語(けんおうご、閩北語の発音: [kuiŋ33 ɪ54 ti44]、ローマ字: Gṳ̿ing-é-dī、漢字:建甌事)は、閩北語東片の代表的な方言である。通用地域は福建省南平の建甌市一帯。閩北語の標準発音とされている。建甌語の標準的な発音は一般的には建甌(芝城)の城関話とされ、建甌全域で通じる。建甌語の下には建安話と甌寧話の二つの方言がある[1]。 発音『建州八音』(1795年編纂)の記載によれば、建甌語の声母は15個、韻母は34個、声調は7つである。 ただし、福建の学者による1984年の調査によれば、今日残っている声調は6つのみである[2]。 声母左側には国際音標記号(IPA)。例字に続き、かっこ内は建寧ローマ字の書法である。
韻母左側には国際音標記号(IPA)。例字に続き、かっこ内は建寧ローマ字の書法である。
声調清代中頃の建甌語には7つの声調があったが、今日残るのは6つのみである。百数十年の変化を経て、今日の建甌語では、陽平調が陰去調に合流しており,平声から陰・陽の区分がなくなっている。 以下が6つの声調である。例字の出典は『建州八音』(1795年編纂)。
この表では『建甌県志』の声調番号を採用した。『福建省志・方言志』での対応する声調番号は次の通り。1、3、5、6、7、8。 建甌語には明確な連続変調や軽声は存在しない。 上声(声調番号:2)の文字が二つ連続するときに、前の字が陰去調(3)に変わることがある。例えば、「老虎」は「[lau˨˩]+[k'u˨˩]」だが、「[lau˧˧k'u˨˩]」とすることも可能である。ただし、普遍的なルールはなく、原調(本来の声調)での発音も可能である。 名詞語尾の「仔」([tsiɛ˨˩])は必ず軽声で発音されるが、この文字の原調である上声(2)の調値とは明瞭な差異はない[3]。 文白異読その他の閩語方言と同様に、建甌語にも文白異読現象は豊富に存在する。 近年は、現地の政府が普通話(標準中国語)政策を強力に進めており、建甌語は普通話と南平官話の影響を強く受けてきた。数多くの字詞の「老派文読」(古い時代の文読)が「新派文読」(新しい時代の文読)に取って代わられている。 建甌語の文白異読は以下のように分類できる。
文字1795年(清の乾隆60年)、福清の人、林端材が閩東語福州話の音韻書『戚林八音』にならって音韻書『建州八音字義便覧』(略称『建州八音』)を編纂し、建寧府で刊行した。これは歴史上、初の建甌語の音韻書である。 1900年、西洋の宣教師が『建州八音』を参照して建甌語表記のための「建寧府土腔羅馬字」(Gṳ̿ing-Nǎing-Hǔ Gâ̤ Tǔ-kióng Lô̤-mǎ-cī)(「建寧府口語ローマ字」)を作成した。しかし、その他の数多くの教会ローマ字と同様に、建寧ローマ字も教会の圏内を出て使用されることはなく、人々から忘れられたままになっている。 参考文献
脚注
外部リンク |