憲法の変遷憲法の変遷(けんぽうのへんせん)とは、憲法改正(憲法の条文自体の変更)ではないが、「立法」「行政」「判例」による変遷によって、変更を加えたのと同じように憲法の規範的意味が変更または修正されることである。「解釈改憲」とも言われる[1]。 概要「憲法変遷」は主に成文憲法を持つ大陸法に見られる考えで、19世紀のドイツのラーバントやイエリネックにより提唱、展開され、日本においても明治憲法下で美濃部達吉がこの考えを導入した。憲法を最高法規として定め硬性憲法化などの法技術を駆使することにより他の法規範をその統制下におく「憲法保障」の思想を導入する以前の時代状況の産物であったが、現在においても、例えばEUとの関係でドイツにおいて憲法変遷が語られたり、日本でも自衛隊や私学助成との関係で憲法の変遷が論点となっている。 多くの場合、公権力により正式な手続きを踏まずに法解釈の変更や制度の運用がなされるような事態に対して、国民が積極的・全面的にこれを支持・承認するとは考えにくい。なお、フランスにおいては「憲法慣習」と呼ばれる思想が、また、不文憲法の国であるイギリスにおいては「憲法上の習律」をめぐる論争があり、それぞれ「憲法の変遷」と類似した問題を惹起している。 日本の憲法学における議論概説憲法の変遷には2つの意味があるとされる。
法社会学的意味での憲法の変遷は、法規範と異なる客観的事実が生じている現象を指すにとどまる。 これに対して法解釈学的意味での憲法の変遷については、法解釈学上の議論がある。立憲主義の下で所定の手続きを経ないで、憲法の条項の規範内容が変更されることが許されるか否かという問題があるからである。 変遷に対する見解法解釈学的意味での憲法の変遷によって、従来の憲法規範の当該条項にかわって新たな憲法規範が定立・運用されていると認められる場合、それを肯定できるか否か、見解は分かれる。
脚注参考文献
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