映像記憶(えいぞうきおく、英: eidetic memory)は、生物が眼に映った対象を映像で記憶したもの、またはその能力のこと。写真記憶、直観像記憶ともいう。
特徴
ヒトでは幼少期にこの能力は普通に見られ、通常は思春期以前に消失する。だがこの「消失」とは、その能力自体の消失か、それとも、なくなった様に思えても潜在的には存在しているのか、正確にはわかってない。京都大学霊長類研究所の研究では、チンパンジーの幼獣にも映像記憶の能力があることがわかり、その事からチンパンジーの子供の記憶力は、ヒトの成人を上回ると考えられている。この点から、知能の発達した類人猿では野生の世界で生存するための手段として、この能力が発達した可能性があり、その意味では原始的な記憶能力と考えられる。ヒトは言語によって自然界の事象を抽象的に把握する能力が向上したために、映像記憶の能力が衰えたとも考えられる。写実的な絵を描くサヴァン症候群の子供が訓練し言語能力を獲得していくにつれ、子供らしい絵を描くように変化していった事例もある。類人猿以外の動物にも同様の能力があるかどうかはわかっていない。
ヒトには成人後も、映像記憶能力を保ち続ける者がわずかではあるが存在する。映像記憶能力の保持者は、電車の中から一瞬見えた風景を後から緻密にスケッチしたり、本を紙面ごと記憶したりできる。速読術、記憶術などと関連付けて後天的な技術としての獲得を目指す人もいる。イメージ訓練や瞑想などがその訓練方法である。しかし完全な後天的習得は非常に困難である。
囲碁や将棋のプロ棋士は対局時に見た石や駒の動き(棋譜)を長期間記憶できることが分かっており、脳内に思い浮かべた碁盤や将棋盤の上で石や駒を動かして検討できるなど記憶した映像の操作も可能であるが、これらは長期間の鍛錬、定石や戦法などゲームの知識、対局時の集中力によるものとされる[1][2][3]。
映像記憶能力を持つ、あるいは可能性の高い著名人
脚注
参考文献
関連項目