森 万里子 (もり まりこ)は、日本 の美術家 。
概要
1990年代の作品は、作者自身が登場する写真 やビデオ 映像によるものが主で、アニメ の登場人物やサイボーグ に扮した森自身が奇抜なファッション で街中や地下鉄 の車内に登場している。そのほか、縄文時代 のストーン・サークルをモチーフにしたインスタレーション や映像体験型の大型インスタレーションなどがある。1996年頃からは仏教 、曼荼羅 など日本人としてのアイデンティティを強く意識した映像体験型の大型インスタレーション などを手掛けている。1990年代 半ばからニューヨーク を拠点に作品を発表している。
両親は、経済学者の森敬 と美術史家の森洋子 。父方の祖父は森ビル 創業者である森泰吉郎 。
経歴
1988年 、文化服装学院 スタイリスト科卒業後、渡英。ロンドン のバイアム・ショウ美術学校(Byam Shaw School of Drawing and Painting)、1989年 から1992年 にはチェルシー美術大学 (ロンドン芸術大学 Chelsea college of art and design)で学ぶ。同年、ホイットニー美術館 (ニューヨーク )が運営する独立作家助成プログラムで学び、1993年 から作品を発表する。
1995年 3月 - 4月には画廊アメリカン・ファイン・アート(ニューヨークAmerican Fine Arts, Co.)で初の個展を開催し、同年9月に日本で初の個展「MADE IN JAPAN」を東京の資生堂ギャラリー で開いた。
1996年 のグルノーブル美術館 現代美術展(フランス)を皮切りにアメリカやヨーロッパ各地で個展を開催する。1999年 にミラノ (イタリア)のプラダ財団 (英語版 ) 法隆寺 夢殿 をモチーフにした映像体験型インスタレーション 「ドリーム・テンプル」を展示した。
2002年 に母国日本で初の大規模な個展「森万里子 ピュアランド」(東京都現代美術館 )が催されると「ドリーム・テンプル」も設置される。
2005年 の第51回ヴェネツィア・ビエンナーレ に参加して「Wave UFO」を展示。2007年 にはグローニンガー美術館 (英語版 ) (オランダ)で回顧展が開かれる。
主要作品
『プレイ・ウィズ・ミー』(1994年)
『ティー・セレモニー』(1994年)
『サブウェイ』(1994年)
『スター誕生』(1995年)
3作品とも被写体は奇抜な服装に身を包んだ作者自身であり、アニメ、コスプレ 、オタク文化 といった日本のポップ・カルチャー を強く意識した。「プレイ・ウィズ・ミー」では日本のアニメに登場する女性戦士のような服装をした作者が東京の秋葉原 と思しきゲームソフト 店の店頭に立っている。
『エソテリック・コスモス』(宇宙の秘儀)(1996 - 1998年)
「エントロピー・オブ・ラブ」(Entropy of Love)、「バーニング・デザイアー」(Burning Desire)、「ミラー・オブ・ウォーター」(Mirror of Water)、「ピュア・ランド」(Pure Land)の4点からなる写真作品。それぞれアリゾナの砂漠、ゴビ砂漠 の火焔山 、フランス のミラージュ [要曖昧さ回避 ] の洞窟 、死海 の風景を背景に、菩薩 に扮した作者が二重写しになっている。それぞれ、受胎 、修行 、悟り 、涅槃 を表したものという[要出典 ] 。
『リンク・オブ・ザ・ムーン(巫女の祈り)』(1996年)
作者自身が登場する映像作品。白づくめの服装で髪の色を白く変えて白いコンタクトレンズ をつけた作者が巫女 に扮し、ガラスの球体をまさぐる。
『ニルヴァーナ』(1997年)
1997年、ヴェネツィア・ビエンナーレ で優秀賞を得た3Dビデオ作品。タイトルは「涅槃 」の意である。飛天 に扮した作者自身と平等院 の雲中供養菩薩 をアニメ化したようなCG の菩薩 たちが空間を飛翔する。
『ドリーム・テンプル』(1999年)
ガラス製の小建築で、夢殿 つまり奈良県法隆寺 にある平面八角形の奈良時代 の建物を模した。屋根から階段まで特殊ガラス で造られ、鑑賞者は1人ずつ内部に設置した球体の中に入って、CGとバーチャルリアリティ 、3D音響などを駆使した4分44秒間の「バーチャル 瞑想 」を体験する。
『Wave UFO』(2003年)
『Tom Na H-iu』(トムナフーリ)(2006年)
『プラントオパール』(2009年)、六本木ヒルズ[ 1]
主な展覧会
「Mariko Mori」アメリカン・ファイン・アート(ニューヨーク)、1995年3月18日 - 4月15日
「MADE IN JAPAN」資生堂ギャラリー(東京)、1995年9月12日 - 9月30日
「Mariko Mori」グルノーブル美術館 (フランス)、1996年6月23日 - 9月8日
「Mirage」ギャラリー小柳(東京)、1997年5月7日 - 5月27日
「Mariko Mori: Dream Temple」プラダ財団(イタリア、ミラノ )[ 1] 1999年5月22日 - 6月15日
「MIRACLE」ギャラリー小柳、2001年5月30日 - 6月30日
「森万里子 ピュアランド」展、東京都現代美術館 [ 1] 、2002年1月19日 - 3月24日
「WAVE UFO」ブレゲンツ美術館 (オーストリア[ 1] )、2003年
「森万里子—縄文/光の化石トランスサークル」展、東京大学総合研究博物館 分館、2004年[ 2] 「森万里子Tom Na H-iu(トムナフーリ)」、SCAI THE BATHHOUSE(東京)、2006年4月21日 - 6月3日
「縄文 光の化石 トランスサークル」展、京都造形芸術大学附属康耀堂美術館 、2006年7月7日 - 9月18日
「Oneness」、グローニンガー美術館、2007年4月29日 - 9月2日、アロス美術館 (英語版 ) (デンマーク )2007年10月12日 - 2008年1月27日
主な受賞
脚注
参考文献