流行感冒『流行感冒』(りゅうこうかんぼう)は、志賀直哉が1919年に発表した小説[1]。 世界的な流行となったスペイン風邪を題材とした作品であり、2019年以降の新型コロナウイルス感染症の流行(コロナ禍)との類似点が多い。 雑誌『白樺』の1919年4月号に「流行感冒と石」のタイトルで掲載され、1922年の『寿々』(改造社)刊行時に「流行感冒」と改題された[2]。 あらすじ千葉県我孫子に住む小説家の私は、妻と娘・左枝子、そして「石」と「きみ」という2人の女中と暮らしている。かれは娘の健康に対して過敏である。理由は、左枝子の前の子を病気で亡くしているため。 大正7年(1918年)の秋。流行感冒(スペイン風邪)が流行り感染者が増加する。小学校の運動会で感染者が多く出たという話も聞く。10月中旬のある日、毎年恒例の青年会主催の芝居興行を、女中の石が、人が多く密な状態にもかかわらず見に行ったのでは、という疑念浮上する。彼女は日頃から少し愚鈍に見え、軽率な行為も多い女中だった。私は石ならあり得そうな事だと思い、彼女を問いただすも、石は否定する。しかし、実際には芝居に行ったことがわかり、私は石に暇をやろうとする。けれども、周囲のすすめもあり思いとどまる。 そのうちに、私も家に出入りする植木屋をとおして感染してしまう。そのときに一家のうちでひとり感染をまぬかれた石の働きをみて、あらためて石を出そうとしたことを反省する。そのうちに石には縁談があり、結婚するまで私の家で奉公することになった。 評価歴史家の磯田道史は、著書『感染症の日本史』でこの作品をとりあげ、「読者は、この小説でスペイン風邪に襲われたときの家内のありさまを知り、家族などにどんな注意を与えるべきかなど、実際の感染予防にも役立てることが出来たのではないでしょうか」と評価している[3] 。 テレビドラマ
NHK BS4Kで2021年3月27日に、NHK BSプレミアムでは4月10日に、NHK総合テレビでは11月6日に放送された日本のテレビドラマ[1][4]。主演は本木雅弘[1]。 登場人物
スタッフ脚注出典
関連書籍
外部リンク
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