砂浜の生物砂浜は、生物にとって必ずしも住みよいわけではなく、そのため特有の生物相がある。 砂浜の環境砂浜は波当たり、風当たりが強い。底質である砂は固定せず、風や波によって移動する。また、そのために表面は常に平坦で、凹凸などの変化がほとんどなく、しかも一定しない。このような条件は、潮間帯の全域から上は砂が続く範囲にかけて、下は波や潮の流れの影響が続く範囲でほぼ共通である。 これらの条件は、生物の生息環境としては不利な面が多い。底質の表面に生活する動物にとっては、隠れる場所が少ない。底質が固定していないから固着性の生物はほとんど居られない。ただし、砂利であれば、大粒のものの表面に固着することができる。 海中海では主な生産者は海藻であり、その多くは岩の上に根のような構造で固着して生育する。したがって砂浜には海藻はほとんど生育しない。また、海産の種子植物である海草は砂泥質の底に地下茎を伸ばすので、粗い砂質の所には出現しない。このように、大型植物が生育しないので、底質の単調さに拍車がかかる。遊泳性の動物にとってもそれらの存在は休憩所や採食の場として重要なので、生息には不向きである。底質中に潜行する生活をするものにとっては、砂は潜りやすい面もあるが、巣穴を掘って生活する場合には、深い部分は大丈夫のようだが、特に表面部分の形の維持が難しく、すぐに埋もれてしまう。このように見て行くと、素早く砂に潜れる能力のある動物でないと、生活するのは難しそうである。 なお、このような状況は、波当たりなどが弱く、砂に泥が混じるところではかなり緩和される。 陸上陸上側においてもよく似た状況がある。波打ち際は攪乱が大きく、またすぐに海水をかぶるので陸上動物の住める場所ではない。波打ち際からある程度離れた陸側には海浜植物が生える帯があるが、そこまでの間は全く砂だけの地形であり、その表面は平らで、極めて単調な地形である。砂は乾燥しがちだから穴を掘るのも難しく、敵からも見つかりやすい場所である。打ち上げられた流木や海藻などゴミの下はやや湿度も維持され、小動物が隠れ住むことができる。ただし干潮の間だけである。 海浜植物が生える区画以上では、安定した底質や遮蔽があるが、乾燥や塩分の影響は大きい。 いろいろな生物常時利用するもの
一時的に利用するもの砂浜を産卵場にしている動物もある。たとえばウミガメ類は、すべて砂浜に産卵する。しかもそれぞれの種が産卵する海域は世界中で結構限られており、多くの種が乱獲で減少しているため、それぞれの産卵地の保護が重視されている。ほかに魚のグルニオンも多数が砂浜に半ば打ち上げられるようにして産卵することで知られる。 |