磁気抵抗(じきていこう;英 magnetic reluctance または magnetic resistance)は、磁気回路における磁束の流れにくさを表す度合いで、起磁力を磁束で割った値で表される。電気回路における電流の流れにくさを表す電気抵抗(electrical resistance)に対応するもの(アナロジー)である。
リラクタンス(reluctance)と呼ばれることも多いが、学術用語集(物理学編・計測工学編・地震学編)では「磁気抵抗」となっている。 まぎらわしいが、磁気抵抗効果(magnetoresistance)とはまったく別のものである。
リラクタンス(reluctance)の概念は1888年にオリヴァー・ヘヴィサイド(Oliver Heaviside)によって導入された。これはジェームズ・ジュール(James Joule)によって磁気抵抗(magnetic resistance)として最初に言及されていたものであった。起磁力はボサンケット(R.H.M.Bosanquet)が命名し、磁束の式はヘンリー・ローランド(H.A.Rowland)がオームの法則の類推から導いたものである。
磁気抵抗(リラクタンス)の値 R m {\displaystyle {\mathcal {R}}_{m}} は、起磁力を F m {\displaystyle {\mathcal {F}}_{m}} 、磁束を Φ Φ --> {\displaystyle \Phi } とすると、その比で定義される。単位は、国際単位系(SI)ではアンペア毎ウェーバ [A/Wb] である。
これは、電気抵抗 R {\displaystyle R} が起電力 E {\displaystyle {\mathcal {E}}} と電流 I {\displaystyle I} の比
で表されること(単位はオーム)に対応している。起磁力(MMF)の式として表せば、
となり、これはホプキンソンの法則(Hopkinson's law)とも呼ばれる。
起磁力 F m {\displaystyle {\mathcal {F}}_{m}} は、例えば電磁石では鉄心に巻いてあるコイルの巻き回数(winding number) N {\displaystyle N} と、そこに流れる電流 I {\displaystyle I} の積 N I {\displaystyle NI} で示される。これより、次の式が成り立つ。
電磁気学によれば、マクスウェルの方程式における「磁束保存の式」が記述するところに従って、磁束は常に閉曲線を描く。しかしながら、その閉曲線の経路は周囲の物質の磁気抵抗に依存することになり、経路の周囲では磁気抵抗は最低となる。空気中や真空中における磁気抵抗は高く、軟鉄のように容易に磁化される物質の磁気抵抗は低い。磁気抵抗の低い素材において、磁束の集中は一時的に強い磁極を形成し(一時磁石)、その素材をより高い磁束の領域へと引き寄せる力を引き起こす。
磁気回路が一様(断面積と透磁率が一定)である部分において、磁気抵抗は以下の式で算出される。
ここで、 l {\displaystyle l} は磁気回路の長さ、 A {\displaystyle A} は断面積、 μ μ --> {\displaystyle \mu } は透磁率( μ μ --> 0 = 4 π π --> × × --> 10 − − --> 7 {\displaystyle \mu _{0}=4\pi \times 10^{-7}} は真空の透磁率、 μ μ --> r {\displaystyle \mu _{r}} は回路の素材の比透磁率)
磁気抵抗(リラクタンス)の逆数はパーミアンス(permeance)と呼ばれ、次のように表される(単位はヘンリー)。
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