神戸電鉄6500系電車
神戸電鉄6500系電車(こうべでんてつ6500けいでんしゃ)は、神戸電鉄が2016年(平成28年)より導入を開始した通勤形電車。 本記事では、編成単位で表記する必要がある場合は有馬・三田・粟生方の先頭車の車番を代表し、6513編成の様に表記する。 概要既存車両の1000系列の代替として、2015年(平成27年)6月9日に導入を発表[1][2]、2016年(平成28年)5月21日より営業運転を開始した[3]。建造は川崎重工業で、神戸電鉄の新造車両としては2010年(平成22年)導入の6000系第2編成以来となる[2]。 「人と環境にやさしく、安全・快適な車両」をコンセプトととし[4]、積極的に新型機器を採用した[4]。 車体外観やデザインは2010年(平成22年)に導入した6000系を踏襲し、ステンレス車体で片側3扉とした[4]。構体と台枠はステンレスであるが、先頭車の前頭部は普通鋼を使用している[4]。 側面はステンレスそのものの特徴を活かし[4]、前頭部はブラックを基調にゴールドとレッドを組み合わせたデザインとしている[4]。 車内客室編成定員は354名、うち座席定員は117名である[2]。インテリアデザインは木目調と白色の化粧板を採用し[4]、従来車両の車内空間を継承している[4]。 座席にはモヘアモケットを使用した大型袖仕切りを採用し、急ブレーキや衝突時の乗客の保護を高めている[4]ほか、袖仕切り上部を透明の強化ガラスとする[4]ことで、高級感と開放感あふれる車内空間を演出させている[4]。 大型袖仕切り部と座席間の中仕切り部にはスタンションポールが新設され、高齢者の座席からの立ち上がりの負担軽減などが配慮されている[4]。 つり革は従来の高・低の2段に加え、更に低い段を追加した3段階で設置された[4]。また出入り口部には枕木方向にもつり革を設置している[4]。
乗務員室主幹制御器は従来のツーハンドル式を採用、各スイッチ類やモニタ表示器などの機器類は、ワンマン運転時の操作性を考慮した配置となっている[5]。 車内外表示装置、自動放送装置、空調装置などの操作は、モニタ表示器のタッチ画面による一括操作が可能になっている[5]。
主要機器台車・駆動方式台車は従来車と同様、軸梁式でダイレクトマウント構造の空気ばね方式とし、駆動方式はWN継手によるカルダン駆動方式を採用した[6]。 制御装置・主電動機制御装置は、SiC適用のMOSFET素子による2レベルVVVFインバータ制御装置(三菱電機製MAP-144-15VD283)を新形式車両では日本で初めて本格採用して省エネルギー化を図り[7]、1C4M方式のユニットを両先頭車に搭載する[7]。主電動機は定格出力140 kWの全密閉かご形三相誘導電動機を採用、高効率化による電力損失の低減や低騒音化、保守性の向上が図られた[7]。 なお新形式車両でフルSiCを本格採用したのは、本形式が日本初である(更新での関西初採用は神鉄グループの北神急行7000系)。 車内案内装置車内案内表示器は、32インチハーフサイズの大型ディスプレイを1両あたり3ヶ所千鳥状に配置し視認性の向上を図っている[7][2]。停車駅や扉の開く方向の案内のほか、駅間では2画面に分割して旅客案内と映像の再生を行う[7]。インバウンド対応として日本語・英語・中国語・韓国語の4ヶ国語で表記される[7]。 冷暖房装置冷房装置は、24.42 kWの「セミ集中式クーラ」を1両あたり2台搭載している[7]。また「低騒音型ラインデリア」を天井部に設置し、冷風を拡散させることで室内温度の均一化を図っている[7]。 暖房装置は片持ち式の座席に吊り下げる構造とし、足元スペース拡大と暖房効率向上を目指した設計としている[7]。 また冬季の車両仕立て時には、乗務員室から「急速暖房」操作を行い、客室温度を急速に上昇させることができるようになっている[7]。 冷暖房制御は、外気温・車内温度・車内湿度・乗車率等から快適な車内温度を保つ「マイコン制御方式」としている[7]。 照明装置車内灯は色温度5000ケルビンのLED灯を採用、前照灯もLED灯を採用して視認性向上と長寿命化を図った[7]。また、標識灯や計器灯など他の照明設備についてもLED灯としている[7]。 放送装置放送装置は「自動音量調節機能」により客室内に適切な音量で放送できるようになっている[7]。またワンマン運転に対応した自動放送装置を搭載し、モニタ装置で設定した運行情報により自動案内放送を行う。 消費電力これらの環境面が配慮された機器類の採用によって、消費電力は抵抗制御の1000系と比べ約60%低減された[2]。 車種構成Mc-T-Mcの3両編成で、Mc車は6500形、T車が6600形である[4]。6500形にVVVFインバータ・電動空気圧縮機 (CP)が、6600形には静止形インバータ (SIV)が搭載されている。パンタグラフは電動車の連結部寄りに付けられている。
編成表2021年4月1日現在[8]。
運用2016年(平成28年)5月21日より営業運転を開始し、神戸電鉄全線で運用されている。 脚注
参考文献
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