絆會
絆會(きずなかい、 新字体: 絆会)は、兵庫県内を中心に活動し、大阪府大阪市に本部を置く指定暴力団。準構成員を含めた組員数は2023年末の時点で約170人(構成員は約60人、準構成員は約110人)[1]。発足当初の名称は任俠団体山口組であり旧本部事務所は、兵庫県尼崎市戸ノ内町3-32-6。 概要元々は六代目山口組から分裂して発足した神戸山口組の一部直系組員らにより、2017年4月30日に結成されたものである。当初は、山口組の名を冠し、人名用漢字の「俠」を用いた任俠団体山口組[2]を名乗っていた。その後、後述の理由により同年8月9日に俗字の「侠」を用いた任侠山口組に改称。さらに2020年1月12日に山口組の名を外した現名称へ変更した[3]。 来歴結成当初指定暴力団・六代目山口組では2015年(平成27年)夏に分裂が起き、一部メンバーが神戸山口組を結成。しかし、2017年(平成29年)4月30日、この神戸山口組のメンバーの一部が反旗を翻し任俠団体山口組を結成。これにより山口組を源流とする暴力団は3派に分裂する事とはなった。 2017年(平成29年)4月30日の決意表明と称した結成式で、組織については名目上の「組長」は置かずに、神戸山口組系列の中核団体・四代目山健組副組長(本部は神戸市中央区)の織田絆誠[注釈 1]を代表、また、四代目真鍋組組長(本部は尼崎市戸ノ内町)の池田幸治[注釈 2]を本部長(ナンバー2)とする組織を発表した。 暴力団対策法上、指定暴力団とする場合には「暴力団の威力を用いて資金を獲得」「構成員の一定以上に暴力団特有の犯罪歴」「組長などをトップとした階層的な暴力団特有の組織形態」の3要件が必要と規定されており、組長を置かない任侠団体山口組は暴対法逃れの組織形態になっているとの指摘があるが、警察当局は、分裂でなく内部対立状態であり、今後も神戸山口組の一部として暴対法上の規制対象になると認識している[5]。 なお、同年5月7日には六代目山口組系淡海一家から分裂した「京滋連合」の結成式に池田幸治らが出席しており、同団体も任俠団体山口組に合流したとみられる[6]。 同年8月9日には、組織名を任侠山口組へと改名した。改名の主な理由としては、報道機関が旧組織名である「任俠団体山口組」を報じる際に「俠」がインターネットニュースなどで正確に表記されず、「任●山口組」の後に「●は『侠』の旧字体」や「●は『侠』の右が『夾』」などの注釈付きで表記される事例が相次いだことが挙げられ、あたかも隠語のような「任●山口組」ではあまりにも体裁が悪いとして内外より不満の声が高まったためとされる[7][8][注釈 3]。 織田の襲撃から指定まで2017年(平成29年)9月12日、神戸市長田区の路上で、代表・織田絆誠らの乗った車列が、武装した集団から銃撃された。織田は現場近くに住んでおり、自宅を出発した直後に待ち構えていた男らに襲撃された。乗車していた車両は後進(バック)走行でその場から立ち去り、織田にけがはなかったがボディーガードである組員1名(当時44歳)が射殺された[11]。現場からは銃撃した複数の男らが逃走していたが、同月16日、兵庫県警長田警察署捜査本部は、殺人容疑で神戸山口組直系である四代目山健組傘下の組員を全国に指名手配した。 2018年(平成30年)3月22日、兵庫県公安委員会により指定暴力団に指定[12]。同年9月、神戸地方裁判所は、任侠山口組の本部事務所としても使われていた四代目真鍋組事務所の使用を禁止する仮処分申請を認めた[13]。 2020年(令和2年)2月17日、兵庫県公安委員会は、名称が絆會に変更されたとして官報に公示された。理由としては名称変更によって特定抗争指定暴力団に指定された六代目山口組と神戸山口組との違いを明確にするねらいがあると見られる。 同年8月11日、若頭となっていた池田幸治が尼崎署に四代目真鍋組の解散届を提出、同組は解散し池田は翌月、六代目山口組本部を訪れ謝罪し正式に引退した。 2022年(令和4年)2月下旬、最高幹部であった三代目織田興業会長の権藤聡が大阪府警に脱退届を提出、3月2日付けで絆會を除籍処分となった[14]。 2024年(令和6年)6月7日、兵庫県警は2023年4月22日に神戸市長田区で発生したラーメン店主殺害事件に関与したとして、絆会の幹部ら5人を組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人)の容疑で逮捕した[15]。殺害されたラーメン店主は六代目山口組傘下の三代目弘道会系の暴力団組長であった[16]。 事務所の使用差し止め請求2018年、暴力団追放兵庫県民センターは、地域住民人の代理として尼崎市内の任侠山口組(現・絆會)本部事務所に対し、使用差し止めを求めた仮処分申請を神戸地方裁判所に申し立て同年中に認められた。その後も組員らの出入りが続いたことからセンターは間接強制を申し立て、2020年10月、神戸地裁は仮処分命令に違反した場合に1日100万円の制裁金を科すとした間接強制を決定。絆會側は不服申し立てを行ったが、大阪高等裁判所は地裁判断を支持し、2021年3月3日付で棄却した[17]。さらにセンターは、会合などで使われていた二代目古川組事務所に対し、使用差し止めを求めた仮処分申請を神戸地裁に申し立てた[18]。 脚注注釈出典
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